小石の恩返し(散文詩)〜壱〜/うたの輪
チャポン
チャポン
決まった時間になると
小石が池に飛んでくる
まあ気にすることの程ではない
人様の前に姿を現して
良かった試しは一度もない
ただ
毎日
毎日
繰り返し
繰り返し
落ちてくるもんだから
少しだけ興味が出た
バレないように
水の中から
投げてる奴を確認したら
これまた汚いガキでさ
このご時世に
髪はボサボサ
服はボロボロ
目もなんだか虚ろで
ちょっと心配になるくらい
拾っては投げ
拾っては投げ
繰り返してるわけ
人様の気持ちなんざ分かりもしないが
そんなんで楽しいのかって
もっと違う遊び方とか
あるんじゃねえのか?って
そう思ってさ
まあこれは職業柄とでもいうべきか
落ちた小石を
投げ返してやったのよ
「だれ?」
生気がなかった汚ねえガキも
流石に驚いたようで
キョロキョロした後帰っていった
そしたら次の日
また
チャポンっていうわけ
まあこっちとしても
プライドみたいなもんがあるんでね
仕方なく返すんですよ
十回に一回くらいね
そしたら
なんとも不器用な笑顔を作るのよ
まあ親は何やってんだなんて思ってね
くる日も
来る日も
ガキはきた
ある日雨が降った日があってね
流石に今日はこないだろって
思ってたんだけどね
ポツポツの中に
チャポン
が混ざってね
仕方ねぇからプロとして
相手してやろうと
様子見に行ったら
ガキが足滑らせやがって
そのまま池に落ちたんですよ
迷ったんだがね
こっちも人様に顔見せれる存在でも
ないんでね
まあでも
ガキが動かなくなるのも
気持ちがいいもんでもないんでね
まあ水の中は庭なんでね
気絶したガキを抱えて
岸辺に置いといたわけよ
暫くしたら
気が付いたみたいで帰っていったけど
その後が大変よ
なんかいきなり機械が押し寄せて
埋め立てなんて始めやがって
こちとら棲家を奪われてお引越しですよ
まあ恨み辛みもないこたないんだが
幸薄そうなガキが
あのまんま眠ったままってのも
忍びなくてね
まあ山奥の方に引越したんだけども
住めば都ってね
スローライフ決め込んではいるんだが
たまに雨の日なんかにゃ
あのガキどうしてんのかな?って
たまに思うわけですよ
まあ悪くはないんだけど
退屈でね
たまに
たまにですよ
チャポン
なんてあってもいいかな
なんてね

