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二地域居住

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二地域居住(にちいききょじゅう)とは、主な生活拠点とは別の特定の地域にも生活拠点を設け、複数の地域を行き来しながら暮らすライフスタイル二拠点生活デュアルライフとも呼ばれる。国土交通省は、二地域居住を「主な生活拠点とは別の特定の地域に生活拠点をもうける暮らし方」としている。[1]

二地域居住は、移住・定住とは異なり、従来の生活拠点を維持しながら別の地域にも生活拠点を持つ居住形態である。仕事や余暇、地域活動など目的や過ごし方は多様であり、特定の世代に限られない。国土交通省は、人口減少下における地方への人の流れの創出・拡大や、地域の担い手確保などの観点から二地域居住を推進している。[1]

2024年には「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律」が改正され、二地域居住を促進するための制度が設けられた。改正法は同年11月1日に施行され、法律上は二地域居住に相当する生活を「特定居住」として定義している。[2]

背景・歴史

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日本では2000年代、人口減少社会における地域のあり方や、団塊の世代の大量退職などを背景として、二地域居住への政策的な関心が高まった。

2005年、国土交通省の「二地域居住人口研究会」は「『二地域居住』の意義とその戦略的支援策の構想」を公表した。同研究会は、定住人口や観光などによる交流人口に加え、都市住民が農山漁村などに中長期または定期的・反復的に滞在する「二地域居住人口」を地域に関わる人口の一つとして位置づけた。[3]

同年の国土交通省の調査では、都市住民へのアンケートを基に、二地域居住人口を2005年時点で約100万人と推計した。また、団塊の世代の大量退職などを想定した将来シナリオとして、2010年に約190万人、2020年に約680万人、2030年に約1,080万人になるとの「将来イメージ」を示した。これらは将来の実績を予測したものではなく、潜在的な二地域居住希望者が段階的に顕在化するという仮定に基づく試算であった。[4]

当初は、2007年以降に大量退職を迎える団塊の世代が二地域居住の主要な担い手の一つとして想定されていた。その後、対象は幅広い世代へと拡大した。国土交通省が2008年に二地域居住等に関する情報サイト「二地域倶楽部」を開設した際には、退職後に田舎暮らしなどを希望する団塊の世代だけでなく、子育て世代や学生なども含む幅広い層の利用を想定していた。[5]

その後、二地域居住は多様なライフスタイルの一つとして政策上も位置づけられるようになった。国土交通省は2009年の『国土交通白書』で、就業、結婚、子育て、退職など各ライフステージによって暮らしに対するニーズが異なるとし、それらに対応する施策の一つとして二地域居住の促進を挙げている。[6]

用語の成立

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「二地域居住」という用語が政策上用いられる以前には、複数の地域を行き来する居住形態を表す言葉として「半定住」などが用いられていた。2002年の国の懇談会では、仕事や生活の段階に応じて都市と地方に住むことを「半定住」と表現する例がみられ、地方公共団体でも同様の概念を用いた施策が行われていた。

2004年度に国土交通省と農林水産省が実施した「半定住人口による多自然居住地域支援の可能性に関する調査」では、検討の過程で当初の「半定住」という名称を「二地域居住」へ変更し、報告書でも「二地域居住」を主要な用語として用いた。

当時の調査では、二地域居住を、都市住民が農山漁村などの同一地域に中長期または定期的・反復的に滞在し、都市の住居に加えて生活拠点を持つこととしていた。2005年の国土交通省資料では、年間1か月以上の中長期または定期的・反復的な滞在を二地域居住人口の把握に用いていた。[7]

この時期、国土交通省は地域に関わる人口を「情報交流人口」「交流人口」「二地域居住人口」「定住人口」の4類型に整理していた。「二地域居住人口」は、観光などによる一時的・短期的な「交流人口」と「定住人口」の中間に位置するものとして扱われ、これらの人口が相互に関係することで地域活性化につながることが期待されていた。[8]

その後、二地域居住の対象や形態は広がり、現在では国土交通省は、主な生活拠点とは別の特定の地域に生活拠点を設ける暮らし方として二地域居住を位置づけている。[1]

ライフステージとの関係

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二地域居住は、就業、子育て、退職など、ライフステージに応じた居住形態の一つとして位置づけられている。国土交通省の『平成21年版国土交通白書』では、就業、結婚、子育て、退職など各ライフステージによって暮らしに対するニーズが異なるとし、多様なニーズに対応する施策の一つとして二地域居住の促進を挙げている。[9]

日本で二地域居住への政策的な関心が高まった2000年代には、団塊の世代の大量退職を背景として、退職後の居住形態との関係が重視されていた。国土交通省の『平成19年版国土交通白書』では、大都市圏への人口移動を経験した団塊の世代が退職後にどのような居住形態を望むかが注目されているとし、内閣府の調査をもとに、都市居住者のうち二地域居住への意向を持つ割合が50歳代で他の年代より比較的高かったことを紹介している。[10]

一方、その後は二地域居住の対象は子育て世代や学生などにも広げられ、特定の世代に限定されない生活の選択肢として扱われるようになった。こうした経緯から、二地域居住は退職後を含む人生後半の居住形態の一つであると同時に、それぞれのライフステージに応じた生活の選択肢として位置づけられている。[9]

地域との関係

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二地域居住は、個人のライフスタイルとしてだけでなく、関係人口の創出・拡大や地域づくりとの関係からも位置づけられている。国土交通省は、二地域居住が地方への人の流れを生み、地域づくりの担い手の確保や地域コミュニティの維持など、地域の活性化につながる可能性を指摘している。[11]

2024年には二地域居住の促進を目的として「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律」が改正され、二地域居住者に「住まい」「なりわい」「コミュニティ」を提供する活動への支援などを含む制度が整備された。[1]

防災との関係

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二地域居住は、災害時における避難先の確保や広域避難との関係からも注目されている。国土交通省は、災害時には二地域居住先などが円滑な避難先となり得るほか、普段から関係を持つ地域が被災した際に支援を行うなど、二地域居住が災害時の支え合いの基盤となる可能性を指摘している。[11]

二地域居住を災害対策として活用する可能性については学術的な研究も行われている。佐藤敬生と澤田雅浩は、南海トラフ地震などの大規模災害を想定して兵庫県内の都市部と農村部の住民を対象に調査を行い、二地域居住が事前復興対策として活用できる可能性を指摘している。[12]

課題

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二地域居住には、複数の生活拠点を維持し、地域間を移動することに伴う経済的負担などの課題がある。国土交通省は、二地域居住に伴う中長期的な課題として、地域間を移動する交通費、滞在費、インターネット環境を確保するための費用などの個人負担を挙げている。[13]

過去の国土交通省の調査でも、二地域居住を実践する上で、交通費や滞在費の負担、二つの生活拠点を維持することによる固定資産税や光熱費などの負担が指摘されている。[14]

また、受け入れる地域側についても、地域交通、買い物、医療・福祉、子育て・教育など日常生活に必要なサービスを持続的に提供できる環境の整備が課題とされている。さらに、二地域居住者による納税や住民票、行政サービスの利用、地域の意思決定への参画など、二地域居住者と地域との関わり方についても検討が必要とされている。[13]

脚注

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  1. 1 2 3 4 二地域居住の推進”. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。
  2. 「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定”. 国土交通省 (2024年2月9日). 2026年8月15日閲覧。
  3. 「二地域居住」の意義とその戦略的支援策の構想について”. 国土交通省 (2005年3月29日). 2026年8月15日閲覧。
  4. 「二地域居住」に対する都市住民アンケート調査結果と「二地域居住人口」の現状推計及び将来イメージについて”. 国土交通省 (2005年3月11日). 2026年8月15日閲覧。
  5. 二地域居住等支援総合情報プラットフォーム「二地域倶楽部」のサイトを開設しました!!”. 国土交通省 (2008年5月13日). 2026年8月15日閲覧。
  6. 第4節 多様なライフスタイルを支える基盤の形成”. 平成21年版 国土交通白書. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。
  7. 「二地域居住」に対する都市住民アンケート調査結果と「二地域居住人口」の現状推計及び将来イメージについて”. 国土交通省 (2005年3月11日). 2026年8月15日閲覧。
  8. 二地域居住の定義と背景”. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。
  9. 1 2 第4節 多様なライフスタイルを支える基盤の形成”. 平成21年版 国土交通白書. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。
  10. 第4節 人口減少・高齢化の下で地域の活力を支える担い手”. 平成19年版 国土交通白書. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。
  11. 1 2 3 地域の持続性につなげる取組み”. 令和6年版 国土交通白書. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。
  12. 佐藤敬生; 澤田雅浩 (2024). “災害対策としての二地域居住政策の可能性に関する研究―兵庫県内二地域でのアンケート調査から―”. 地域安全学会論文集 45: 31-39. doi:10.11314/jisss.45.31.
  13. 1 2 二地域居住の促進について”. 国土交通省国土政策局 (2026年2月). 2026年8月15日閲覧。
  14. 地方部における新たなライフスタイルの実現に関する調査報告書”. 国土交通省. 2026年8月15日閲覧。

関連項目

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