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『8月12日、雨。話したことのないクラスメイトと、御巣鷹山の記憶』

8月12日、雨

毎年、お盆の時期になるとニュースで流れる、御巣鷹山の日航機墜落事故の映像。41年という歳月が流れても、あの悲しい出来事は色あせることなく、私の記憶の深いところにある一つの出来事を呼び覚まします。

今年は、その記憶をnoteに残してみようと思いました。

41年前の夏休み、学校の連絡網で言葉を失う報せが回ってきました。クラスメイトの男の子のお父様が、あの事故で亡くなったという内容でした。

春にクラス替えをしてから夏休みに入るまで、一度も話したことがない男の子でした。
名前も顔も声も知っているけれど、出席番号が離れていたため、教室ではいつも左端と右端のような距離感にいた存在です。

当時、彼は私の友達のことが好きらしいと噂になっていたので、密かに彼を応援していました。
けれど、友達にその想いを伝えることはなかったようです。

先生とクラス全員で黒っぽい服装を整え、お葬式に参列しました。それが私の人生で初めて参列したお葬式でした。

詳細はあまり覚えていませんが、夏休みに久しぶりに顔を合わせた友達全員が、向かう道中でただ黙り込んでいた、重く静かな空気だけは今でもはっきりと覚えています。

夏休みが明けると、その子はいつものように登校してきました。どんなに辛く悲しい夏休みを過ごしたのだろうと思うと胸が痛みますが、幼かった私はどんな言葉をかければいいのかもわかりませんでした。

その後も特に会話を交わす機会のないまま進級し、やがてクラスも離れ、それきりになってしまいました。 

毎年この時期にニュースを見るたび、私は必ず彼のことを思い出します。

当時は子供だった私たちも大人になり、今の彼はきっと、あのときのお父様と同じくらいの年齢になっているはずです。

遺族として、今も御巣鷹の尾根を登る人たちの中に彼がいるのかもしれません。

事故の凄惨さや、残されたご家族の背負うものの重さは、子供のころには到底理解できていませんでした。

大人になった今だからこそ、お父様を失ったあとの彼の生活や、残されたお母様の深い絶望に思いを馳せ、苦しくなるほどの切なさを感じます。

彼に兄弟がいたのかどうかさえ、私は知りません。けれど、あの大変な悲しみを乗り越えて、今はどうか温かい自分の家庭を築き、穏やかな日々を送っていてほしいと心から願っています。

雨の音を聞きながら、遠い記憶の彼方にいるクラスメイトへ、届くことのない静かな祈りを捧げます。

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