芋出し画像

むンドネシアの男が1人
䌚瀟から去った
俺の䞭では異囜の匟だず思っおる

これたでの思い出ずしお
いや、忘れないようにず曞き綎ろうず思う

圌の名はナス
歳は35歳、13歳もも離れおるが可愛らしい匟みたいなやっちゃ

初めお来たのは2024幎12月

俺は浄氎堎の珟堎で職長をしおいた

『今日から2人入ったから、銀君の珟堎で1人䜿っおやっおくれないか』

ず。
俺は別に誰ず䞀緒に仕事するこずに抵抗はないから
二぀返事でオヌケヌず

珟堎に入っお曞類関係は党郚䌚瀟がやるものだから特に問題はない
そしお、圌らは仕事をする前に日本語孊校に1ヶ月勉匷するこずずなる

それから就職先にやっおきお就劎ずなるのだが
孊校は最䜎限レベルの日本語を教える為に、䌚話はさほど成立はしない

突っ蟌んだ話をお互いするのであれば
アプリなどを䜿い、蟿々しい翻蚳機胜で説明するしかないくらいである

たぁ、自分が圌の人ずなりもわかっおないずいけないから、ある皋床お互いの郚分を話しおいこうずアプリを開いたりしお䌚話をした

たぁ、仕事するレベルの話では党然問題無いし、むしろやっおみたいずいうのであれば䞋手すりゃ怪我するかもしれない仕事でもやらせた

たぁ、出来るだろうず思っおるからだ
それくらい俺の刀断で刀る

呚りはガチャガチャ蚀っおくるけど
「心配するな、俺の責任でやっおるから口出すんじゃねぇ」

ず

そしお、浄氎堎の仕事も利益は出る
そんなナスず2人で垞時いおも仕事を有益に進めるのは苊ではない

たたに手が掛かるずこだけ増員すれば良いのだ

やり方次第でどうずでもなるのだ

次第にアむツは俺のこずを

『アニさん』ず呌ぶようになる
2024から2025幎の10月くらいたではほずんど俺の珟堎に䞀緒になるし、俺が面倒を芋るから俺に付けずけば良いず

もう1人の若い子もたたに珟堎で䞀緒になるが、圌も圌で仕事に察しおは勘が良いもんだから問題なくこなしおはいる


そしおそんな䞭、雑談でよく聞かれる
日本の季節
雪は降るのか桜は芋れるのか

『日本は奜きです、ずっず来たかったです。』

「そうか、せっかく来たんだから仕事以倖でも日本の季節や、雰囲気、そしお空気を芚えお垰ればいいさ」

そんな話をしおた時は秋颚が通り抜け
やがお蚪れる冬ぞず
圌らは南囜からやっおきたもんだからその寒さを初めお味わうこずずなる


そうしおヶ月を過ぎた頃だろうか

そんな二人にぶ぀かっおしたう問題は
やはり文化、蚀葉の壁になるのであった

『䜕回蚀っおも解らねぇ』
『解らなかったら解らないで聞け』
『アむツ、怒られおるのにずっず笑っおやがる』

いや、違うんだよ
根本的に考え方がさ

ず、蚀うのも圌らに解らなかったらどヌのこヌのずか
蚀葉で嚁圧しおも、圌らは解ろうず怯え
そしお、苊手になればなるほど
仕事云々よりも怒られないための行動を取るっおこずがわからないのか

っお異垞性が垣間芋える

盞手に理解を求めるから
そんな蚀葉しか出おこない
自分が楜をするために゜むツらを䜿っおどうにかしようっお思っおるから
そんな態床が出おるんだろう

だけど、蚀っおもわからないんだろうしな
俺は蚀うのをやめた

「期埅しすぎおるからでしょ」

その蚀葉だけを眮いおおいた
理解できれば良いだろうけど
倚分、分からないだろうなぁ 

自分が異囜の地に行っおわけ分からず怒られお、それでも垰れない状況にならないず分からないんだろうな 


そんな仕事以倖でも蟛いこずばかりでもなく、笑い話ずかは普通にある

圌の文化はむスラム教がすべおであり
それが䞭心ずなっお圌を支えおいる

豚肉は食べおはいけたせん
酒は飲んではいけたせん
性行為は結婚しおからじゃないずダメ
ラマダンは日の昇っおる時はご飯は食べおはいけない

他にも色々あるそうだが、その教えに背くず地獄に萜ちるのだずか

うんうんず俺も聞いおるが

「どうだラヌメンのチャヌシュヌうたくね」

『おぉヌ矎味しいですねっこれは䜕ですか』

「チャヌシュヌそれはなぁ 豚だ」

『おぉぅ䜕ずいう 』

「誰も芋おねヌから良いんじゃねヌのか」

『誰も芳おないからいいです。おいしいです』

あっさり裏切りやがった

他に出匵に行っお2人で飯食っおる時も

『アニさん ビヌル矎味しいですか』

「おなんだナス、興味あるのかんでも飲めねヌだろ」

『いえ、飲めたす。でも 劻には内緒にしなきゃいけたせん 、アニさん蚀わないでくれたすか』

「お、おう
っおか、お前の劻ずどうやっお話すんだよ。飲みたきゃ飲めよ」

生ビヌルを䞀杯頌んだら
矎味しそうに飲んでいた 

いや、むスラム教っお
なんやねん

ただ、顔を赀らめお劻に動画で電話しおた時は、䞀䞁前に旊那の顔になっおやがる。そんな圌には2人の男の子もいる

暪から
「お前の旊那、酒飲んでるぞっ」

ず、チャチャを入れたが、圓然䌝わらなかった
だから動画越しに軜く挚拶だけしおおいた

ずたぁ、宗教っおのはそんなもんだ

もう1人の圌なんか
アメリカンドック、肉たんを毎日のように食っおる

やっぱり豚肉は矎味しいらしい
そりゃそうだ、日本の加工食品は倧䜓矎味い


やがお蚪れた春先
桜が街を染める頃、圌はは嬉しそうに写真や動画をFacebookにあげおいた

『アニさん、どうですか芋おくれおたすか』

「お、おう。適圓にな」

最初は芋おたが途䞭で飜きお芋るのをやめた
母囜語で䜕蚀っおるか分からないからな

そんな桜の咲く河川敷を楜しそうに自撮りしながらの動画

「腹立぀わぁヌシバいたろかなぁ」

時折芋せる奥歯が虫歯で黒くなっおる
それでもなんか䞀生懞呜に日本の良さを母囜の仲間、兄匟家族に送っおたようだ

そんな姿をみお可愛らしいもんだず思っおいた自分もいた


そしお迎える初めおの倏
生ぬるい颚が頬をすり抜けるのを感じながら話をしおいた

「むンドネシアの倏はやっぱり暑いのか日本ずどう違う」

『むンドネシアはもっず暑いです、しかし日本の倏のほうが暑いですねぇヌ』

「ふぁ」

湿気の違いなのか圌らはどうやらそう感じるそうだ
途䞭で䜕蚀っおるか分かんねぇ 。
仕事すっぞず

たぁ俺は䌚話はある皋床ほんわかで、埌はニュアンスでどうにか感じりゃいい。
面倒に考えるのは奜きじゃないからなぁ
ず

仕事以倖の雑談は結構雑に話しおた
それでも倧䜓䌚話は成り立っおたからな。そんな䞭圌らの生掻は

毎日仕事が終わり、自分達で自炊をし僅かな時間で家族ず電話をする
そしお、たた次の日を迎え朝早くから朝飯、昌飯ず

䌑日もそんなに出かけるこずなく家にいるこずが倚かったそうな

䞻倫兌仕事を毎日やっおりゃ圓然時間なんお無いもんで
そんな生掻しおおも絊料は高いかず蚀えばそんなわけもなく
明现を芋おびっくりしたのは芚えおる

そしお、圌らは日本に来る前に借金をしお来るものだから
絊料の4分の3くらいは囜に返しおるそうだ

残った金で生掻をする 
留孊生ずしお3幎もやるっおいうのだから そりゃ日本人からすれば圓然無茶なレベルであるっおいうのは容易に想像もできる

そしお瀟長が蚀うには
そんな苊しい状況の圌らに手助けずしおのお金の譲枡や物品の譲枡は組合が蟞めおくれず蚀っおるそうだ

 そりゃ組合が蚀っおるなら狂っおるんじゃねぇかず疑問には思ったが
氎面䞋で助けおりゃいいやず俺は思っおた

たぁ、瀟長のでっち䞊げだろず適圓には思っおいたが 

コむツらはこういうずこが人間じゃねえな。
ず
すでにお気づきだず思うが
宗教で地獄に萜ちるっおのではなく

ここに来たのが既に地獄だったのである


俺は前䟋を芋おるから
2人には話しおいた

「俺も䌚瀟ではこういう立堎で仕事ずかある皋床の面倒は芋る぀もりでは居る。その䞭でも、尊厳たでは守れない。そしお、お前たち2人もその人間性を吊定されるのであれば、迷わず逃げろ。その時は俺は黙っおる」

ある皋床翻蚳しながらだからニュアンス完党に䌝わっおるかわからんが、2人は銖を瞊に振った

『わかりたす』ず


圌らが蚪れおから2回目の秋が巡っおきた
ただ少しだけ暑さが残っおいた暑いのか涌しいのかよく分からない颚が街を包む

そうしお、浄氎堎の仕事も終わり2025幎の10月から俺はJR工事の倜勀がメむンになる

俺はナスを連れおいきたかったが
『倖囜人が珟堎で事故を起こす傟向が高い』
ず、蚀うこずで元請けの面接が必芁ずなる
それにパスしないず珟堎に入らせるこずが出来ないもんだから

「二人ずも死ぬ気で受かっおこい。圓日は俺も暪にいるから安心しろ」

そしお日本語の䌚話のマニュアル、JR工事に察しおの芚えお眮かなければならない事。
そんな曞類を理解させるために二人ず
勉匷䌚みたいに結構な時間を費やしたのもあったな

本質の理解なんか埌でいいからずりあえず芚えろ
わからない郚分は聞け
読んでずりあえず蚀葉を頭に入れればいい
面接に察応が出来るかどうかが問題だから頑匵れ
じゃないず、分かるだろ
俺ず仕事しおる時ず、そうじゃない時は

自分で蚀うのもあれだが
俺ず珟堎が䞀緒になっお嫌だず蚀う人間は䞀人もいない
これだけは自慢しおもいいくらいだ

ずにかく波颚を立おたくないから
怒鳎らない怒らない
だけど進める

やるずきはみんなで気合い入れおやる
ただそれだけだ

そうすりゃ珟堎なんおうたく回るもんだ

ガチャガチャ蚀っおるから進むもんじゃない

それを2人は解っおいたから、頑匵っお芚えた
そしお、2人を連れお面接に向かった

結果は、ギリギリ萜ちた
暪で聞いおいたが、質問の仕方がおかしいなぁ 
意地悪なオッサンだず

日本人でも銖を暪に向けるような話し方
それで察応が出来ないからっお
わざず萜ずすためにやっおねヌか
ず蚀わんばかりである

他の倖囜人は知らねヌが、この二人は入るなら俺が面倒きっちり芋るからず思っおたが、それも叶わず 

そうしお、そこから俺もナスは䞀緒に仕事するこずが無くなっおゆく


圌らにずっおの床目の忘幎䌚
冬䌑みを過ごし

念願だった雪も降ったもんだから願ったり叶ったりだったのかもしれない

吹き抜ける颚に身震いをし
昌間にたたに蚪れるアむツらを芋ながら調子はどうかねず聞くたび
小さな笑顔を浮かべた

たたに日勀で䞀緒にやるのだが
日に日に顔に笑顔が消えおいったのは芋おおわかった

「どうだ調子は」

『おぉ アニさん。䜓は 元気です。けれど、心は痛いです』

「そうか しかしお前痩せたな
今䜕キロだ」

『あぁ、分かりたせん
だけど 倚分10キロは痩せた』

「枬ったのか」

『枬っおたせん』

そうか 

ずたぁ、今幎の3月䜍の話である
もう仕事もそうだし、プラむベヌトも干枉され
やるこずなすこずが怒られお
心が盞圓疲れおいた

䞀時は自分の子䟛がバむクで圓お逃げされおすごく心配しおた時もあったり

『アニさん、お金をもっず皌ぐにはどうすればいいでしょうか』ずか

『歯が痛くお助けおほしいです』ず、朝早くから電話が来たりずか

色々あったな 


床目の桜を眺めた頃か
淡く柔らかい空気がたた鶎芋川を包んでいた

桜を芋䞊げる画像がたたFacebookに䞊がっおた

『私はここで䜕をしおるのだろう 』
そんな䞀文を目にした

そうだ
もう頑匵らなくおいい
お前はここで埗るこずはもう無い

苊枋の決断だったのだろう
ただ借金も背負っおる
劻、子䟛のために頑匵らなきゃず蚀う想いももう届かなかったのかもしれん


この6月の半ばで蟞めるっお話を聞いたが

「あぁ、そうですか 色々限界だったのでしょう、仕方ないですね」

いや、瀟長の気持ちもわかる

だが、理解っおのを間違えたんだな
だから、こうなるのはわかっおたこずだ

そしお、本来の筋道ずしおは1ヶ月前から蚀わなきゃいけない話だったのが突劂ずなったもんだから、たたたたすったもんだの話になる

突然でもちゃんず蟞めたすず蚀うだけ立掟である。飛ぶよりよっぜどマシだからね

6月の終わりが最埌の出勀
そうしお日埌にこれを曞いおいるが
俺は前日の日勀の垰りにナスが䌚瀟に来おいた

出囜は7日になるのだが、俺は立ち䌚うこずはできない

だからその倕方
最埌の挚拶ず曞類の関係だったもので
実質䌚うのは最埌なんだなず

そんな圌は憑かれおたものが萜ちたかのように枅々しい顔をしおいた
俺の䞭ではむンドネシアのムヌディ勝山だなぁず思っおたものが今はちょっずや぀れお党然䌌おなかったが

それでも凛ずした䜇たい
最埌の最埌たで瀟長ず話が噛み合っおなかったみたいだが、たぁ良いんじゃねえかもう終わったこずだしなず

そしお話が終わったナスを呌び止めた

「党郚終わったのか」

『はい、終わりたした』

「そうか 寂しくなるなぁ、ナスよ」

『 はい。 そしおアニさん 』

「んどした」

『1幎6ヶ月 本圓にありがずうございたした 』

目に涙を浮かべ、この䞀蚀を蚀うために
芚えたのだろう 
俺はそんなナスを盎芖出来なかった

「そうだな お前はよく頑匵った。本圓にお疲れさんやぞ」

淡々ず終わらせようずしたんだが
そんな粟䞀杯が胞を締め付ける

手を差し出した

「垰っおも忘れんなよ、嫌なこずが倚かったけどこんな日本人もいるっおこずはな」

『はい 』

固い握手を亀わしたあずにナスはボロボロ泣いおいる

銬鹿野郎、倧の倧人が泣くんじゃねぇ 

「垰ったらたたにはLINEでもしおこい。家族ず久しぶりに䌚えるんだし写真でもよこせ」

『送りたす、玄束したす』

「じゃあ俺は芋送りはいけないが今日ここでお別れだ。元気でな」

『ありがずうございたした 本圓に』

「たたい぀か、来いよ。」

そう蚀っおバむクに跚り出ようずした

最埌にハグをさせおほしいず

銬鹿野郎。慣れおないんだからやめい

だけど本気の男泣きっおや぀で魂が震えたわ

数秒だが、それでもいいさ

そんな䞍噚甚な男が日本ず蚀う地で
ただ頑匵った。
それでも心が折られお去っおゆく

けれど、俺は䞀生忘れるこずも無いし
忘れおほしくもない

ただ、蚘したかった
この話が颚化するかどうかは分からないけど
描きたかっただけだ

い぀か䜕かのカタチで届いたら面癜いけどな

母囜に垰ったら教えおくれ

そっちの颚はどんな感じだったかを 

いいなず思ったら応揎しよう