サッカーは流れのスポーツなのだ!
監督「いいかお前ら! サッカーは流れのスポーツだ! 試合の流れをつかんだ方が勝利を得るのだ!」
キャプテン「監督、それはサッカーだけに限らず、どんなスポーツや格闘技、果ては人生そのものでさえ、流れをつかんだものが勝利を得るのではありませんか?」
監督「……っ!」
監督「ち、違う! サッカーだけが数あるスポーツの中で唯一流れのスポーツだ! 野球もボクシングも人生もどれも流れなどないっ! くだらん理屈こねてるヒマがあったらトラップ練習だっ!」
キャプテン「は、はいっ!」
監督(……油断も隙もない。キャプテン、あいつはダイナマイトだ。オレの言説の穴を見つける穴掘り名人だ。いわゆる革命分子。早めに潰しておかなければ……)
……
監督「おい、キャプテン! ちょっと来い」
キャプテン「はい、監督!」
監督「オレはこれからおまえのことをキャプランと呼ぶことにしたから心しておけ!」
キャプテン「ボクはキャプランなどと呼ばれるのはごめんです。正しくキャプテンと呼ばれることを求めます」
監督「すまんな、決まったことだ。決定事項は厳守する。ブレない男、それがオレこと、監督なのだ」
キャプテン「そうですか。監督がボクのことをあくまでキャプランと呼ぶのならば、こちらにも考えがあります」
監督「なに、キャプラン。その考えとやらを言ってみろ」
キャプテン「これからボクは監督のことをカトコインと呼ばせてもらいます」
監督「カトコ……イン……?」
キャプテン「ええ、そうです。カトコイン」
監督「……うほほ、なんか暗号資産みたいでイマっぽいな」
キャプテン「カトコイン、練習に戻ってもいいですか?」
監督「……う、うむ、よかろう……キャ、キャプテン」
キャプテン「……?」
キャプテン「キャプランと呼ばなくていいんですか?」
監督「サッカーを含むスポーツはどれもみな流れのスポーツなのだ! 格闘技、果ては人生もすべてだ! さあ、トラップ練習をしっかりな……」
監督「キャプテン!」
キャプテン「……はい、カトコイン!」
監督(……や……やはりあいつはビッグバンだ)
監督(オレのサッカー唯一流れのスポーツ理論を根底から覆し……)
監督(キャプラン呼び計画を暗号資産で精算、流れのスポーツ理論を一瞬にして逆噴射……まさに生来の正ゴールキーパー……? いや、それとも……)
監督「こ、こわすぎる……キャプテン……」
部員一同「カトコイン!!」
キャプテン「カトコイン、お呼びですか!」
監督「ト、ト、トラップ練習だっ……」
がくぶるがくぶるがくぶる……
(終)
