「うちの子、集中力がないんです」と言われるたびに、思うこと
「うちの子、集中力がないんです。
ゲームだったらずっとやってるんですけど」
この相談、本当によく聞く。
そういうとき、私は大抵
子どもに直接聞いてみる。
「勉強、好き?」
ほとんどの子が「嫌い」と答える。
「普通」と答える子もいるけど、
普通ってどういうことなんだろうな、といつも思う。
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■ 集中力がないんじゃなくて、目的がない
塾の先生も、学校の先生も、保護者も。
「本人が何が好きで、何が嫌いか」
という本音の部分に、
意外とフォーカスできていないことが多い。
子どもの側から見ると、
自分のことをわかってくれるのは、
大人ではなく友達だったりする。
理由は単純で、
友達は自分の話をよく聞いてくれるし、
同じ世代の空気感を共有できるから。
一方でゲームは、悪いものじゃないと思っている。得られるものもある。
ただ、ルールの中でしか動けない、
という制約はある。
それでも、ゲームと勉強を並べて
「どっちも同じように集中できるはず」
と考えるのは、そもそも比べる土台が違う。
一番の違いは、目的があるかどうかだと思う。
「将来のため」
「大学に入るため」
「スキルアップのため」
——大人はそう説明するけど、
本人がそれを自覚できているケースはあまりない。
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■ ゲームは、ちゃんと「今の自分」に合わせてくれる
ドラクエでもポケモンでも
RPGは最初に出ていく街に
レベル1の主人公がレベル1の敵と戦う
ようにできている。
つまり、今の自分の強さに合わせて
ちょうどいい壁が用意されている。
現実の勉強は、そうはなっていない。
学校をレベル制のゲームだとすると、
学年が上がるごとに
みんな一律でレベルが上がっていく。
でも、実際の子どもの理解度は
そんなにきれいに揃わない。
レベル30相当の問題が出てくる学年に
レベル20の理解度の子がいたとする。
10レベル分、足りない。
しかも、この子には「前の街に戻る」
という選択肢がある。
少し前の学年の内容までさかのぼって復習すること。
プライドがあると、戻りたくない。
戻らずにその場で頑張ろうとする。
一方で、素直に戻る子もいる。
中1でつまずいているなら、
小5まで戻る、というような戻り方をする。
問題は戻っている間にも
学年は進んでいくということだ。
2年分の遅れを取り戻すのに、
半年か1年かかるとする。
でも、その半年や1年の間にも
学校の授業は先に進んでいる。
追いついた頃には、また新しい遅れができている。
これが積み重なると、
中3の受験生になったときに
3年分をまとめて取り返さなきゃいけない
みたいな状況になる。
そうなると、嫌いなことに
ものすごく多くの時間を使わなきゃいけなくなる。
現実逃避もしたくなるし、
やり方もわからないし、
周りにバカにされる不安もある。
自己肯定感は下がっていく一方で、
解決の糸口は見えない。
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■ 時間をかけるか、お金をかけるか
多くの家庭が、結局ここに行き着く。
お金をかけて、
わかりやすい教材や指導を取り入れる。
情報を効率よくインプットさせ、
アウトプットできる形に持っていく。
学校の進度に合わせながら、
点数の底上げまでしていく。
これは、実はかなりの力技だ。
学年が上がるほど内容は難しくなる。
今と同じ勉強量・同じ理解度のスピードのまま
だと、点数は自然に下がっていく。
今の点数を「維持する」だけでも、
実はそれなりの努力が要る。
だから、72点が65点になったとしても、
それは「後退」というより
「現状維持に近い」ことも普通にある。
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■ メニューのない店に連れて行かれても、何も頼めない
これは、うちでよく使う例えであるが
ラーメン屋に入ったら、
大体何が食べられるか予想がつく。
醤油か味噌か塩か、豚骨か。
メニューがなくても、なんとなく想像がつく。
でも、何の匂いもしない、
何屋かもわからない部屋に連れて行かれたら
どうだろう。
「ここは料理屋です、好きなものを頼んでください」
と言われても、どうしていいかわからない。
子どもにとって
「自分は何が好きで、何をしたいのか」
を見つける作業は、これに近い。
いろんなことに挑戦して、
いろんな人と出会って、
少しずつ自分の「メニュー」を作っていく。
それができて初めて、
「じゃあこれを頼もう」という
主体的な選択が生まれる。
このメニュー作りを、
だいたい12歳くらいまでの間に、
ある程度は固めなきゃいけない、
という現実がある。
しかも今は、
片親家庭だったり、共働きだったりで、
そこにかけられる時間そのものが少ない家庭が多い。
保育園や幼稚園に任せようにも、
現場は人手不足で、
一人ひとりに手をかけられる余裕は
どんどん減っている。
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■ 「集中力がある・ない」で見ると、見誤る
集中力がないわけじゃない。
ただ、続かないだけのことが多い。
それは目的や目標が本人の中で
組み立てられていないから、続かないだけだ。
「うちの子は集中力がない」
という言葉で終わらせてしまうと、
本当に見るべきところから目が逸れてしまう。
目的があるかどうか。
メニューが渡せているかどうか。
忙しい毎日の中で、
その一瞬一瞬しか子どもを見られないのだとしたら。
せめてその一瞬に、
「これ、どう思う?」と、
本人の中にある答えを聞いてみることから始めたい。
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この「目的」と「メニュー」の話、
実はもう一冊、丸ごと1冊かけて書いた。
『やる気は待っても出ない 子どもが自分から動き出す「順番」の話』
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