AIで遊ぶ、ミステリーはるさんぽ ~消えた笈瀬川を、チャット君とジェミちゃんと追いかけた~
古地図を眺めていると、現在の名古屋駅の西南から北へ向かって、一本の川が流れていることに気づいた。
その名は、笈瀬川。
現在、その川の大部分は埋め立てられ、道路や住宅地の下に姿を消している。しかし地図を見比べてみると、曲がった道路や細長い公園、町の境界などに、かつての川筋らしきものが残っている。
この消えた川を歩いてみたい。
とはいえ、普通に地図を調べて、決められた道を歩くだけでは少し物足りない。
そこで今回は、ChatGPTの「チャット君」とGoogle Geminiの「ジェミちゃん」に参加してもらうことにした。
古地図をもとに川筋を推理し、周辺の歴史を調べ、面白そうな場所を探し、散歩コースを考える。
題して、「AIで遊ぶ、ミステリーはるさんぽ」である。
消えた川をAIと探す
最初にAIへ相談したのは、笈瀬川がどこを流れていたのかということだった。
古地図と現在の地図を見比べながら、
「この道が昔の川筋ではないか」
「この神社には川に関係する歴史があるのではないか」
「途中で立ち寄れそうな史跡はないか」
と、チャット君やジェミちゃんに次々と質問していく。
AIは、こちらの曖昧な疑問にも、それらしい答えを返してくる。
知らなかった地名や昔の橋、地域の言い伝えらしき話も出てきて、散歩の計画はどんどん膨らんでいった。
もっとも、それが本当に正しいかどうかは、この時点では分からない。
しかし今回は研究発表ではない。
散歩である。しかも遊びである。
そこで、あえて細かい裏取りをしすぎず、AIが示した場所へ行ってみることにした。
AIが教えてくれた史跡が見つからない
実際に現地を歩き始めると、古い川筋を思わせる曲線や、高低差、細長く続く道が見つかった。
「ここを本当に川が流れていたのかもしれない」
そう思いながら歩く時間は、宝探しに近い。
ところが、AIが「ここにある」と教えてくれた面白そうな史跡へ行ってみると、それらしいものがどこにもない。
周囲を何度も歩き、神社の境内を探す。
案内板を見たり、地図を拡大する。
それでも、ない。
ハルシネっちまった悲しみに!!
どうやらAIは、別の地域の話や似た名前の史跡を組み合わせ、存在しない場所を作り上げてしまったらしい。
調べ物や仕事でこれをやられたら、腹も立つだろう。
しかし、今日はAIと遊ぶ散歩である。
存在しない史跡を真剣に探している自分がおかしくなり、腹が立つより先に笑ってしまった。
AIにだまされたというより、AIが出題した謎に振り回されている。
これはこれで、立派なミステリーツアーではないか。
本当にあった権現橋の記憶
一方で、現地を歩いたからこそ出会えた、本物の歴史もあった。
榎白山神社の境内には、かつて美濃路が笈瀬川を渡っていた「権現橋」に関する史跡が残されていた。

今では川も橋も見えない。
しかし、かつてここを旅人や武士、荷物を運ぶ人々が行き交い、その足元を笈瀬川が流れていた。
古地図の一本の線が、現地では突然、立体的な風景として立ち上がってくる。
AIが作った幻の史跡を探した後だけに、本当に残されていた橋の記憶は、いっそう印象深く感じられた。
散歩の後もAIと遊ぶ
家に帰ってからは、散歩中に撮った写真やメモをもとに、チャット君と振り返りを行った。
どこで驚いたか。
何が見つからなかったか。
実際に歩いて初めて分かったことは何か。
会話を重ねながら、散歩記事の構成や文章を組み立てていく。
さらに、かつての美濃路を旅する武士が、笈瀬川に架かる権現橋を渡る場面を、AIにイラストとして描いてもらった。

現地にはもう存在しない川や橋も、文章と絵の中では、もう一度よみがえる。
AIは過去を正確に再現するタイムマシンではない。
けれど、見えなくなった風景を想像するための装置にはなる。
AIは答えではなく、遊び相手
今回の散歩で分かったのは、AIを使えば何でも正確に調べられる、ということではない。
むしろ逆だった。
AIは、ときどき堂々と間違える。
存在しない史跡を紹介し、よく似た別の話を混ぜ、こちらを妙な場所へ案内する。
だから重要な調査では、資料や公的情報を使った確認が欠かせない。
しかし遊びの場では、その不確かさも面白さに変えられる。
AIの答えを地図に置き、実際に歩いて確かめる。
間違っていれば笑い、正しければ驚く。
そして帰宅後は、体験を一緒に文章にし、見えない風景を絵にする。
AIは万能な案内人ではなかった。
少し知ったかぶりで、話を盛ることもある。
それでも、一人では思いつかなかった道へ連れ出してくれる、愉快な散歩仲間だった。
「AIで遊ぶ」というより、「AIと遊ぶ」だったな。
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