30年越しの映画『スワロウテイル』で打ちのめされた43歳
一昨日、30年越しに映画『スワロウテイル』が4Kリマスター版で劇場上映があり観に行ってきました。
今から30年前、当時33歳の若手映像作家だった岩井俊二が 『Love Letter』に続いて世に放った長編映画第2作、『スワロウテイル』。 英語・中国語・日本語が入り混じる多国籍的世界。 夢を追う“イェンタウン”と呼ばれた移民たちと、難役に挑んだ豪華キャスト陣。 そして音楽監督・小林武史が手掛けた名曲の数々。 誰も観たことの無い、まさしく唯一無二の世界観は、時を経てなお熱狂的なファンを生み出し続けている。 そして2026年。公開から30年の記念すべきこの年に、伝説の傑作が岩井俊二監督完全監修のもと4Kリマスター&Dolby Atmos化され、スクリーンに甦る。
結果、色んな意味で打ちのめされた
1番好きな映画監督は岩井俊二監督、その影響で映像業界に入ったといっても過言では無いほど好きな私。20年近く映像業界に携わり、今映像ディレクターとして働いています。

今回映画を見て一番驚いたのはなんと中身を全然覚えていなかったこと。
衝撃のような恐怖を感じました。(本当にごめんなさい)
あれ?あ?え?
あんなにサントラも聴きまくって映画も何度も(当時VHSで)観たつもりになっていたけど本当に観たんか?私。いや確実に観てるはず、でも覚えていない。
記憶のかけらも何も無い。
これが43歳の老化なのか……?
ワンカット、ワンカットに恍惚に似た尊敬を感じていたはず。絶対。
なのに、20年近く映像の世界にいて自分で編集もするもんで、シナリオとか美術衣装とか撮影編集を冷静に分析している自分がいる。(記憶がないだけ新鮮な気持ちで観れるとも言うけど笑)
精神年齢は変わらないつもりでしたが、肉体年齢(脳も記憶も含めて)は確実に衰えている。死までの時間が確実に短くなっている。
映画の内容関係ないやないか!笑
という打ちのめされ方をしました。
そして、また別のショックもあります。
30年前の私は13歳、ちょうど劇中のアゲハと同じ頃でした。
カッコ良い音楽と異国情緒あふれる世界観とおしゃれな映像美に、ある意味映像の世界に興味を持った最初の入り口かもしれん。
それが今は長女が12歳、自分は43歳。
昔は映画に憧れもあったけど、今では映像ではあるものの全く違う世界で時間に追われながらなんとか糊口を凌ぐ日々。
映画監督が輝かしい理想だった昔と、現在いちディレクターという平凡な現実の自分。両者の距離感をまざまざと見せられた気がして。
(職業に貴賎は無いんだけど)
昔の意気込みと慣れてしまった今を比べて落ち込みとも違う、なんだろう、感慨深さを感じました。
今の自分を否定もしないんだけど
「思えば遠くに来たもんだ」と。
これ40代くらいにあるあるなんじゃないでしょうか?
自分の人生にも「残り時間」があることを意識し始める。そして次世代を育て、少しずつ譲っていくことも増えてくる焦りも感じ始める。
同世代こそ観てほしい映画だなと思いました。
感傷に浸るお供には、良質な音楽
昔エンドレスで聴いていたYEN TOWN BANDの音楽とマイラバ(あえて当時の呼び方で)など90年代〜2000年代を代表するミスチルなどのプロデューサー小林武史さんの音楽。
岩井俊二監督が昔から好きなんですが、監督特有のクラシックなど劇中バランスの良い挿入のタイミングがやっぱり好きなんだよな〜
テーマ曲『Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜』って、完全にエンドロールだけで流れていたのが意外でした。あんなに映画を代表する1曲なのに潔く、余韻への使い方が今聴いても、薄い水色バックに映えるスタッフロール、最高に美しかったです。
「円」が強かった平成を、円安の令和に観る
CharaのPVのような、荒削りなのにものすごいエネルギーを感じる長回し。若くて肌すべすべイケメン過ぎる三上博史の純粋な視線。伊藤歩演じるアゲハが、少女から大人へ変わっていく過程の危うさと葛藤。
30年経って改めて観ても、やっぱりすべてが美しかった。
そして今回、昔とは全く違って見えたのが「円」。
舞台は、かつて“円”が世界で一番強かった時代、平成。バブル崩壊後ではあるものの時代が持っていたエネルギー、「円」の強さ。
偽札を子どもたちがどんどん刷ったり最後焼いていたりするシーン。
今や円安でどんどん萎縮している日常感覚な令和に改めて見比べると、なんとも言えない気持ちになりました。
とはいえ、それを引き起こしている一端は私たち現役世代でもある現実。
ちょーっと鑑賞に浸っている場合でも無いなとモチベーションが下がったり上がったり忙しい感情整理が追いつかない週末でした。
生きることは、NO BORDER
YEN TOWN BANDのボーカル・グリコを演じ中国語と日本語を操るChara。中国語を話すフェイホンを演じる三上博史。関西弁を巧みに話し、日本生まれ日本育ちで、感覚としてはコテコテの日本人である白人ミュージシャンたち。
英語、中国語、日本語が入り乱れ、「何人なのか」「どこから来たのか」だけでは人を括れない才能と熱意を武器に進む世界。一方で、円都に暮らす移民たちへの差別や迫害、暴力は生々しく描かれます。
夢を見ること。
誰かを純粋に愛すること。
そして何より、生きること。
そこは本来、NO BORDERなんじゃないんか!!!!
30年前よりもむしろ色々知った大人で、世界全体が移民問題を抱え混沌とする現代の方が、そんな憤りを感じながら観ていました。
人間は、他者との違いを探して壁を作り、時にそこに優劣までつけてしまう。歴史の中で何度も繰り返されてきたことなのに、また繰り返す。
それを説明ではなく、あの強烈なビジュアルとストーリーで見せてしまうところに、改めて岩井俊二監督の力を感じました。
まとめ、今観ても新鮮な喜び
そんなこんなで5周くらい回って、最後に残った感情は『JOY ― 喜び』。
30年忘れていたんだけど、いつでもこの映画は観ようと思えば観れたんだよね。それなのに、13歳だった私が43歳になり、子どもが生まれ、その長女がかつての自分とほぼ同じ12歳になった今、もう一度この映画を観た。そのことに、なんとなく意味があるような気がしています。
今ここにいるワタシが観た意味。
円の価値も変わった。
社会も変わった。
映像を取り巻く業界も変わった。
そして何より、私自身が変わった。
13歳の私には見えなかったものが、43歳の私には見える。
逆に、13歳の私に見えていて、今の私には見えなくなったもの、忘れてしまったものもある。
でも色々あったけどワタシはとりあえず、生きている。
それだけで、もう喜びなんじゃなかろうか。
実は常に身近に存在していた、喜びの種を再発見したような。
そんな歓喜に浸りながら、今日も粛々と平凡な日常に戻るのでありました。
普段は映像ディレクターとして、テレビショッピングを中心に、「人」を軸にした映像制作や演出に携わっています。
独立後の制作実績はこちらから↓
映像制作に興味がありましたら、noteのフォローやメッセージもお気軽にどうぞ😊
ここまでお読みいただきありがとうございます。
コメント100%お返しします。楽しみにお待ちしています。
====================================================
このような、動画制作や情報発信、ドラマや美術鑑賞の感想
時短育児と学びについてnote投稿中📝フォロー大歓迎😊
====================================================
#ジブン株式会社マガジン #映画 #映画感想文 #スワロウテイル #岩井俊二 #Chara #YENTOWNBAND #小林武史 #40代 #映像制作 #映像ディレクター
#おすすめ名作映画
いいなと思ったら応援しよう!
記事がお役に立てましたらサポートお願いします🙇♀️ いただいたサポートは主に映画館で映画を見たり書籍購入など次の活動や記事に活かされます