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ホワイトペーパーはなぜ、PDFなのか?

マーケティングについて調べていると、「ホワイトペーパー」という言葉が出てきます。

企業のウェブサイトで、

無料ダウンロード
○○完全ガイド
○○事例集
○○チェックリスト

と案内されている、あの資料です。

名前やメールアドレス、会社名などを入力するとPDFをダウンロードできる。

BtoBのマーケティングでは、かなりよく使われています。

でも、以前から少し疑問がありました。

これ、普通にウェブページで公開したらダメなのだろうか。

わざわざPDFにする理由は何なのでしょう。


そもそもホワイトペーパーとは何か

もともと「White Paper」は、政府などが政策や調査結果をまとめた「白書」を意味する言葉です。

現在のマーケティングでは、少し意味が広がっています。

企業が持っている知識や調査結果、事例、ノウハウなどをまとめた資料を、ホワイトペーパーと呼ぶことが多くなりました。

内容もさまざまです。

業界動向をまとめたレポート。

導入事例集。

サービス比較表。

チェックリスト。

業務改善の手順書。

調査データ。

テンプレート。

つまり、何か特別な形式が決まっているわけではありません。

ざっくり言えば、

読者が何かを理解したり、比較したり、判断したりするための資料

です。

そしてマーケティングでは、この資料と引き換えにメールアドレスなどを登録してもらうことで、見込み客との接点を作ります。


でも、なぜPDFなのか

ここで最初の疑問に戻ります。

チェックリストならウェブページでも作れます。

事例集も記事として公開できます。

調査レポートだって、HTMLで読めます。

むしろスマートフォンなら、PDFより普通のウェブページのほうが読みやすいこともあります。

それでもホワイトペーパーにはPDFが多い。

理由はいくつか考えられます。

PDFなら保存できます。

社内で共有できます。

メールに添付できます。

印刷できます。

レイアウトも崩れにくい。

「一冊の資料」として扱いやすい。

つまり、情報を読むだけではなく、

持ち帰る

ことに向いています。

ここは、普通の記事とは少し違います。


記事は読む。ホワイトペーパーは持ち帰る

たとえば、

「求人広告を出しても応募が来ない理由」

という記事があったとします。

記事を読んで、

「なるほど」

と思う。

これは情報発信です。

では、その記事の最後に、

求人応募が来ないときに確認する20項目

というチェックシートがあったらどうでしょう。

これは保存して、自社の求人票を見ながら確認したくなります。

誰かに見せるかもしれません。

会議で使うかもしれません。

ここでPDFという形式に意味が出ます。

記事は「読むもの」。

ホワイトペーパーは「使うもの」。

そう考えると、少し分かりやすくなります。


マーケティング側には、もう一つ大きな理由がある

もちろん、PDFそのものが重要なのではありません。

企業側から見ると、ホワイトペーパーにはもう一つ大きな役割があります。

連絡先を受け取れることです。

普通の記事なら、

1000人が読んでも、その人が誰なのか分かりません。

しかし、

「この資料をダウンロードするには、メールアドレスを入力してください」

とすれば、匿名だった読者との接点ができます。

広告を見る。

記事を読む。

資料をダウンロードする。

メールを受け取る。

セミナーへ参加する。

相談する。

商品やサービスを購入する。

ホワイトペーパーは、この途中に置くことができます。

いきなり、

お問い合わせください。

では動かなかった人から、

もう少し詳しく知りたい。

という小さな反応を受け取る。

DRMの視点から見ると、かなり分かりやすい仕組みです。


「資料が欲しい」と「営業してほしい」は違う

ただし、ここには少し注意が必要です。

資料をダウンロードした人が表明したのは、

この資料を読みたい。

という意思です。

必ずしも、

営業してください。

という意思ではありません。

ところが企業側では、

「ホワイトペーパーをダウンロードした」

「見込み客になった」

「営業へ渡そう」

と進むことがあります。

そして営業担当者から電話がかかってくる。

読者からすると、

いや、PDFを読みたかっただけなんだけど。

となる。

マーケティング担当者は、

「今月100件のリードを獲得しました」

と喜ぶ。

営業担当者は、

「この100人、本当に電話していい人ですか」

と困る。

読者は、

「電話番号まで入力しなければよかった」

と思う。


PDFを開いて、がっかりすることもある

さらに問題があります。

会社名。
氏名。
メールアドレス。
電話番号。
役職。
従業員数。

いろいろ入力して、ようやくPDFを手に入れた。

開いてみる。

すると、

「SNS運用で重要なのは、継続することです」

「顧客目線で考えましょう」

「目標を設定しましょう」

というような、どこかで見た内容が並んでいる。

これは、なかなか悲しい。

読者はPDFが欲しかったわけではありません。

答えが欲しかったのです。

情報を渡す代わりに個人情報を受け取るのであれば、その交換が釣り合っている必要があります。

ホワイトペーパーのダウンロードは、とても小さな取引とも言えます。

企業は、

役立つ資料を渡します。

読者は、

では、自分の情報を少し渡します。

と交換する。

だからこそ、中身が薄ければ、その時点で会社への評価も下がります。

逆に、

無料なのに、ここまで整理してあるのか。

と思ってもらえれば、その後の情報にも耳を傾けてもらいやすくなります。

ホワイトペーパーそのものが、最初の顧客体験になるわけです。


何でもPDFにすればいいわけではない

ここまで考えると、ホワイトペーパーを作るときに一つ基準ができそうです。

なぜ、この記事をPDFにするのか。

です。

3分で読める説明なら、普通の記事のほうが便利かもしれません。

検索して見つけてもらいたい情報も、ウェブページのほうが向いています。

一方で、

チェックリスト。

比較表。

テンプレート。

調査結果。

事例集。

社内で検討するときの資料。

何度も見返すもの。

こうしたものなら、「持ち帰れる」ことに意味があります。

PDFにする理由があります。

ホワイトペーパーを作ることが目的になると、

「何をPDFにしようか」

から考えてしまいます。

本来は逆でしょう。

読者が何を持ち帰れたら役に立つのか。

そこから考える。

結果としてPDFが適しているなら、PDFにする。


AI時代には、さらに中身が問われる

一般的な情報を整理するだけなら、以前より簡単になりました。

「○○とは?」

「○○のメリット5選」

「○○を成功させるポイント」

このくらいなら、検索でもAIでもすぐに調べられます。

そうなると、

一般論を20ページにしただけのホワイトペーパーの価値は、以前より下がっていくと思います。

反対に価値が上がるのは、

自社で集めたデータ。

実際の事例。

失敗した経験。

判断するときに使っている基準。

現場で使っているチェックシート。

その会社だから持っている情報です。

つまり、

情報をまとめたPDF

より、

経験や判断を持ち帰れる資料

のほうが重要になる。

これはホワイトペーパーに限らず、これからの情報発信全体に言えることかもしれません。


ホワイトペーパーは「リストを取るためのPDF」なのか

マーケティング用語として学ぶと、

ホワイトペーパー

リード獲得

リードナーチャリング

商談

という流れで説明されることがあります。

仕組みとしては間違っていません。

ただ、それだけで考えると、

どうすればメールアドレスを取れる資料を作れるか。

という発想になりやすい。

自分は少し順番を変えて考えたいと思います。

まず、

読者が一段深く理解したり、判断したり、行動したりするために、何を持ち帰ってもらえばいいか。

を考える。

それを資料にする。

その後も情報を届ける意味があるなら、連絡先を預かる。

必要がなければ、そのまま公開してもいい。

ホワイトペーパーだから、PDFにしなければならないわけではない。

ホワイトペーパーだから、個人情報を取らなければならないわけでもない。

大事なのは形式ではなく、

読者が何を持ち帰れるのか。

なのだと思います。

「ホワイトペーパーはなぜ、PDFなのか?」

そんな素朴な疑問から考えてみると、ホワイトペーパーという施策の目的も、少し見えやすくなります。


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