へそ天が教えてくれること。ねこに学ぶ、『心理的安全性』と無防備になれる信頼関係
1. ねこの「へそ天」という、信頼の証し
リビングの真ん中で、愛猫たちが無防備にお腹を出して仰向けで転がっている。いわゆる「へそ天」だ。
初めて見る者はその愛くるしい姿に思わず表情を緩めるが、お腹を無防備に晒すことは、野生で生きる動物にとっては、決して安全な姿勢ではない。
これは単なる「油断」や「サボり」ではない。
「この場所、この人の前では、少しくらい無防備になっても大丈夫」
という、信頼の証しなのだ。
2. かつての職場は、全員が「鎧」を着込んだ戦闘状態だった
かつての職場を振り返ると、そこは「へそ天」とは正反対の世界があった。
会議室はいつも重苦しい空気で満たされていた。
会議では誰も最初に発言しない。
上司が入ってくると空気が変わる。
会議後に本音が別の場所で語られる。
誰もが重く固い鎧で身を固め、急所を徹底的に隠し、常に背後を警戒しながら仕事をしているように見えた。
近年ビジネスで重要視される「心理的安全性」。
これは、「誰もが恐怖や不利益を恐れずに自分の意見や失敗を打ち明けられる状態」を言う。
過去の職場に、それはなかった。
お互いに警戒し合い、緊張の糸を張りつめさせていたのだから、心身がすり減っていくのも当然だったと言える。
3. 弱さを見せ合える関係こそが、実は最強である
ねこが「へそ天」をするのは、その空間が快適で、そこに安心して身を預けられるときなのだという。
それを見ているうちに、ふと思った。人間関係も同じなのではないかと。
急所を隠して牽制し合う関係より、お互いに「へそ天(無防備な状態)」を見せ合える関係の方が、無駄な争いが起きず、穏やかで建設的なエネルギーに満ちあふれる。
本当の「強さ」とは、誰にも隙を見せないよう硬い鎧で身を固めることではなく、信頼できる相手の前で素直に弱みや心のなか(お腹)を見せられるしなやかさなのではないだろうか。
4. 50代は、自ら「心のなか(お腹)」を少しだけ見せてみる
50代からのセカンドライフや、新しく紡いでいく人間関係において、私は自分から先に「心のなか(お腹)」を少しだけ見せてみることにしている。
実はこれが苦手なんだ
むかし、失敗したことがあってさ
プレゼンの前はいつも緊張してるんだ
と、完璧を装わずに自分のドジや弱みを笑って打ち明ける。
こちらが重い鎧を脱ぎ、無防備になることで、相手も「この人の前なら安心だ」と肩の力を抜いてくれる。
弱さを見せることは、相手に弱みを握らせることではなく、「わたしの前では、少し力を抜いても大丈夫ですよ」と伝えることなのかもしれない。
自分が先に「へそ天」を見せることで、その場に小さな「心理的安全性」が生まれ始めるのだ。
5. へそ天で生きる贅沢を、自分に許す
緊張と警戒の連続だった仕事生活は過去の話だ。
もう四方の敵に怯えて鎧をまとう必要はない。
今日もリビングでは、愛猫が何の心配もない顔をして「へそ天」で眠っている。
その姿を眺めながら思う。
信頼から生まれる「へそ天」こそが、人生の後半戦をもっとしなやかに、もっと心豊かにしてくれるのだろう。
今回は、マイキーさんの「エッセイしりとり」の企画で、なんと私にバトンが回ってきたことをきっかけに投稿しました。
私に回ってきた言葉は「へ」。
そしてその「へ」を回してくれたのは、CATs⁺p(キャッツ・ピー)仲間のわさびの縁側日記さんです。
ねこ好き繋がり、ということで私を指名してくれました。光栄です!
さて、今回のタイトルの最後は、「い」となりました。
「い」で始まるエッセイをお願いしたい方を3名指名させていただきます。
なお、バトンが回ってきたからといって、無理に書く必要はないそうです。
夏休み真っただ中で、めちゃくちゃ忙しい時期なのもわかっています。そんな中で突然しりとりを回してしまうことに、若干の申し訳なさもあります。
なので、バトンが回ってきたからといって、無理に書く必要はありません。
「今は無理!」と思ったら、遠慮なくスルーしてください。
ゆるい感じの企画のようです。
今回はスルーでも「バトンが回ってきたぞ!」ってことを楽しんでいただければ幸いです。
(企画そのもののルールに関しては、恐れ入りますがマイキーさんの投稿をご参照ください。)
では1人目。
猫の父さん@トトとチーさん
ノルウェージャンのトトちゃんとソマリのチーちゃん、そしてヒューマンの父さんの日常を、主に父さんの自虐的な目線でおもしろおかしく綴っています。ねこ愛あふれるエッセイをいつも楽しませていただいています。
そして2人目。
縄文猫さん
考古学からRockまで、様々なジャンルの記事を投稿されている縄文猫さん。田舎の風景からAIまで、時代を問わないRockな投稿をいつも楽しませていただいています。
最後の3人目。
ちゃか@コピーライターさん
私に「ねこは惑星」という言葉を授けてくれた人、そして変人認定してくれた人(むしろ光栄です)。言葉を生み出す「真の変人」のエッセイをいつも楽しませていただいています。
気がつけば、みなさんすべて「ねこ好き」ですね。
わさびさんから受け取った「ねこ好き」のバトンとともに、お渡しします。
よろしくお願いします。
それねこ
(本記事は、マガジン『ねこに学ぶ(2) 〜しなやかな暮らしの整え方〜』に収録しています。)
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会社や役割という鎧を脱いだとき、そこに残る『自分自身』を好きと言える生き方を、ここから一緒に始めてみませんか?
先生は、ねこ。
彼らが魅せる自由で飾らない佇まいにこそ、人生の後半戦を心豊かに生きるヒントが詰まっています。
本シリーズは、長年まとってきた重い責任や誇りをそっと手放し、「仕事人間からの脱却」を果たしたいと願うすべての人へ贈るエッセイ集です。
■ ねこに学ぶ(1) 〜仕事人間の重荷を下ろす生き方〜
長年、会社のために身を粉にして働いてきた元・仕事人間が、愛猫たちの姿や「猫のことわざ」から学び取った、肩の力を抜くための処方箋。
■ ねこに学ぶ(2) 〜しなやかな暮らしの整え方〜
仕事中心の生き方を卒業した50代へ贈る、人生の「余白」を味わい尽くすための作法。
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猫とは無縁の生活をおくってきた「仕事人間」が、猫と一緒に過ごすことで趣味探しをはじめた話をnoteで発信しています。
猫は家族のコミュニケーションの起点となり、穏やかな日常に欠かせない存在です。ただ癒しをもらうだけでなく「大切な同居人」としてもっと仲良くなりたいという気持ちから、ねこについて学んだことをマガジンにしています。
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