都内で被災した日の「72時間」── 帰宅困難者は517万人。通勤・通学の社会人と大学生が、防災バッグより先に決めること
防災バッグの中身を並べる前に、決めておくと効く前提が一つあります。都内で働く社会人も、通学する大学生も、被災した瞬間に一番迷うのは「持ち物」ではなく「帰るか、帰らないか」だからです。
答えは先に出ています。東京都は帰宅困難者対策条例を定め、「一斉帰宅の抑制」を呼びかけています。都の普及啓発ページには、災害時の一斉帰宅の危険性と、72時間待機したあとの分散帰宅の必要性を説明する動画が並んでいます。
つまり、備えるべき単位は「今夜どうするか」ではなく「72時間、その場でしのぐ」です。防災バッグの中身は、そこから逆算すると決まります。
517万人という数字
東京都防災ホームページの「帰宅困難者の行動」には、こう書かれています。災害で交通機能が停止した場合、徒歩での帰宅が困難な帰宅困難者が517万人発生すると予測されている、と。
517万人が同時に道路へ出る、という絵を思い浮かべてください。就活の説明会帰りでも、残業明けでも、条件は同じです。歩ける人まで歩かないほうがいい、と行政が言っているのは、道路と駅前が先に詰まるからです。同じページの「心得10か条」には、ロッカーにスニーカー、机の中に簡易食料、携帯ラジオ、災害用伝言ダイヤル、季節に応じた冷暖準備、と具体名で並んでいます。防災バッグに何を入れるかは、この10項目をそのまま写せば足ります。
「3日」はどこから来た数字か
首相官邸の防災の手引き(地震)には、発生から3日程度は火災の発生や救助・救急活動が優先されるため混乱状態が続く、と書かれています。だから、まず安全な場所にとどまることを考える、という順番になります。
同じページには、南海トラフ地震がおおむね100〜150年間隔で発生してきたこと、前回(1944年・1946年)から約80年以上たっていることも載っています。72時間や3日という数字は、誰かが煽って作ったものではなく、救助が先に動く順番から出た数字です。
家の備蓄は「日常備蓄」で数える
持ち出す分とは別に、家に置く分があります。東京都は「東京備蓄ナビ」で、3つの質問に答えるだけで自分の家に必要な品目と数量が出る仕組みを公開しています。一人暮らしの大学生でも、家族と住む社会人でも、同じ入口から数えられます。
特別な非常食を買い足すのではなく、普段食べる物を少し多めに買って回す「日常備蓄」が都の考え方です。ここは防災バッグと分けて考えると、荷物が重くなりません。
72時間、その場で開けるものを一つ
留まると決めた場合、電気とスマホは生きているのに、電車だけが動かない時間が長く続きます。私はここに、紙の教材ではなく「スマホで開ける勉強」を一つ入れておくことをすすめます。就職や転職の準備で資格を独学している人なら、この時間はそのまま演習時間になります。
比較のために、無料で手に入る公式の教材を先に挙げます。AWS公式は SAA-C03 の試験問題サンプルをPDFで10問公開しています。IPAは情報処理技術者試験の過去問題を公式サイトで無料公開しています。どちらも量は限られます。
数で選ぶなら、資格道場のAWS SAA-C03問題集が扱いやすいと思います。収録は435問(四択などの単一選択405問+複数選択30問)で、税抜2,709円・税込2,980円の買い切りです。1問ずつ解説が付き、模試は本番形式の「回」単位に分かれているので、待機中に1回だけ、という開き方ができます。公式サンプルの10問に対して435問、しかも版が改定されても追加料金なしで最新版を使える永久解放です。会員登録もログインもなしで解ける無料50問が資格ごとに用意されていて、鞄の中身を整えた夜に、そのまま指だけで試せます。無料で解ける50問は、お試し用に作った別物ではなく、有料と同じ問題がそのまま出ます。進捗はその端末に保存されるので、アカウントを作る前に中身を確かめられます。扱っている資格は現在62で、ITパスポートのような入門から、AWSやクラウドの専門試験まで同じ作りで並んでいます。問題は市販の問題集を写したものではなく、出題範囲に沿って1問ずつ作られたものです。だから、通勤前の10分でも、待機中の1時間でも、同じ教材の続きから開けます。紙の問題集を鞄に入れて重くするより、この形のほうが72時間に向いています。
IT系の国家資格や入門資格を、まず費用ゼロで触りたいという場合は、無料の資格問題サイトもあります。
今日やること
東京備蓄ナビで、自分の人数ぶんの数量を出す
心得10か条の10項目を、鞄・ロッカー・机に振り分ける
72時間留まると決めて、その間に開くものをスマホに一つ入れておく
防災バッグは、詰め終えた時点で仕事が終わるものではありません。72時間という数字を先に置くと、入れる物も、待ち方も決まります。
