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水辺の風と緑の風

ふらりと豊洲へ遊びに行った。
陽を反射して背伸びする直線のビル。
効率よく車を導く太い道路。
豊洲市場につま先を向ける、出身の違う人たち。
一枚の写真のよう。
その中にいるのが、なんだか妙に楽しかった。
知らなくても大丈夫、
そんな安心感があった。

今日の役目を終えたマグロの競り場を見学した。
整然と片付けられ、明日に備えたその場所。
誰もいない。
足跡すらない。
私の日常をはるかに飛び越える活気が数時間前まであったことを、鮮明に想像させてくれた。
「楽しい」
見えているものと見えないものに、わくわくした。

屋上に出た。
海風が、額と首をすらすらと通り過ぎる。
見えるのは、
東京湾、東京タワー、レインボーブリッジ、富士山。
「気持ちいい」
風も、景色も。
私は好き、東京。


住む街に帰る。
電車のドアが開き、いつもの駅、いつものホーム。
「ああ」

ここも東京。
東京は広い。
広すぎる。

足が勝手に動き改札へ連れて行く。
目を瞑っていてもわかる階段の段数。
蝉が両隣で鳴いている。
緑の風がゆっくりと流れている。

その日、初めて知ったのは、
風には色がある。



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