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竹取物語~刃物を扱う教育のススメ

「どこ行くん?」
「竹藪」
「何しに?」
「筍を掘りに」
「知らん人の土地ちゃん?!勝手に入ってったら怒られるで?」
「所有者の許可は取ってあんねん」
「いつ?!」
「そんなん何十年も前やで」
「なんでそんなん出来てん?!」
「運とカンだけで生きてるから」

ハンコを作ったりササラを作ったりするのに竹が必要なのでどっか竹藪ねぇかなァ~とサイクリングしていたら、わりと近くにたまたまあって、しかもたまたま当時の雇用先のオーナーがその土地所有者と知り合いで「竹を数本いただけまいか」と交渉したところ、遠方に住んでいて管理が出来ず荒れる一方なのでいつでもいくらでも好きなだけ取ってくれたほうが助かると、竹材には困らない実質竹藪所有者になって早20年超。

「GWはどこも混んでるしお金使ってもたいして満足できひんからゼロ円で楽しいコト、どう?」
「なによ?」
「竹取物語。大量の土佐煮編」
「あ~懐かしいな~」
「最近とんと行ってなかったからな~久々に掘るか~」

20年前、我が子たちが小学生だった時に遊び場だったヨソ様の竹藪。
竹細工もいろいろ作ったな、手の込んでないタイプを。

ここと、ここを、

一心不乱に、切るだけ。ほら出来た。

柄杓。
柄が短いから腕が長いひと専用。
需要はあんまりないかな。

長男がおじーちゃんからもらった小刀を出して竹を勢いよく削るのを見て、私はため息が止まらない。
「はぁ・・・ったく・・・」
的中率の高い予言をしよう、長男はケガをする。
自業自得であるからそれは仕方がない。

竹藪に行く時に小刀を持って行こうとするので、私は言ったのだ。

「刃物を持ちたいならまずは研ぐことや」
「コレ研がんでも、結構、切れんで?」
「切れる切れへんに関係なく、刃物を持つ時に最初にすることが研ぐことや~ゆぅてんねん」

私は危険を避ける親ではなく、危険を教育する親でありたい。刃物が危ないから持たせないという選択は、男女に関係なくしない。私自身が小学生の時には既に刃物を持っていたので、この文明の利器は非常に優れているから早くから使いこなしたほうがいいと思っている。

危険な刃物を早くから与えるのであれば、刃物がどれほど危険であるかを聞く耳を持っている時に教えなければならない。

「シンクの下に砥石あんで」
「いけるいける~研がんでもいけんねん、おじーちゃんにもーたええヤツやから。おじーちゃん研いでくれとうから」
「大工のおじーちゃんも刃物は必ず使う前に研ぐやろうが。職人でもやんねん素人はもっとやれよ。今回はあきらめて次回にし」
「ええねん、ええねん」
これほど忠告しているのに、今から行く竹藪にすぐにでも持って行きたい長男は私の言葉などスルーである。試しに何度か使っているのですっかり使いこなせた気になっている。私は竹藪に出発する前に、刃物を研ぐことの意味を説明した。

「あんな?どのくらい切れる刃物なのかを知るために研ぐねん。刃渡りがだいたいこれくらい、厚みがどれくらいあって、重さがどれくらい、研いだ時の鋭さはこれくらい。そうゆう感覚を身につけるために研ぐんや。研いだら必ず切れ味を試したくなるやろ?試せば一度や二度くらい、自分の指を切るやろ。そうやって、切ったらどのくらい痛いのかを身につけるねん。それが身に付いたら、その小刀で人を刺そうとは思わへんやろ?そのために、研ぐんや。その感覚が入ってないヤツは刃物を扱う資格が無い」
「はいはいは~い、感覚なら入ってる入ってる~、刃渡りなぁ…ま・だいたい12~13センチってトコかな~」
長男はメジャーを出してきて、刃渡りを測った。約11センチ。
「なかったな~小さいねんな~」
刃物は実際よりやや大きく見える感覚は入ったみたい。

「行こ、行こ~」
竹藪で竹細工が出来るとあって、もう気分はハイ。研いでいないから次回に持参するようにしよう、という考えは全くないようである。
言ってわかんないヤツは、失敗から学ぶと相場は決まっている。

そうやって持参した小刀。
そうやって勢いよく切り始めた長男。
とうとう3回目の動作でザックリグッサリ。

「うわっ…やってもた…」
グッサリ流血ボトボトボト、よく切れる小刀である。さすが大工からもらった代物なだけあるねぇ、指、まだついてるかな?
「やるとおもった。」
「ううー…」
指先をグッサリ切った長男は第二関節あたりを圧迫。そして指先を下に向け地面に血痕を広げる「止血をしよう」という考えがあってよかったわ。でも指先は心臓より上にあげたほうがいいと思うぞ。

「なんでそうなったん?」
「指を…前に置いてもた」
「そら、切れるわな。なんで、ああやってシャッ・シャッていう切り方をしてたん?背に親指二本とも添えてな?こやって削らな」
「うん…そやって削らなアカンなぁ、てやりながらおもてん。こら切るわ、もっかいしたらあの削り方に変えよ~とおもた最後の一回で切ってもたイタ~ッ」
「一歩、遅いねん」
「ううー…痛い」
「ハンカチ出して、薄いヤツ」
ハンカチで止血しているそばからもう血は滲み、流血しながらの帰宅。

手当をし、包帯できつく縛っておく。
「スゴイもんやなぁ…医者いらずやな」
「こんなことで医者代使おうとすなっ!こうやって縛ってたら水汲み行ってる間に血は止まるやろ」
「えっ?!行かすんかいっ?!ケガしてるのに?!」
「当たり前やないか、やることはやれ。忠告無視してやったケガやろ己の落ち度や免除には値せん」
「いたわってくれよぉ…痛い…あぁ…痛い…」
「痛いやろぉ?行ってらっしゃい」
「はぁぁあ…行ってきます…」

「ただいまぁ…あー…痛い」
「痛いやろぉ?ジンジンするやろぉ?」
「する。するな」
「脈、打ってるの、わかるやろぉ?」
「わかる。わかるな」
「脈、打つたびに痛いやろぉ?」
「あぁ、そうそう。脈が痛い」
「これで、切ったらどう痛いかわかったやろぉ?」
「わかった。わかるわ、まじで」
「はい、よかったね指あって。指なくなってわかる人もいるんやで」
「ぁあー…痛いわ…」
「なぜこの家に、カーゼがあり油紙があり包帯があると思うよ?なんでこんだけの手当てがすぐにできると思うよ?」
「…なんでやろぉなぁ?」
「同じようなケガをいかに私がやってきたか、ちゅうことや。経験者は語る、やろぉ?」
「語るなぁ…ホンマ経験者は語るな」

「だから語ったのに、こうなる前にな」
まずは研ぐことやてゆぅたのに聞かんからや。研いだ後の試し切りでならこんなにグッサリいくこともなかったのにね。治るまでが長いよソレ、物をつかむ時に痛い思いするでソレ。聞く耳を持っていないと失敗はつきもの、難儀やのぅ。

久々の実質ウチの竹藪ではGWには筍堀りが楽しめて、じつに楽しい。
コイン精米機のヌカ無料、タケノコも無料。
なんて素晴らしい響きであろうか「無料」ん~イイ日本語だ。

「筍の頭がちょっとだけ見えてる、てのが理想。栗目と一緒で筍目もあるからな」
山の栗拾いとか竹藪の筍堀りはね、最初は何も見えないのよ。
栗ないな~筍ないな~とか言いながら歩き回って「全然ないやんか~」と同じ所を3周くらいしたら急に見えて来るのよ「あった!」つって。

最初の1つが見えたらもぅ次から次に見えて「さっきもあったんかなコレ?なんで見逃しててんやろ?」て不思議なくらいよく見える。

ピントが合わないように出来てんだよね、自然の恵みつ~のは。
山菜なんかもそうで繁殖するためには採られてたまるかと、カモフラージュしてんだよね、だから都会で生きてる人間ほど見えない。
駐屯地が2つもある伊丹では迷彩服の自衛隊員をよく見かけるが、街中ではとんでもなく目立っているので「こんなんで大丈夫なんかな」て心配になるけど、大丈夫やで。私、生垣の隣りに立ってただけの自衛隊員がまじで見えんかったから。山の中とかじゃなくても、生垣ごときでもちゃんと同化するよ、あの服すげぇのよ。ゴメンなさいねあの時の隊員サン、人をよけるのに生垣スレスレを走ってたもんでまさか人間がいると思わなくて1mくらい飛んだよね「変質者が出た」みたいな反応になってスイマセン国守ってるひとなのに。

筍はね「湯を沸かしてから掘りに行け」と言うほど鮮度が命。

掘る道具はね、鎌がベストやで。皮を剥く時も、鎌が早い。

このあたりに鎌を入れて一気に剥く

筍の皮は下から一枚ずつなんて七面倒臭い剥き方しひんで。筍の頭に鎌をナナメに入れる、首を完全に落とすんじゃなくて首の皮2~3枚手前で止めて鎌の刃と筍の皮を親指で押さえて一気に下に引く、キリトリ線みたいに一筋だけ剥き身が見えるから、一番下に両手の親指突っ込んで開く!コツつかんだら10秒やで。高級な刃物である必要はないよ、私の鎌ダイソーやから。切れ味は悪いけど技術でカバー出来る、技術をつけるのは回数をこなすだけの簡単な方法です。言ってないでやれ何事も、やった分だけ身に就くから。

ヌカで下茹でしてアク抜き完了

「筍1本800円とかしとうな」
「ペペペ~と2時間ほどで4000円相当は掘ったんちゃう?」
時給2000円、グッジョブ。

穂先のやわかい部分と根元は分けて土佐煮

「ブリブリうんち出るから便秘のアンタに打ってつけの食材やな」
「楽しくて~おいしくて~うんちブリブリ~ほんでタダ。筍てパーフェクトやんな~」
これからの投資先は竹藪だな。

#創作大賞2025 #エッセイ部門

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千徒馬丁 サポートをしていただいてもいただかなくても文章のクオリティは変わらない残念なお知らせをしますこと、本当に残念でなりません。 無料の記事しか公開しませんのでいつでもタダで読めます。 この世にはタダより怖いモノはないらしいので記事ジャンルはホラーてことで。