無価値の歩き方 #11「絶命宣告」 ――第4章:私の在り方
Lead:サエコ
絶命宣告
「木島次官。過去十五年分のGNEにおける……
『未計上の負債』についてだがね」
「……はい」
「明日、特捜局が動く。……そこでだ。
委員会の結論としては、一部の幹部による
『独断の不正運用と隠蔽』として処理する
ことになった」
「……独断、ですか。
大臣、あれは歴代内閣からの明確な
指示による――」
「そのような記録は、どこにも存在しない」
重厚なソファに深く腰掛けた大臣は、氷のように冷たい声でキジマの言葉を遮った。
「だが、君の権限でシステムを操作したログは
残っている。
木島くん。これは国家という『器』を
存続させるための、痛みを伴う適切な処理だ。
君が公僕としての務めを全うしてくれるなら、
ご家族の今後の生活については、我々が
責任を持って万全のサポートを約束しよう。
……頼んだよ」
重厚なマホガニーの扉が閉まる音。
それが、キジマが最後に聞いた「国家」の音だった。
「はは……適切な処理、だと?
ふざけるな」
薄暗い廃墟の通路を這うように進みながら、キジマは血の気が引いた唇で悪態をついた。
あの老害どもは、自分たちの首を繋ぐために、三百億EU(約三兆円)もの粉飾決算のすべてをキジマ一人の「個人的な横領」に仕立て上げたのだ。
だからキジマは、真実を海外の格付け機関か裏のネットワークに放流し、この国をデフォルト(債務不履行)させて道連れにするつもりだった。
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