俺は、本当にミュージシャンになれるのか。
MUSIC SESSIONが終わりに向かっていた頃。
ふと、これまでのことを振り返ってみた。
MUSIC SESSIONを始めたことで、渋谷La.mama、目黒鹿鳴館、新宿LOFT……。
自分一人では、とても立つことができなかったような「聖地」と呼ばれるライブハウスのステージに立つことができた。
もちろん、仲間がいたからこそできたこと。
でも、正直に言うと、
「俺の貢献度、高すぎじゃね?(笑)」
なんて思ったりもした。
俺についてきてくれれば、こんなステージに立てるチャンスだってある。
それなのに、離れていく人たちがいる。
そう思ったら、なんだか悔しくなった。
「見返してやりたい」
そんな気持ちが芽生えた。
そこで、あることにチャレンジしてみることにした。
ヴォーカリストオーディションへのエントリー。
歌手とかミュージシャンって、俺の中では、ものすごくハードルが高い世界だと思っていた。
でも、このオーディションはちょっと違った。
音楽を、みんなと一緒に楽しむ。
そんなコミュニティをベースにしながら、合格すれば、ちゃんとミュージシャンとして活動できるフォーマットが用意されている。
所属するというより、基本は個人で活動していく。
そのうえで、ライブの場所を用意してくれたり、オリジナル曲を制作したり、カラオケやサブスクで配信したり。
さらに、外部のファンだけじゃなく、コミュニティの中にもファンや仲間を増やして、一緒に成長していける環境がある。
もちろん費用はかかる。
でも、話を聞いてみたら、最初に想像していたよりは現実的な金額だった。
「これなら、やってみてもいいんじゃない?」
そう思った。
そもそも、オーディション自体のハードルは低そうだった。
だから、
「まあ、合格はするでしょ!!」
くらいに思っていた(笑)。
とはいえ、合格した後の費用やスケジュールなんかは、分からないことだらけ。
本気で飛び込むというより、
「とりあえず腕試ししてみるか」
そんな気持ちだった。
オーディションは、歌っているデータを送るだけ。
ちょうどその頃、スタジオで練習していたので、
「じゃあ、このデータそのまま送っちゃおう(笑)」
と、そのまま送った。
そして……
合格しました!
「まあ、合格はするでしょ!!」
とは思っていたけど(笑)、合格したらしたで、
「……で、どうしよう?やる??」
となる。
そこで、まずは話を聞いてみようと、面接に行った。
そこで説明されたのが、オリジナル曲を作ってもらえるということ。
プロデューサーが担当して、自分のオリジナルソングを制作する。
完成した曲は、カラオケやサブスクで、誰にでも聴いてもらえるようになる。
大小さまざまなイベントLIVEにも出演できる。
話を聞いているうちに、
「ちゃんとミュージシャンとして活動できるんだ」
と思うようになった。
そして最後に背中を押したのは、やっぱり自分自身の気持ちだった。
「何かやらないとダメだ!」
そう思った。
やらないで後悔するなら、やって後悔したい。
これは、これまで何度も自分の中で繰り返してきたことだった。
だから、やってみることにした。
去年の8月。
ここから、俺の「ミュージシャンへの挑戦」が始まった。
……とはいえ(笑)。
いまだに俺のオリジナル曲は、配信されていない。
とりあえず、プロジェクトの流れとしては、
まずは課題曲をもらって、それを覚える。
ボイストレーニングをしてもらって、そしてプロデューサーにお披露目。
ここまでは今年の2月に終えた。
そして、いよいよ。
自分のオリジナルソングをもらう。
初めてその曲を聴いたとき。
俺、涙が出た。
曲が良かったから?
もちろん、それもある。
でも、それ以上に、
歌詞の内容も、メロディーも、自分っぽかった。
その曲の中に、
「積み上げた時間は 消えることはないから」
という言葉があった。
聴いた瞬間、
「まさに、そう!」
って思った。
これまで、自分はどんな時間の使い方をしてきたんだろう。
後悔なく生きてこられたんだろうか。
もし、後悔している時間があるなら。
これからは、楽しく一緒に生きていこう。
そんなメッセージが込められている。
それはまさに、BAR GRAYのマスターとして、これまでお客さんに伝えてきたかったことそのものだった。
この曲のタイトルは、
「それでいい」
という。
なんだか不思議だ。
BARを始めたことも。
音楽を始めたことも。
MUSIC SESSIONを作ったことも。
たくさんの人と出会ったことも。
失ったものも、うまくいかなかったことも。
全部ひっくるめて、
「積み上げた時間は、消えることはないから」
そう言ってもらっているような気がした。
……ただ。
ここからが、また現実(笑)。
曲をもらったあと、覚えて、ボイストレーニングをして、レコーディングへ。
そういう流れだったんだけど、その頃はいろいろと忙しくて、なかなか音楽に時間を割くことができなかった。
そして……
半年、寝かせてしまった(笑)。
でも、8月に入って、
「そろそろ動き出さなきゃな」
と思い、また動き始めた。
これからレコーディング。
正直、どんな感じに仕上がるのかは、まだ分からない。
不安もある。
でも、完成したら。
いろいろな人に聴いてほしい。
今まで一緒に音楽をやってきた仲間にも。
BAR GRAYに来てくれるお客さんにも。
そして、これまで出会ってきたたくさんの人たちにも。
俺はまだ、「ミュージシャンです」なんて胸を張って言えるほどのものじゃないと思っている。
だって、これまではほとんどGLAYのコピーだったから。
どんなに頑張っても、本家を超えることなんてできない。
それでも、ステージに立つのは楽しかった。
目立ちたがり屋っていうのもあるけど(笑)。
そして、たくさんの人に誘ってもらえたから、ここまで続けてこられた。
MUSIC SESSIONがあったから、バンドマンになれた。
そして今度は、自分の歌を歌う。
もしかしたら、これもまた新しい世界への入口なのかもしれない。
何歳になっても、やってみたいと思ったことには挑戦してみる。
やらないで後悔するくらいなら、やって後悔する。
だって、
積み上げた時間は、消えることはないから。
完成した俺の歌を聴いてもらったとき、
「それでいい」
って思ってもらえたら、うれしいな。
