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借金のある生活7-1

「この家だけは守りたい」65歳、年金生活になって初めて知った現実


第1話|「この家だけは守りたい」65歳、年金生活になって初めて知った現実

借金を抱える理由は、人それぞれです。
浪費をした人。病気で働けなくなった人。収入が減ってしまった人。
150人以上の相談者と向き合ってきましたが、同じ理由で借金を抱えた人は一人もいません。

今回ご紹介するのは、富山県に暮らす藤澤康平さん(仮名)。
65歳。親族が経営する会社で45年間、真面目に働き続けてきた元会社員です。
現在は年金生活。奥さまと社会人の息子さんとの3人暮らしです。

長年住み続けた自宅には、家族との思い出がたくさん詰まっていました。
だからこそ、この家だけは絶対に失いたくなかったのです。


朝6時。
藤澤さんは昔と変わらない時間に、目を覚まします。
会社勤めをしていた頃の習慣は、定年を迎えても変わりませんでした。

窓を開け、庭を眺めながらお茶を飲む。
以前なら、これから仕事へ向かう時間でした。
しかし今は違います。

毎月振り込まれる年金で生活する毎日。
仕事がなくなったことで時間には余裕ができましたが、その代わり、お金の心配をする時間が増えてしまいました。


昼食を済ませると、家計簿を開きます。
年金は月に約11万円、奥さまの内職収入、そして、社会人になった息子さんが生活費として入れてくれる8万円。
家族みんなで支え合いながら、暮らしていました。

「これだけあれば何とかなる」
そう思っていた時期もありました。
しかし、現実は想像よりも厳しいものでした。

住宅ローンではありません。
長年積み重なった借入の返済が、毎月の生活を圧迫していたのです。

夕方
夕方になると、近所を散歩することが日課でした。
家へ戻るたびに思います。
「やっぱり、この家はいいな」
子供が小さい頃に遊んだ庭、家族で過ごしたリビング、どこを見ても思い出ばかりです。

この家は、単なる建物ではありませんでした。
家族が帰ってくる場所、安心できる場所。
だからこそ、何があっても守りたいと思っていました。


夕食では借金の話はしません。
奥さまも息子さんも、いつもどおり話しかけてくれます。
テレビを見ながら笑う時間もあります。

でも藤澤さんの心の中は、違いました。
「返済はあと何年続くんだろう」
そんなことばかり考えていたそうです。

眠ろうとしても、返済額が頭から離れません。
気づけば夜中に目が覚め、天井を見つめていることも少なくありませんでした。

年金支給日
年金が振り込まれる日は、少しだけ安心できます。
口座残高を見ると、「今月も何とかなるかもしれない」と思えました。
しかし、その安心は長く続きません。

返済日が近づくたびに、お金は次々と口座から引き落とされていきます。
借入先は6社。返済総額は毎月約15万円。
年金収入だけでは、とても支えきれる金額ではありませんでした。

返済日
藤澤さんは20年以上、返済を続けてきました。
現役時代は収入も安定していました。だから返済できていたのです。
しかし定年を迎え、収入は大きく減りました。

生活は変わったのに、返済額は変わりません。
「今までは何とかなっていた」
その言葉どおり、ずっと耐え続けてきたのです。

それでも、もう限界でした。

月末
月末になると、何度も通帳を見返しました。
支払いを終えた後に残る金額は、決して多くありません。
貯金も少しずつ、減り続けていました。

「このままでは、生活が続かない」
その現実を受け止めたとき、藤澤さんは初めて不安に押しつぶされそうになったといいます。

それでも、一つだけ譲れないものがありました。
この家です。

「自分のためじゃない」
「妻と、息子が帰ってこられる場所を残したい」
その思いだけが、藤澤さんを支えていました。
しかし、一人ではどうすることもできませんでした。

生活費、年金、返済。
家計を整理してみると、毎月赤字になってしまう理由が、はっきりと見えてきたのです。

次回は、藤澤さんの家計を見ながら、なぜ20年以上返済を続けてきたにもかかわらず生活が立ち行かなくなってしまったのか。その現実をお伝えします。


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