寿司でも温泉でもない。外国人観光客が日本の「美容院」を旅程に入れる理由
外国人観光客が日本で体験したいものと聞けば、寿司、温泉、神社、アニメなどを思い浮かべる人が多いでしょう。
ところが今、日本の「美容院」を旅行の日程に組み込む外国人が現れています。
海外のSNSや動画には、日本の美容院を訪れた旅行者から、
「人生で一番良いヘアカットだった」
「シャンプーとヘッドマッサージで眠ってしまった」
「美容師というよりアーティストだった」
「2年後の日本旅行でも同じ美容師を訪ねた」
といった感想が投稿されています。
私たち日本人にとって、美容院は髪を整えるための日常的な場所です。シャンプーをしてもらい、カットの前に希望を聞かれ、最後に髪を整えてもらう。店内が清潔で、服や耳が汚れないように配慮されることも、普段はそれほど特別なことだと意識しません。
しかし外国人旅行者の目には、その一つひとつが日本ならではの体験として映っています。
完成した髪型だけでなく、丁寧なカウンセリング、細かな技術、シャンプーや頭皮マッサージ、清潔な店内、施術中の気遣いまで含めて、「日本の美容院は面白い」「旅行中に体験する価値がある」と評価されているのです。
実際、欧米豪からの訪日客1,535人を対象にした調査では、17.3%が日本旅行中に美容院を利用していました。選ばれているのはカットだけではありません。トリートメントやヘッドスパ、ヘアカラー、日本式の縮毛矯正なども、日本で試してみたいサービスとして関心を集めています。
なかでも興味深いのは、美容院で受けたサービスが、その場限りの思い出ではないことです。髪型や髪質の変化は帰国後も残ります。日本で過ごした時間を、自分自身の変化として持ち帰れるのです。
寺社や温泉のような観光地ではない、ごく普通の日本の美容院。そこに外国人旅行者は、技術、清潔さ、接客、気遣いといった、日本人が見過ごしていた価値を見つけています。
私たちにとっての「いつもの美容院」が、なぜ外国人には旅の目的になるのでしょうか。
海外の反応や調査データ、日本と海外の美容院体験の違いから、日本人がまだ十分に気づいていない「日本の美容院の魅力」を考えました。
