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『道端のおじいちゃんまで恋人候補!?』



職場の同期である、Oくんは、私のことを「ちいちゃん」と呼ぶ。




それは職場の誰もが同じように呼んでいるからであって、そこに特別な意味は全然ない。



それなのに、Oくんのことが好きらしい女性から、険しい顔で「どういう関係なんですか」と詰め寄られたことがある。




「同期です」と至って平然と事実を伝えたのだが、相手の脳内では一体どんなドロドロの愛憎劇が繰り広げられていたのだろう。




そしたら「ちいちゃん」と呼ぶ人間は、私のことを全員好きだとでも言うのだろうか。




んなわけあるかぁ〜。




ためしに、別の同僚であるショーゴさんに「私のこと、好きデスカ?」と聞いてみたら、予想通り「おぉん、好きだよ、何、俺がいなくて寂しかった?」と、ドヤってきた。




というのも彼は、すれ違う女性になら誰にでも同じように、息をするように軽々しく愛の言葉を吐き散らかす男だ。



あ〜ぁと呆れつつも、当のOくんに対してはまた少し違った見方をしている。



私はOくんのキャラクターを、お笑いコンビのインパルス板倉俊之さんのような、どこか斜に構えたインテリジェンスと独特のひねくれた人間観察眼を併せ持つタイプだと思っている。




無駄に気だるげで、一歩引いたところから世の中を眺めているようなあの感じ。



あちらはあちらで、私のことを「ちびまる子」と呼んでくるものだから、お互いに恋愛感情などこれっぽっちもなく、ある意味では完璧な両思いと言えなくもない。




そんなこんなで、Oくんの顔を見ると、ときめくどころか、じわじわとシュールな気持ちになり、妙なテンションになってくるから面白い。



そうか、彼女はOくんの本性を知らないのか。




女の子をとっかえひっかえして、水面下で修羅場をくぐり抜けている裏の顔なんて露とも知らないに違いない。




教えたら彼女、発狂するかな…こわいから言えないや。



おまけにOくんはナースとしての苦行もくぐっているから、のへらとしているようでいて、勘が鋭くて実はなかなかの強者。




恋愛沙汰にすっかり疲れ果てている猛者をその気にさせるのは、思っている以上にハードルが高いもの。



うーん、Oくんの好み、わからないけれども、天然で甘えるタイプっていうよりも、たくましくてリードしてくれる、しかもそこそこ美人な女性が好みなのではないかなと。




甘えるタイプだとして、超のつくかわいい顔面でないと、なかなか厳しいと思われます。(歴代彼女調べ)



Oくんは、面倒くさいですよ。そこまでしてOくんに尽くしたいのであれば、うん、頑張れぇ〜。




ちいちゃんは、全力で応援します。




それにしても、人に慣れていないウブな人たちは、出会う人間を片っ端から「男」と「女」の枠組みに当てはめて数えてしまうらしい。



こっちはただ「合うか、合わないか」とか「面白いか、面白くないか」だけでゆるく生きているから、相手に性別を意識するという発想がすっかり抜けている。




もしも出会う人すべてを恋愛対象の異性として意識していたら、年上だろうが年下だろうがごちゃまぜになって、脳みそがパンクしてしまう。



道すがらですれ違う、おじいちゃんにまで恋愛の対象として数えていたら、生きるだけでへとへとになってしまうではないか。



んなわけねぇべ〜。





……まあ、今日すれ違ったおじいちゃん、背筋が妙に伸びててちょっとダンディだった気もするけど。




え!!!





これが、ウワサの...恋ですか。いやん♡






と、いまのは、冗談。





でも、これは、本当。





巷で聞くイケオジなんて言葉を軽々と飛び越えて、我が職場にはその上の次元を行く、イケジジイ。御年70になる、うちのI先生がいる。




涼しげで端正な顔立ちに、艶サラでグレイヘア、天然パーマのロン毛を一つ縛りにして、スラっとした背格好で細マッチョ。



なぜ細マッチョとわかるかって、レントゲン検査の順番待ちで並んでいたら、パッと突然に黒のタンクトップ姿になったから。




まるでロックンロールスターのような出立ちに、思わず「うひゃあ〜、これは推せる!」と心の中でペンライトを振ってしまった、ちいちゃんでした。







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