ハイビスカスの心|自分を小さく閉じ込めていた
冷えたグラスの表面を、水滴がすーっと滑り落ちていく。
それを指先でなぞりながら、胸の奥に溜まった重い熱を意識していた。
少し落ち着いて、主張が強いんじゃないか。
悪気なく言われたその言葉がずっと残っていて、いつからか自分の中にある情熱や感情の強さを、半分くらいに抑えて過ごすようになっていた。
はっきりと言いそうになる言葉を呑み込み、弾けそうになる喜びを小さく抑える。素直な気持ちを外に出さずに内に留め続けるのは、思った以上にエネルギーを消耗させるものだった。
出されることのない情熱は、胸の奥で不完全燃焼を起こし、自分自身を重く疲弊させていく。
ふとベランダへ目をやると、鉢植えのハイビスカスが目に入った。
午前の光を真っ直ぐに浴びて、鮮やかな赤い花弁を大きく広げている。花の中心からは、真っ直ぐな軸が外に向かって躊躇なく突き出ていた。
日陰に隠れるでもなく、自分の色を抑えるでもなく、ただそこに降り注ぐ太陽の光を、そのまま全身で受け止めて咲いている。
この花は、日照が足りなければ蕾のまま落ちてしまい、咲くことすらできない。光を充分に浴びて、その鮮やかな色をそのまま開かせるのが、この花の本来の姿なのだ。
その姿を見つめていると、ふっと、固くなっていた肩の力が抜けた。
ああ、私、ずっと自分を小さく閉じ込めていたんだな。
自分の中にある熱量や感性を、周りを困らせるものと思い込み、外に出さないように閉じ込めていたから、胸の奥がこんなにも苦しかったのだ。
自分の持っている鮮やかな感情やまっすぐな言葉は、押し殺すためのものではなく、この花が咲くように外へと素直に巡らせるためのものだった。
無理に周りと戦う必要もなければ、自分を小さく折りたたむ必要もない。
ただ、自分の中に湧き上がる情熱や言葉を、小さく閉じ込めることなく、外へと巡らせていけばいい。この花が、光を浴びてその色彩を伸びやかにひらいているように。
深く、息を吸い込んだ。
ベランダから差し込む光の中に、ゆっくりと手をかざしてみる。
胸の奥で滞っていた重い熱が、すーっと指先へと流れていく感覚があった。そこにはただ、自分の色を隠さずに生きていく、静かな清々しさだけが残っていた。

小さくならなくていい。この真っ直ぐな熱も、鮮やかな色も、私が私でいるための大切な力だから。
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hanatoshiki
