そうめんを全部変えなくても、「もう一口」は作れる
同じそうめんでも、小皿の中身だけが変わる日があります。
いつもは刻みねぎと、しょうが。
そこへ大葉を千切りにして、少し乗せてみる。
麺は昨日と同じ。
つゆも、同じ瓶から注いだものです。
それでも、大葉をつゆに落として一口すすると、鼻に抜ける香りが変わる。
麺を買い替えたわけじゃない。
出汁を一から取り直したわけでもない。
変わったのは、器の端に置いた一握りの葉だけです。
新鮮さは、全部を新しくしないと作れないんだろうか
昨日は、
「そうめんそのものに飽きたのか、同じ味に飽きただけなのか」
を分けました。
テーマそのものが嫌になったのか。
それとも、同じ見せ方を何度も見て、自分が飽きただけなのか。
ここを分けたあと、次にやりがちなことがあります。
「じゃあ味を変えよう」と考えて、
つゆをカレー味にする。
肉と野菜を乗せる。
温めてにゅうめんにする。
ラー油まで回しかける。
……もう別料理です。
変えようと思った瞬間に、
全部を一気に作り直してしまう。
でも、大葉一枚で十分な日もある。
今日考えたいのは、これだけです。
新鮮さは、全部を新しくしないと作れないんだろうか。
途中で一つ足したら、評価が上がり直した実験
似たことを試した実験があります。
2009年、Brondelらが『Physiology & Behavior』に報告した研究です。
参加者は21人。
フライドポテトを好きなだけ食べ、そのあとブラウニーを好きなだけ食べてもらい、3つの条件を比べました。
そのまま単独で食べ続ける
調味料を使いながら食べる
最初はそのまま食べ、途中から調味料を追加する
結果、2と3の条件では、単調な条件より食べた量が多くなりました。
エネルギー量で見ると、
単調な条件:約1195kcal
調味料を使う条件:約1485kcal
途中から変化を加える条件:約1682kcal
でした。
面白いのは、途中から調味料を出したときです。
ポテトを食べ進めるうちに下がっていた「おいしさ」の評価が、ケチャップを加えると再び上がり、追加の摂取につながった。
ブラウニーとバニラクリームでも、似た動きが見られました。
ただ、ここで話をきれいに終わらせると危ない。
同じ実験でも、
ポテトにマヨネーズ。
ブラウニーにホイップクリーム。
こちらでは、同じような明確な変化は確認されていません。
何か足せば必ず戻る、という話ではない。
相性によって結果は違いました。
2021年には、食事のバリエーションと摂取量を扱った系統的レビューとメタ分析も出ています。
30研究、39の比較をまとめると、バリエーションがある条件では、食べる量が増える傾向が確認されました。
一方で、研究ごとの差はかなり大きい。
含まれた研究にはバイアスの懸念もあり、著者らも、さらに厳密な研究が必要だとしています。
傾向はある。
でも、
「味を変えれば必ず食欲が戻る」
なんて単純な話ではありません。
そして、ここまで全部、食事の研究です。
noteの読まれ方を調べた研究ではありません。
ここからは、僕のnoteへの置き換えです
研究の話はここまで。
ここからは、僕がnoteに置き換えて考えていることです。
「このテーマ、もう書き飽きたな」
そう感じると、僕はつい全部を新しくしたくなります。
書いたことのないジャンルを探す。
知らないノウハウを一から調べる。
構成をゼロから組み直す。
これ、かなり重い。
材料を探して、
勉強して、
慣れない言葉で書いて。
途中で止まる。
最後には、
「やっぱり書くことがない」
となる。
でも本当に必要だったのは、
麺を買い替えることだったんでしょうか。
同じ「noteの書き方」というテーマでも、変えられる場所はいくつもあります。
読者
「これから始める人」から「3か月書いて止まった人」へ導入
自分の失敗談から、読者から届いた質問へタイトル
ノウハウ風から、生活の具体的な場面へ具体例
仕事の話から、休日の買い物の話へ結論
「継続が大事」から「今日確認する一つ」へ
テーマそのものは変わっていません。
変えたのは、薬味みたいな一部分だけ。
新鮮さは、新しい材料の量では決まらない
今日残したい一行は、これです。
新鮮さは、新しい材料の量では決まらない。
新しいネタを10個仕入れなくてもいい。
全部を書き直さなくてもいい。
今あるテーマの中には、
まだ変えていない場所が残っています。
そのうえで、今日はもう一つルールを決めます。
変えるのは、1か所だけ。
ここは研究から出てきた結論ではありません。
僕が記事を作るときの作法です。
タイトルも、
導入も、
具体例も、
結論も。
一度に全部変えてしまうと、変更前と何が違ったのか、自分でも見えにくくなる。
だから今日は一つ。
1か所だけ変える。
そのほうが、変えた前後をちゃんと味見できます。
今日やること
過去の記事か、途中で止まっている下書きを1本だけ開きます。
全面改稿はしません。
次の5つから、一つ選びます。
読者
導入
タイトル
具体例
結論
そして、そこだけ変える。
導入なら、最初の3行だけ。
結論なら、最後の一言だけ。
5分で終わるくらいでいい。
終わったら今日は閉じます。
ルールは一つ。
2つ以上、同時に変えない。
欲張った瞬間に、
味見ができなくなるからです。
薬味を一つ変えるだけでも、同じ皿の印象は変わることがあります。
でも、ここで別の不安が出てきます。
少しずつ見せ方を変えたところで、
「そもそも、同じテーマを何度も書いていいんだろうか」
という問題です。
読者から、
「またその話?」
と思われないのか。
明日は、そこを考えます。
「同じテーマを繰り返すこと」は、本当に悪いことなのか。
もう少し「届けるところ」まで考えたい人へ
今日やったのは、
今ある材料の、変える場所を一つ選ぶこと。
でも文章は、書き直しただけでは終わりません。
誰に届けるのか。
何を拾って、
何を使わないと決めるのか。
そして、書けたものを
いつ、どうやって届けるのか。
僕が実際に考えてきた、
「相手を読むところ」から
「公開前の仕込み」まで
をまとめているのが、
有料マガジンです。
今回の話から、
もう一歩先まで考えたい人だけどうぞ。
夏休みの宿題に、もう一つ
この記事は、やまだくにあきさんの
「夏休み特別企画」に参加しています。
「noteを書いてください。」
企画の中でやることは、驚くほどシンプルでした。
僕はもう毎日書いているので、
最初は「参加していいのかな」と少し迷いました。
でも、書き始めることだけが一歩じゃない。
昨日と同じテーマでも、
一か所だけ変えて、もう一度届けてみる。
それも十分、
書き続けるための一歩だと思っています。
8月の終わり。
僕の夏休みの宿題は、
今日も一本、ちゃんと公開することにします。
やまだくにあきさんの
「夏休み特別企画」はこちらです。

参考文献
Brondel, L., Romer, M., Van Wymelbeke, V., Pineau, N., Jiang, T., Hanus, C., & Rigaud, D. (2009). Variety enhances food intake in humans: Role of sensory-specific satiety. Physiology & Behavior, 97(1), 44–51. https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2009.01.019
Embling, R., Pink, A. E., Gatzemeier, J., Price, M., Lee, M. D., & Wilkinson, L. L. (2021). Effect of food variety on intake of a meal: a systematic review and meta-analysis. The American Journal of Clinical Nutrition, 113(3), 716–741. https://doi.org/10.1093/ajcn/nqaa352
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