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パンジーでもビオラでもない、薄紫のすみれのこと

春になると、街の花壇やベランダの鉢植えでよく見かけるのが、パンジーやビオラたち。色とりどりで、ひらひらとした花びらが風に揺れる様子は、見ているだけで心が和らぎます。

でも、先日散歩をしていたとき、ふと足元に目をやると、ちょこんと咲いた三輪の小さな花が目に入りました。よく見ると、それはパンジーでもビオラでもない、「すみれ」でした。しかも、ほんのりとした薄紫色。控えめで、でも凛としていて、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる花でした。まだ冬なのにすごい!

すみれは、もともと日本の野山に自生していた野草のひとつです。最近では園芸種のパンジーやビオラが人気ですが、昔は春になると、道端や土手、公園の片隅など、自然な場所に当たり前のように咲いていた花です。

パンジーやビオラはヨーロッパ原産の園芸品種で、花が大きく色も鮮やか。その華やかさが魅力ですが、すみれはそれとは対照的。花は小さく、色も淡くてやさしい。薄紫や青みがかった紫、白に近いものもあって、一つひとつに個性があります。

あのとき見かけた薄紫のすみれは、たぶん「タチツボスミレ」だったのだと思います。日本で最もよく見られるすみれの一種で、湿った場所や木陰などにひっそりと咲きます。パンジーやビオラのように主張しすぎることはなく、でも、そこにちゃんと存在していて、誰かが気づいてくれるのを待っているような、そんな雰囲気がありました。

子どものころ、春になると母と一緒に近くの土手を歩いて、小さなすみれを見つけては「きれいだね」と言い合った思い出があります。大人になると、足元の小さな花にはなかなか気づかなくなってしまうけれど、ふとした瞬間にそういう花と再会すると、時間がゆっくりと巻き戻されるような気がします。

最近は都市化が進んで、すみれが自然に咲いている場所も少なくなりました。でも、目を凝らして探してみると、公園の木陰や、少し湿った歩道のすき間などに、まだ健気に咲いているのを見ることができます。

パンジーでもビオラでもない、あの薄紫のすみれ。その静かな美しさに、心がふっとほどけた冬の朝でした。

読んでくださりありがとうございました♪

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