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アルゴリズムは「おもしろい」を評価しない。AI時代は「離脱されない作品」が価値の中心へ|書籍化ログ(#創作論 #Web小説 #note #エッセイ#なろう #文学)

こんにちは。こんばんは。
普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。

突然ですが、「ドパガキ」という言葉をご存知でしょうか。
SNSを覗くと、よくこの言葉が目に飛び込んできます。

私はこの言葉を聞いた時、
売春を「パパ活」と言い始めた時と同じくらい
不快な気持ちになりました。


●弱いものから狙っていく現代のエンタメ


「ドパガキ」とは、
「ドーパミン中毒のガキ」を略したネットスラングです。

具体的にはTikTokやYouTube Shortsなどのショート動画やスマホゲームなど、
短時間で強い快感や刺激を得られるコンテンツばかりを消費し、
普通の刺激では集中力が続かなくなる若年層や現代人を
揶揄・自虐する言葉としてSNSを中心に使われています。

一部では、タイパの影響とも言われていますが、
ここには現代のエンタメ市場が抱える構造的な歪みが潜んでいるように思うのです。

以前、「現代のビジネスは、人の意思ではなく、
脳の報酬系を直接刺激して時間を奪う方向へ進化している」という
海外起業家の言葉を紹介したことがあるのですが、
本当にその通りだと思うような経験をしました。

1.8億回再生されている日本のクリエイターがつくった
ショート動画の解説を見たのですが、
クリエイター本人が動画の「面白さ」について、
ひとつも言及しなかったのです。

代わりにバズる動画づくりのコツとして語られていたのが、
いかに人間の本能的な注意力を引き出すかという
まるで生物学のような話。

それが堂々と、コンサルティングをするようなクリエイターの口から語られていました。

これは果たしてエンタメなのでしょうか?

●「面白さ」から「認知負荷の低さ」への移行


現在のコンテンツ市場には厳しい現実が隠されています。

それは、コンテンツの主戦場が
「面白さの追求」から「認知負荷の低さと脳ハック」へ
急速に移行しているという事実です。

かつて、コンテンツの価値は
「いかに面白いか」「いかに感動させるか」にありました。
しかし現在、トップクリエイターたちが最適化しているのは
「いかに脳に原始的な刺激を与えるか」です。

言葉やストーリーの文脈を理解するには認知的エネルギーが必要です。
推論や意味づけや予想には「思考力」というカロリーを多く消費します。

そのため、徹底的に意味を削ぎ落とし、
視覚や聴覚への純粋な刺激だけを抽出する、
数秒ごとに場面を切り替え高速展開させる、
脳をバグらせることで注意を引きつける、
シームレスにループするようなコンテンツがつくられています。

結果として、読解や考察を必要とするコンテンツは敬遠され、
ただ受動的に浴びるだけの「摩擦ゼロ」の動画が市場を席巻しています。

●アルゴリズムと脳ハックの相性の良さ


ここで最も厄介なのが、
プラットフォームの評価軸が
この「脳ハック」と完璧に噛み合ってしまっていることです。

YouTube ShortsやTikTokのアルゴリズムは、
作品の芸術性や知的な価値を一切評価しません。

評価の基準は、
「何秒画面に滞在したか」「何回ループしたか」という
賑わいの数値のみです。

意味不明さによって視聴者の判断を一瞬遅らせ、
シームレスなループで無意識のまま2周目に突入させる。

この設計は、内容がエンタメとして全く面白くないものであっても、
システム上では「極めて優秀なコンテンツ」として扱われ、
さらに世界中へ拡散されていきます。

●なぜ大人は「デジタルおしゃぶり」を見続けてしまうのか


ではなぜ、人は面白くもない無意味な動画を
見続けてしてしまうのでしょうか。

結論から言えば、それは動画の内容を楽しんでいるのではなく、
「自身の思考から逃避するための麻酔」として利用しているからだと思うのです。

現代人は常に情報過多とストレスに晒されており、
隙間時間ができると無意識に悩みやタスクを頭の中で反芻してしまいます。
このストレスを強制的にシャットアウトするために、
外部からの強力な刺激を絶え間なく流し込む。

それはもはやエンタメではなく、
手持ち無沙汰と精神的疲労を和らげる「大人のデジタルおしゃぶり」ですよね。

思考するエネルギーは残っていないが、退屈という苦痛からは逃れたい。
その要求を指先ひとつの最小コストで満たせるのが、
今のショート動画なのではないでしょうか。

●思考を手放してはならない理由


退屈な時間や日々の疲労から逃れるため、
受動的なモードで「デジタルおしゃぶり」を口に含むことは、
一時的な鎮痛剤にはなるでしょう。

しかし、アルゴリズムが運んでくる刺激だけを
見続ければ、最終的にどうなるでしょうか。

おそらく、大切な時間や思考力を
プラットフォームとクリエイターによって
コントロールされ、
搾取されることになります。

意味のないものに違和感を覚えること。
情報を自分の頭で精査できること。

それは、時間という誰もが持つ大切な資源を
奪われないための抵抗力です。

だからこそ、
これからの時代に私たちが直面する大きな課題があります。

それは、有害コンテンツを遠ざけるのと同じくらい、
「意味のないコンテンツに違和感を抱く感覚」を
どうやって子供たちと共有していくか、ということです。

アダルトや犯罪のような明確な悪意には、
私たちはすぐに対処できます。

しかし、柔軟な子供の脳が、アルゴリズムの差し出す
「強制的に脳をハックする映像」に晒され続ければ、
無意味な刺激でドーパミンを出すパターンを強く学習してしまいます。

誰だって、疲れた夜には何も考えずに、
「デジタルおしゃぶり」を口に含んでしまうこともあるでしょう。
私も、つい、気持ちいいだけの無意味な音楽を聴いてしまうことがあります。

しかし、子どもたちを真の「ドーパミン中毒」から守るためには、
まず私たち大人が、この無自覚な麻酔から目を覚ます必要があると思います。

これからも容赦なく押し寄せてくるアルゴリズムと思考停止の波に、
考えるという「摩擦」を引き受け続ける。
その価値は、
これからますます大きくなっていくように感じます。


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うら表紙|無名→書籍化の記録(WEB小説) 読んでくれたこと、心より感謝します。いただいたチップは真心と思い、大切にします。私は時間がかかりましたが、あなたが私よりもっと短い時間で、自分の人生を愛せるよう願っています。