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おおむね、愛してる。


9月で結婚して17年になる。

人に会えば、夫の話になる。
たいていは愚痴だ。

世の中の主婦には、夫に「ATM」という
呼称を与えてはばからない人々がたくさんいる。

でも私は違うと信じたい。

夫に文句はあれど、おおむね、愛しているのだ。

しかも生活のほとんどを一緒に過ごしている。
夫の仕事は主にリモートだし、
マンションの壁を取っ払ってリノベーションしたので、
ワンルームなのだ。
一角に夫のデスク、一角に私のデスク、
一角に夫婦のダブルベッド、一角にダイニングテーブル、
という感じで、ゾーンに分けてはいるけど、
基本的に一部屋で完結している。

だれかが泊まろうと思っても、リビングの真ん中に布団を敷くしか方法はない。そしてその誰かが男性だった場合、私は納戸で着替えるしかない。

そんなわけでまだ誰も泊めたことはない。

夫を愛している話。

夫は、いつもわたしにちょっかいを出して、
「ちょっと人権侵害なんじゃないか?」という
モラルハラスメント的行為も見られる。

でもその一方で、私が入院したりしたら、
その病院までの電車の定期券を購入して、
毎日お見舞いに通ってくれる。

前回の入院では、ラブレターまでくれた。

我々には結局子供ができなかったから、
小学校の同級生である夫と、
いまだに「クラスメイト」感覚で付き合っている節がある。

あいつ、やたらと私にちょっかい出してくるけど、さては…みたいな。

中学進学で夫と別れるとき、私は夫に対する寄せ書きにこう書いていた。

いろいろムカつくヤツだったけど、まあ許してやろう

他の女子は「中学に行っても勉強頑張ってね」とか、当たり障りのないことしか書いてないのに、一人だけ上から目線のこの一言。

そして30を目前にして再会し、結婚に至った私たち。
いまも「いろいろムカつくヤツ」であることは変わらない。
でも、許してやってる。

私は、今ある不幸をあげつらうよりも、
今ある幸せをあげる方が、ずっと建設的だ、ということに、
ようやく気づいたのだ。

そんなわけで、
おおむね、愛してる。
可能な限り、いつまでも。

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