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Like-AI-Angel 26

Chapter 26 狂う歯車 《水野浩哉》
午後11時45分。
NEXUS PR代表取締役室。
誰もいなくなった社内で【水野浩哉】は何も言わず、深夜のニュース番組の画面を見つめていた。

『──続いてのニュースです。昨夜未明、都内の集合住宅で男性が死亡しているのが発見されました』
画面の端に、高田晃の顔写真が映し出される。
『警視庁によりますと、現場の状況などから、現在のところ自殺の可能性が高いとみて―』
水野の口元が緩み、思わず声を上げる。
【これで厄介な駒が一つ消えた。死因は「自殺」。全て計画通り..】
「……あっはっは…よくやったアイ」
自分の描いたシナリオ通りの展開に水野は強い快感に満たされていた。

上機嫌の水野は、スマホを取り出し、アイにDMを、打ち込む。
《見たぞアイ。高田の件、実に見事に処理してくれたな。上出来だ。面倒な駒は、片付いた》
だが――
返信は予想外の内容だった…
《何の話です?俺はまだ何もしてない。》
水野の表情が固まる。
「……何だと?」
《高田を殺ったのはお前じゃないのか?》
既読。
そして返信。
《違う。俺はてっきり俺以外の人間にも同じ命令をしてたのかと思った。》
水野は、しばらく沈黙し画面を見つめたまま硬直していた。
そして脳裏に、幾つかの、可能性が、浮かんでは、消えていく。
水野はこれまで、炎上も、火消しも、人間の運命さえも、自分の手のひらの上で動かしてきた。
でも今回は…違う。
自分の目の届かない場所で何かが動いている。
水野の目から笑みが消えた。
《あと昨日高田さんから電話がありました》
アイのDMに水野の表情が変わる。
《そして通話途中で誰かに襲われたような声が聞こえて、そのまま電話が切れました》
額から、冷たい汗が滲み出る。
水野の胸に味わった事のない動揺が広がっていた。

その時。
社長室のインターフォンが鳴る。
『社長、お客様がお見えです』
「誰だ?」
弓岡さんという方なんですが?』
【舞か..】
水野の眉がピクリと動く。
「……通していい。」

数分後。
「失礼します」
ドアノブが回り、静かにドアが開いた。
入ってきた弓岡舞の姿を見て、水野は言葉を失う。
乱れた髪に、何処となく力の無い虚ろな目..
自分が知っている毅然と美しい容姿の彼女とは違う何か思い詰めたような異様なオーラを放っていた。
「……舞」
舞は何も言わず、ゆっくりドアを閉める。
「急に何の用だ?」
「ねぇ水野……ニュース見た?」
舞の声は低く落ち着いて響く。
「高田晃のことか。……それがどうかしたか?……」

短い沈黙。
水野は舞を見つめた。
舞は小刻みに震えながら両手を強く握りしめている。
「……私」
「高田さんを……」
水野の目が鋭くなる。
「……」
舞は顔を上げた。
高田さんを殺したのは……私よ」
水野は何も言わなかった。

数秒..それ以上に感じられる沈黙。
舞の言葉をじっくりと吟味するように水野はゆっくりと口を開く。
そして、静かに笑う。
「……はは」
「舞。お前……嘘をついてるな?」
舞の表情がほんの僅かに揺れる。
その、微かな綻びを水野は見逃さなかった。
【……面白い】

水野はゆっくりと立ち上がり、舞の前に歩み寄った。
「舞..マヤを守りたいんだろ?それなら…全てを吐き出せ…俺が救ってやる」

水野の頭の中には、
また新たなシナリオが書き加えられようとしていた。
自分でも背筋が凍るようなストーリーの結末を。

つづく〜

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