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ー笑って気付く、三姉妹エッセイー㉒🍀『三女は無理せず慎重派』

ー笑って気付く、三姉妹エッセイー
『三女は無理せず慎重派』


紅葉が見頃を迎え、肌寒い日が増えてきた11月。

3連休の真ん中は、家族で県内の国立公園に遊びに行った。

赤や黄色が鮮やかな遊歩道を進んで行くと、子ども達が喜びそうな遊具がたくさんあった。

通路を挟んだ向かい側には有料のローラーコースターがあり、「せっかく来たから乗っておこう」と列に並んだ。

三女も乗り気だった。


私達の前には小学校低学年ほどの兄弟が並んでいた。

2人はお互いに、叩いたり蹴ったり靴を奪い合ったりと大騒ぎ。

周りのお客さんは迷惑そうに眉をひそめ、三女も私の背中に隠れた。

その兄弟が1台ずつ出発すると、スタート地点の係員さんが無線で言った。

「10番11番は兄弟。少し問題有り。」

プロの冷静な観察に、私は思わず笑ってしまった。


コースはかなり長いようで、スタートからゴールまで係員さんが無線で連絡を取り合っている。

私は三女と「12」のソリ、13〜15には長女、次女、奥さんが座った。

いよいよ私と三女の番。そこで三女が小さく呟く。

「パパ、こわいからスピードださないで?」

私は頷き、ブレーキを握りながら出発した。


途中の係員さんに「お父さん、もっとスピード出して!」と促される。

三女の顔色を見ながら少しだけ速度を上げると、
「キャハハ!たっのし〜!!」

みーちゃんノリノリじゃん!?

さっきの慎重さは入り口に置き忘れてきたのかな?

三女は「どんどんはやくなっています!」と謎の実況を始める。

ジェットコースターに乗るリポーターのカメラ付きヘルメットが見えた気がした。

そこからはノーブレーキでソリを走らせ、三女と楽しく風を切った。


奥さんはスタート地点で無線を聞いていたらしく、「12〜15番、ビビリ家族。」と言われたと笑っていた。

最初だけ三女が少しビビっちゃっただけだよ!

家族まとめてビビリ扱いがなんか悔しい。

釈然としなかったが、三姉妹も笑っていたから良しとした。

その後は遊具と紅葉と秋の空を満喫し、帰路についた。


その日の余韻を残しながら家に入ると、テレビでフィギュアスケートが放映されていた。

それを見た三女が言う。

「みーちゃんクルクルしないですべりたいなぁ。あと、おどらない。」

つまり普通にスケートがしたいということかな?

そう思って横を向くと、三女は右手を上、左手を斜め下にしてポーズを決めている。

ちょっと踊ってるじゃん。

しかもショートプログラムをノーミスで滑りきった満足感漂う表情だ。

あの風の中で笑っていた顔が頭に浮かんだ。


思い返すと、長女と次女は幼稚園で補助輪なしの自転車に乗っていたが、三女は挑戦しないまま年長さんの冬を迎えてしまう。

「みーちゃん自転車の練習したい?」と尋ねると、少し戸惑ったあとにはにかんだ笑顔が返ってきた。

「さいしょはさんりんしゃ。」

うん、せめて補助輪付きでも自転車にしようか?

小学生の頃、氷の張る校庭でサッカーをして転び、手首を骨折したパパも慎重ながらにそう思う。


みーちゃんもパパも、胸の中がふっと軽くなるあの風を探しに行こう。

あの時の笑い声が、今も耳に残っている。


三女からもらった四つ葉🍀:
 慎重であることも大切にしたい。
 けれど、
 ほんの少し勇気を出したその先に、
 思いがけず楽しい風が
 待っていることもある。
 その風に出会うための一歩は、
 意外と小さいのかもしれない。



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