ゆるしの愛とゆるさぬ愛 #10「聖なる悪夢」――第4章:盲目の聖者たち
Laed:ユウ
📚マガジン:ゆるしの愛とゆるさぬ愛
自らが聖なる側にいると信じ込んだ時、人はどんな悪夢のような残酷なことでも笑顔で成し遂げてしまう。
「先生、十字軍って、
要は聖地を取り返すための正義の戦いですよね?」
小テストを返却し終えた教室で、一人の生徒が首を傾げた。
「映画とかだと、
十字軍ってカッコいい騎士のイメージがあるんですけど」
「そうね。彼らにとっては、
紛れもなく『神に祝福された正義の戦い』だったわ」
私は教卓の上の『銀のインク壺』を見つめた。
「でも、ある人たちにとっての正義は、
別の人たちにとっての絶対的な地獄だったのよ」
私は静かに目を閉じ、血と炎と鉄の匂いが充満する絶望の聖地へとダイブした。
11世紀末、聖地エルサレム。
乾いた風が吹き抜けるはずのその街は、黒い煙と、鼓膜を破るような悲鳴に包まれていた。
西から押し寄せてきたのは、胸に巨大な赤い十字架を掲げた「鉄の騎士たち」だった。
彼らは「神がそれを望んでおられる」と叫びながら、重厚な鎧に身を包み、何千キロという道のりを乗り越えてやってきたのだ。
彼らからすれば、異教徒に奪われたキリストの聖墓を取り戻すこの遠征は、これまでのすべての罪が許される最も神聖な行為だった。
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