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芽

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1. セイヨウトチノキ(ムクロジ科)の冬芽: 大きな頂芽と小さな側芽(腋芽)があり、いずれも芽鱗で覆われた鱗芽である。

芽(め、英: bud)とは、維管束植物において、茎の頂端分裂組織とそれに由来する未熟な茎と葉からなる構造である(図1)。芽は、伸長して新たなシュート(葉や花をつけた茎)となる。芽のうち、茎の先端にあるものを頂芽、茎の側方につくものを側芽といい、種子植物ではふつう側芽は葉の腋につくため腋芽ともよばれる(図1)。ふつうの芽は頂芽や腋芽であるため、これらの芽は定芽、葉や根などそれ以外につく芽は不定芽とよばれる。また芽のうち、成長して葉のみをつけるものは葉芽、花のみをつけるものは花芽、葉と花をつけるものは混芽とよばれる。低温や乾燥など生育不適期に休眠状態にある芽は休眠芽とよばれ、特に冬季にある休眠芽は冬芽とよばれる。休眠芽はしばしば特殊化した葉である芽鱗に覆われており、このような芽は鱗芽(有鱗芽)とよばれ(図1)、一方で芽鱗をもたない休眠芽は裸芽とよばれる。切り離されて新たな個体となる芽は、むかご(珠芽)とよばれる。専門用語ではないが、新たに生じて間もない芽は、新芽(しんめ)、若芽(わかめ)、嫩芽(どんが)とよばれる[1][2]。

植物以外の生物においても「芽」という用語を用いることがある。ヒドラや酵母は、体の一部が突出して新個体を形成することがあり、このような無性生殖は出芽、新たに形成される個体は芽体とよばれる[3]。動物において、体の一部が再生される際に生じる未分化な細胞塊は、再生芽とよばれる[4]。また、卵の黄身の上面にある胚盤のことを「芽」とよぶことがある[5]。

一般用語としては、「成長の芽」、「悪の芽」など、新たに生じ、これから成長しようとするものを「芽」にたとえていうことがある[5]。

以下では、植物の芽について解説する。

構造

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植物において芽とは、未展開の若いシュート(茎と葉)のことであり、シュート頂分裂組織と未熟な茎や葉からなる[6][7][8][9](下図2)。先端には茎の先端成長を司るシュート頂分裂組織が存在し、その下に続く茎を形成し、また表層から、つまり外生的(exogenous)に新たな葉を形成していく[7](下図2b)。このような新たに形成され葉へと成長する構造は、葉原基(ようげんき; leaf primodium[注 1])とよばれる[7][8]。シュート頂分裂組織は、このような若い葉で包まれて保護されている。新たな葉の葉腋(基部の向軸側)には、腋芽となる新たな頂端分裂組織が外生的に形成される[7](下図2b)。このようなシュートの成長は、基部側から先端側へ向かって進む求頂的発生(acropetal development)である[7]。

2a. サクラ(バラ科)の芽の縦断面
2b. コリウス属(シソ科)の芽の縦断面: A = 前形成層、B = 基本分裂組織を含む未熟な茎、C = 葉隙、D = 毛状突起、E = シュート頂分裂組織、F, G = 未熟な葉 (葉原基)、H = 腋芽、I = 維管束. スケールバー = 0.2 mm

また、芽は保護用の特殊化した葉(芽鱗)で覆われていることがある(下記参照)。芽が柄をもつ場合、この柄は芽柄(がへい)とよばれる[10]。

芽の分類

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芽は、つく位置や構成器官、活動状況などによって以下のように類別される。

頂芽と側芽

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茎の頂端に存在し、この茎を伸長させる芽は、頂芽(ちょうが; terminal bud, apical bud)とよばれる[7][9][8][11][12][10](下図3a, b, d)。それに対して、側方に新たなシュートを伸長させる芽は、側芽(そくが; lateral bud)とよばれる[7][9][8][12][10][13](下図3a–e)。種子植物においては、側芽はふつう葉腋(葉の付け根の向軸側)に形成され、腋芽(えきが; axillary bud)とよばれる[7][9][8]。腋芽を抱いている葉は、蓋葉(がいよう; 母葉、subtending leaf)とよばれる[7](下図3c)。

3a. シュートの模式図: 1 = 頂芽、2 = 節、3 = 葉、4 = 節間、 5 = 腋芽、6 = 茎
3b. シナノグルミ(クルミ科)シュート: 頂端に頂芽があり、側芽(腋芽)が互生している。
3c. シベリアニレ(ニレ科)のシュート: 葉腋に腋芽がある。
3d. Quercus marilandica(ブナ科)のシュート: 頂芽の周囲に頂生側芽がある。
3e. ナツボダイジュ(アオイ科)シュート: 頂芽は喪失し、頂端には仮頂芽がある。

種子植物において、最初につくられた芽、すなわち種子内で子葉直上にできた芽は、幼芽(ようが; plumule)とよばれる[9][14][15][16]。基本的には、幼芽が伸長して主軸(main axis)となり、その先端の幼芽は頂芽へと移行する[9]。

盛んに伸長している茎では、頂芽が活発に活動しているが、周辺の側芽はふつう活動が抑えられて休眠状態にある。このような現象は、頂芽優勢(apical dominance; 側芽抑制 lateral bud inhibition)とよばれる[17]。頂芽では植物ホルモンであるオーキシンが合成され、これが茎を下降する際に腋芽でのサイトカイニン合成を抑制し、腋芽の成長が抑制される[17]。頂芽が損傷したり除去されると、オーキシン供給が止まり、腋芽でのサイトカイニン濃度が上昇するため、頂芽優勢が解けて側芽が伸長しはじめる[17]。また、根からの距離によって抑制度合いが変化することが知られており、シロイヌナズナでは根で合成されるストリゴラクトンが頂芽優勢に関わることが知られている[17]。

側芽のうち、頂芽の周囲に集まって形成された側芽は、頂生側芽(ちょうせいそくが; terminal lateral bud)とよばれ、トドマツ(マツ科)、カツラ(カツラ科)、コナラ(ブナ科)などに見られる[7][12][10](上図3d)。

生育不適期に頂芽を含めて枝先が枯死し(その痕は枝痕 twig scar とよばれる)、最上位の側芽が頂芽のようにはたらくことがあるが、このような側芽は仮頂芽(かちょうが; pseudoterminal bud)とよばれ、コブシ(モクレン科)、カツラ(カツラ科)、クリ(ブナ科)、ハンノキ(カバノキ科)、ハルニレ(ニレ科)、ヤマグワ(クワ科)、サクラ(バラ科)、シナノキ(アオイ科)などに見られる[7][12][10](上図3e)。

主芽と副芽

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