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気になる土偶#140「寄り添う男女 」愛知県麻生田大橋遺跡

男と女、と聞くと、夫婦か恋人、友達、親子と、そのペアの関係性がちょっと気になるものです。
愛知県の遺跡から出土した、この男女のペア土偶。はたしてどんな関係だったのでしょうか、

弥生時代前期(紀元前6~4世紀)の墓の可能性がある土坑から、セットで埋納された状態で出土した土偶です。

《複製品》 国立歴史民俗博物館

右の大きい土偶は、全長16.8㎝。「有髭ゆうぜん土偶」と呼ばれるもので、顔には髭のような文様が細かく施されています。

また後頭部には、結髪(髪を結っている)の表現のほか、耳飾りを装着した可能性のある孔がみられます。

体部に小さな乳房が表現されていることから、「女性の土偶」だと考えられています。

一方、左の小さい土偶は全長8.5㎝。
大きい土偶と同じく、後頭部に結髪の表現があり耳には孔があります。女性的な表現がないことから、男性の土偶であると推定されています。

この土偶たちが出土した麻生田大橋遺跡からは、230基を超える大量の「土器棺墓どきかんぼ(土器を棺にして遺体を埋葬する墓)」が見つかっています。

土器棺墓は、乳幼児を埋葬したり、再葬墓さいそうぼ(遺体を一度地中に埋めるなどして骨にし、再び土器に骨を入れ地中に埋める)ではないかと考えられるものです。

2体の土偶は、数多くの土器棺墓と一緒にあったことから、死者に添えられた副葬品の役割を持っていたと考えられそうです。

そして、その大きさの差から「母子」とする見方が一般的ですが、伴侶や始祖の男女など、ほかの可能性もあるのでは?と思えてきます。

縄文時代の土偶の多くは女性を模したもので、祭祀などで子孫繁栄や豊穣などを祈る道具として使われ、使い終わった後は壊され、大地に還されるのが基本でした。

しかし弥生時代になる頃には、土偶はほとんど作られなくなり、従来の意味を持つ「土偶」は急速に衰退し、やがて消滅していきます。
その代わりに、木製の人形や鳥形などが主役になっていきます。

このペア土偶は当時としては希少な存在。縄文の姿を借りながらも、その中身は全く違ったものであるのかもしれません。

新しい時代の、新しい精神世界……それがこの土偶に隠されているようです。


*参考資料
「愛知の博物館」№.64 愛知県博物館協会

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