バリカンと共に生きる。――バリカンが繋ぐ、青春の甘酸っぱい思い出と、おっさんの虚しい現実③
教室に並んだ二つのジャガイモ。女子の一言に絶望する
ぜひ、1話目から読んで欲しいです👇
野球部はやはり坊主頭にしなきゃならない。
春休み中、このことがわかった我々新入部員組は、入学式の前に坊主にすることにした。
まだ見ぬクラスメイトに対して最初から坊主頭という認識を持ってもらうことにしたのだ。
しかし、この判断が悲劇を起こすのだった。
入学式も目前にせまり、春休みから練習に参加していた我々新入部員4人衆もついに坊主頭になった。
初めて坊主頭にしたときは、無性に恥ずかしかった記憶がある。
それは、他の新入部員3人の坊主頭を見ても消えることのない感情だった。
むしろ、他の3人はなんとなく坊主頭が似合っているが、自分だけが似合っていないように思えて、余計気が滅入った記憶がある。
どこかすっきりしない気持ちのまま入学式を迎え、我々一年生のクラス割りも発表された。
私の出身高校は、全校生徒1300人余りのマンモス校。
私の代は、一学年およそ460人の10クラス編成。
1クラスおよそ46人いた計算だ。
昭和48年生まれの私は、第二次ベビーブームのピーク世代。
今では考えられない子供の数だった。
そんな状況の中、私と同じ中学で共に春休みから野球部の練習に参加していた友と同じクラスになった。
この友は今後、Kと呼ぼう。
私の出身中学校からこの高校へ進学したのは、男女合わせて確か40人ほど。
中学の校区内から割と近かったので、他の中学校の出身者より数は多い。
それでも単純計算で1クラスに男女合わせて4人ほど。
そんな中、Kと同じクラスになるのは、まあまあ珍しい確率だ。
でも、このくらいならありえない話ではない。
しかし、これが悲劇の始まりだった。
私もKも坊主頭。
初めて会ったクラスメイトは、当然からかったりはしない。
この点は作戦通りだ。
だが、問題は席順だった。
なんと私は出席番号が1番だった。
つまり、教壇から見て左の最前列。
そして、Kは出席番号8番だったか。あろうことか私の隣の最前列の席となった。
教室入って目の前の最前列にジャガイモのような坊主頭が二人並ぶという光景。
ウケる。
俺が当事者でなかったなら、ネタにして笑っていたかもしれない。
これなら、しばらく経ってから坊主頭にしたほうがよかった。
野球部だから仕方ないよね。
こう思ってもらえただろう。
まあ、男子だけのクラスなら別に構わなかった。
しかし、ここは共学の高校。
当然、女子も同じクラスだ。
そんな中、ある女子の友人との会話するが耳に入った。
「ねえ、あそこの中学ってみんな坊主だったの?」
教室が一瞬静まり返ったような気がした。
もちろん悪気があって聞いたわけではない。
ただの興味本位だ。
だが、俺に聞こえないようにして欲しかった。
まだ自分でも慣れない坊主頭に対して、ただでさえ恥ずかしい気持ちだったのに。
他の奴らもこう思っているのだろうか?
私はこのクラス割り、強いてはこの出席番号をちょっとだけ恨んだのであった。
しかし、勘のいい読者の方は違和感を覚えたかもしれない。
このことについては、
次回へ続く。
とさせていただこう。
