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20年前の渡豪と、20年後の「ごめんなさい」

長かった夏休みがようやく終わり、
やっと、やっと給食が始まる。
親になってしみじみ分かる。
長い休みは、親にとって試練以外の何物でもない……。
給食のありがたみが、
身にも家計にも深く染み渡る。

自分が親になった今、
ふと20年前の自分を振り返ってみた。

28歳の私。
ワーキングホリデーで、
シドニーへ飛び立った頃のこと。

当時の私は、
かなり自信満々だった。

英語が少し話せたこともあり、

「ワーホリに行っても、
まぁ、なんとかなるでしょ」

本気でそう思っていた。

シドニーのユースホステルで、
何人かの日本人の女の子たちと出会った。

話をしていると、

「私、全然英語話せないんだ」
「なんとなく外国に来たくて」
「外国人の彼氏欲しいから。」

そんな言葉が返ってきた。

正直に言うと…

「私、一緒にされたくない…」

と思った。

私は家庭環境から離れたくて、
自分でお金を貯めて、
自分の意思でオーストラリアに来た。

だから、

「なんとなく来た人たち」

と同じ日本人だと思われたくなかった。

……今思えば、
ただプライドが高いだけの、
本当に嫌な奴だったと思う。

20年前の私に会えたら、
「お前、だいぶ感じ悪いぞ‼︎」
と言ってやりたい。


そんな私も、
今では親になった。

そして最近、
私が昔、留学していたことを知っている人から子どもの留学について
聞かれることが増えた。

「うちの子、全然英語話せないんだけど、留学して大丈夫かな?」

聞かれるたびに、
私はこう答える。

「……いや。
やっぱり基礎はつけてから
行った方がいいと思うよ」

20年前と今では、
環境が全然違う。

今はスマホがある。
分からない言葉があれば、
翻訳もできる。

道に迷っても、
スマホが教えてくれる。

昔よりずっと、
海外に行くハードルは低くなったと思う。

それでも。

自分の言葉で、
自分の意見を伝えられることは
やっぱり大きい。

「私はこう思う」
「これは嫌だ」
「そういう意味じゃない」
「助けてほしい」

こういうことを、
自分の口から言える。

これは、
海外で一人で生活するときには
かなりの強みになる。

もちろん、
学校からの短期留学だったり、
みんなで行って寮に入るような留学なら、また話は別だと思う。

でも。
本当に一人で海外に行くなら…

やっぱり、
ある程度の英語は分かっていた方がいい。

残念だけど、
海外に行けば
みんながみんな優しいわけじゃない。
やっぱり差別だってある。

英語が話せないことで、
不利になる場面もある。

だから私は、
「行けばなんとかなるよ!」

とは、
今は簡単には言えない。

……なのに。
あれだけ好き勝手に自分の行きたい場所へ飛び出していた私が、
もし将来子どもから
「海外に行きたい」
と言われたらどうだろう…

たぶん。
いや、絶対。
心配で心配で、
気が狂いそうになるはずだ。
ちゃんと無事に帰ってくるだろうか。
変な人に騙されていないか。
困ったときに、SOSを出せるだろうか…
病気になったら? 事故に遭ったら? 一人で泣いていないだろうか…
考え始めたら、キリがない。

20年前の私は、
そんな心配など一切頭になく、
ただオーストラリアへ飛んでいった。
そして、
反対しながらも最後は許して送り出してくれた父がいた。

今になって、ようやく思う。
お父さん。私を送り出すとき、
一体どんな気持ちだったんだろう。

「まぁ、あいつなら大丈夫だろう」と信じてくれていたのかな。
それとも、本当は胸が押し潰されるほど心配だったのだろうか…。

私はただ自由に、
自分の人生を生きたくて、
何も振り向かずに日本を飛び出した。
あの頃の私は、自分が
「誰かに深く心配されている存在」
だなんて、想像すらしなかった。

けれど今、子どもを持つ親になって、やっと分かった。
送り出す側の親って、
こんなにも切なく、
心配な気持ちを抱えていたんだ。

お父さん。
20年越しになってしまったけれど……ごめんなさい。
そして、ありがとう。

もし今、子どもたちが
「海外に行きたい」と言い出したら。
私はきっと「行ってらっしゃい」と
笑顔で背中を押しつつ、
心の中ではのたうち回るほど
心配するのだと思う。

……私も、
ちゃんと「親」になれていたんだな。

それでも。

親になった今振り返っても、
私はやっぱり、
ワーホリに行って良かったと思っている。

あの経験があったからこそ、
今の私がいる。

「ワーホリなんて行かなきゃよかった」

そう思ったことも、
もちろんあった。

それでも20年経った今、
私はやっぱり思う。

行ってよかった。

そんな私が、
「ワーホリを後悔していない」と思う理由を
以前の記事に書いています。

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