2026.2.22 日 昼 枯れ野のスミレ
庭の芝生は一面、枯れ果てている。冬の寒さがそうさせたのだから、それは当然のことだ。しかし空を見上げれば、陽射しはもう確かに強くなっている。洗濯物が水平にはためくほどの風が吹いていた。春一番だろうか。空気はまだ刺すように冷たいのに、光だけが季節を先取りしていた。
枯れ色の庭を眺めながら、花が咲くのはまだ先のことだろうと思っていた。この荒れた地面に、色などまだ宿るはずがないと。
ところが、念のためにもう一度、目を凝らして地面を見渡してみた。するとそこに、スミレが咲いていた。

薄紫の、小さな花。芝の枯れ草に埋もれるように、地を這うように、それでも確かに咲いていた。あまりにも可憐で、あまりにも慎ましくて、あまりにも低いところにあるから、見落としてしまっていた。
大きな声で春を告げるわけでもなく、こちらを呼ぶわけでもない。ただ静かに、そこにいた。
何だ、やっぱりもうすぐそこまで来ているじゃないか。そう気づいたとき、胸の中に小さな温かさが灯った。春は、誰かに気づかれるのを待たずに、もうとっくに始まっていたのだ。
