カリステモンの心|どうして自分は、もっと素直に本音を出せないのだろう
街角で少し変わった赤い花を見かけることがある。
遠目には華やかなブラシのように見えて、近づいてもそこには目立つ花びらが見当たらない。
包み込むような柔らかい花びらを持たず、鮮やかな紅色の雄しべだけが、そのまま風に晒されて咲いている花だ。
そして、その赤のすぐ下、古い枝の節目には、木のように固い実が静かに残っている。
何年も前の花の名残。
雨に打たれても風に晒されても、固く閉ざされたまま落ちることもなく、枝と一体化している。
その姿を見ていると、自分の胸の奥にある感覚が重なる。
人前では波風を立てないよう静かに顔を整え、その場を滞りなく渡っていく裏側で、自分でも気づかないうちに作ってきた、誰にも触れさせない固い結び目。
「どうして自分は、もっと素直に本音を出せないのだろう」
「なぜこんなに頑固に、感情を奥底へ溜め込んでしまうのだろう」
自分に対する小さな諦めや自己嫌悪が湧くことがある。
けれど、あの枝に残る固い実を見つめていると、ひとつの思いに至る。
あの実は、外の冷たい刺激から中の柔らかい種を守り抜くために、時間をかけて固くなっていったのだ。
胸の奥にある頑固な結び目も、きっと同じなのだと思う。
自分を痛めつけるためでも、心を閉ざすためでもない。
壊れてしまいそうなほど柔らかい自分の本音を、今日まで守り抜くために作ってきた、自分なりの防衛だったのだと。
そう思えたとき、自分を責める理由なんてどこにも見当たらなくなる。
胸の奥の結び目が、急に消えてなくなるわけではない。
けれど、自分を守ってきたその固さを「これでよかったんだ」と認められたなら、無理にその結び目を解こうと格闘しなくてもいい。
その場を波風立てずに渡るために口元を引き結び、差し障りのない顔を作ってしまう自分を、もう情けないと責める必要はない。
それもまた、今日まで自分の本音を守るために使ってきた大切な知恵だったのだから。
胸の奥に固い結び目を抱えたままでいい。
自分を守り抜いてきたその頑丈な心と一緒に、これからは自分の本当の気持ちも、偽らずに置いていけばいい。
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