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[夕喝] [現代詩]17:41:川という名の龍 (時差あり)雨ですなあ。。。


川という名の龍

 
川は、町のあいだを低く流れている。

水は濁っている。
茶色に、わずかに緑が混じっている。
底は見えない。

ガボッ

ガボッ

と音がしている。

流れは遅い。

両岸はコンクリートで固められている。
道路がある。
ガードレールがある。
室外機がある。
配管がある。
階段がある。
植木鉢がある。

人間は
川のぎりぎりまでやって来て
家を建てた。

ガボッ

ガボッ

水際には草が生えている。

護岸の割れ目からも
草が出ている。

人間がコンクリートで
川の形を決めても、
草には
関係がない。

昼である。

町は動いていない。

車が一台通る。

洗濯物が干してある。

誰かが
クーラーをつけている。

ガボッ

川が動いた。

いや。

川ではない。

町が動いたのだ。

橋がほんの少し持ち上がり、

ガードレールが軋み、

家々が
わずかに傾いた。

この町は

何かの上に

建っている。

ガボッ

もう一度。

私は窓から
川を見下ろす。

長い。

あまりにも長い。

上流へ行っても終わらない。

下流へ行っても終わらない。

蛇ではない。

龍だ。

何百年も前から

ここにいる。

人間はその背中に
コンクリートを流し、

橋を架け、

道路をつくり、

住所をつけた。

そして



と名づけた。

龍は

そんな名前を

知らない。

ガボッ

龍が

寝返りをうつ。

町が

一ミリ

動く。

誰も気づかない。

私は窓から

それを見ている。

ガボッ

ガボッ

河が流れているのではない。

龍が

海へ帰ろうとしている。

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