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ヒーローは、かっこいい。

明日のことを考えていた。今日はまだ始まったばかりである。

お客さん宅に到着し、三脚を下ろす。真夏であればこの時点で熱中症ではあるが、まだ朝である。頑張らなければならない。
脚半を巻き、地下足袋を履く。昔の職人は立ったまま履かなければドヤされたらしい。佐野藤右衛門翁の著書に、そう書いてあった。
現代人代表の俺は、座って履く。憧れを、死ぬまで引き摺らねばならぬ。精進とは、心がけの相続である。

少し前に、国宝という映画を観た。
人それぞれに、それぞれの都合がある。一つの都合の前後には様々な思いや気持ちがある。

思ったままに行動すると、人に迷惑をかける。
その迷惑は、誰かの情熱の源泉になるかもしれないが、誰かをクズにしてしまうこともある。良いとか悪いとか、なんだかそんな二元論では括れないような、そこには言葉にならない涙があるような気もする。

都合、思い、気持ち。羨望、便意、野心、羞恥、劣等感。

人はいつでもどこでも、カッコいいことばかりは考えていられない。

何かの壁にぶち当たる。超えられそうもない、壊せそうにもない、大きく分厚い壁である。逃げたいなと思う。回り道を探したくなる。うんこ行ってきますと言ってそのまま帰ってしまおうかと思う。
それでも思いとどまり、勇気を奮い起こし、立ち向かったとする。
その人は、カッコ悪い人間だろうか。
逃げたい、うんこしたい、そう思ったその心は、現世に残り続けるのだろうか。
自分の心の弱さをぶち破っていけるのは、ただただ思い切った行動しかないのかもしれない。

二つの選択肢を前にして、どちら選べば"格好がいい"のか。

ズルくて卑しいほうが格好いいと思っている人がもしいるのなら、それはもう論外ではある。

しかし、誰でも子供だったことはある。
そして、男の子は誰だってウルトラマンや仮面ライダーに憧れていたはずだ。そう考えると、今ズルくて卑しい人でも憧れたヒーローはいたのではないか。

ウルトラマンにしても仮面ライダーにしても、本当に格好よかった。思い出すだけでワクワクしてくる、なんでも出来そうな気がしてくる。

"格好いい"から憧れるのだ。憧れたものは、総じて"格好いい"人物であった。

ウルトラマンは守銭奴ではないし、仮面ライダーのバイクは盗んだバイクではない。いつもまっすぐで、自分のことは二の次で、いつもピンチのときにはやってきてくれる。

ヒーローになれなくてもいい。
しかし、憧れだけは捨てずに生きていきたい。

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