「もう二度と来るか」と思った場所が、異世界の舞台になった話。
子どもの頃に書いていた異世界ファンタジーを、大人になって書き直しています。
今回は、異世界の舞台を考えた話です。
異世界は、どんな景色だろう。
子どもの頃は、そこまで考えていませんでした。
👧🏻「なんとなく外国っぽい世界!」
👧🏻「お城があって、王子様がいる!」
ほんとに、それくらいです。笑
でも、大人になって書き直しはじめるなら。
建物はどんな形にしよう。
人々はどんな服を着ているんだろう。
街並みは?
文化は?
世界の空気も、ちゃんと考えてみようと思いました。
思い浮かんだ、懐かしい景色。
ファンタジーというとヨーロッパ風が多いけれど、
私が選んだのは、地中海を感じる世界です。
実は私は、中東・北アフリカや地中海地域で暮らしたことがあります。
初めて暮らした頃は、本当に異世界でした。
言葉も違う。
文化も違う。
食べ物も違う。
気候も違う。
毎日、日本へ帰りたかった。
何度も泣きました。
帰国するときには、
「もう二度と来るか。」
と、本気で思っていました。
……でも、不思議なものですね。
そのあと、縁があってまたこの地域の別の国で暮らすことになり。
さらにまた、別の国へ。
気づけば少しずつ、その土地に惹かれていました。
今は、狂おしいほど懐かしい。
灼熱。
なのに、出てくるのは熱いミントティー。
建物の中へ入った瞬間の、ひんやりした空気。
砂で少しくすんだ壁。
マムルーク朝を思わせる、繊細で複雑な建築。
モスクから聞こえるアザーン。
市場のざわめき。
焼きたての平たいパンの香り。
シーシャの甘い香り。
どこまでも青い空。
青い海。
砂漠に沈む夕陽。
そして、意外なくらい寒い冬。
切なくなるほど、懐かしい。
異世界を書いているつもりだったのに。
そして、異世界を書き直しはじめた時。
頭の中には、いつもあの地域の空気がありました。
街並み。
建物。
空の色。
風。
匂い。
音。
人々の暮らし。
何かを書こうとすると、
気づけば、あの景色が脳裏をよぎる。
私はずっと、異世界を書いているつもりでした。
でももしかしたら、
帰りたかった景色を書いていたのかもしれません。
気づけば、物語の中にありました。
ちなみに、中東・北アフリカと聞くと、
「砂漠!ラクダ!石油!」
そんなイメージを持たれることが多いんですが(笑)、実際は本当にさまざまです。
私が暮らした国々も、
チュニジアは、海のイメージ。
エジプトは、砂のイメージ。
レバノンは、森と雨、雪のイメージ。
私の物語の終盤でも、
地域ごとの気候や風景の違いが登場します。
灼熱の南部地方。
雪が降る北部地方。
森林が広がる東部地方。
海沿いの西部地方。
書いているときは、全く意識していませんでした。
でも今思えば、かつて見た景色や空気が、
気づかないうちに物語へ溶け込んでいました。
だから私の異世界には、
少しだけ地中海の風が吹いています。
また、あの景色に会えたら。
今は日本で暮らし、子どもも生まれました。
あの地域へ気軽に行ける生活ではありません。
だから今は、物語を書きながら、あの景色を思い出しています。
いつか。
子どもがもう少し大きくなって。
もう少し中東情勢が落ち着いた頃に。
もう一度、あの異世界を歩けたらいいな。
