「WILLPOWER 意志力の科学」を読む⑤自分を数値で知れば、行動が変わる
はじめに
人は、自分のことをどれくらい正確に把握しているのでしょうか。
努力しているつもり。
ちゃんと考えているつもり。
本書は、以下のように説明しています。
意志力をうまく使えるかどうかは、自分をどう評価しているかと深く結びついている。
その鍵が、数値で自分を知ることのようです。
1. なぜこのテーマが重要なのか?
人は、自分を「平均的な人間」と比べることで安心や満足を得やすい存在です。
しかも多くの場合、自分は平均より少し上だと思いがちであると本書では解説しています。
この自己評価は、必ずしも悪いものではありません。
しかし問題は、感覚による自己評価は、行動を変えにくいという点です。
意志力をどう使っているかを改善するには、まず現実を正確に知る必要があります。
2. 著書の要点をかみ砕く
① 比較は満足を生むが、改善は生まれにくい
人は、他人と比べることで自分の立ち位置を確認します。
その結果、「自分はそれほど悪くない」と感じることができる。
しかしこの比較は、行動の改善には直結しません。
なぜなら、基準があいまいだからと説明しています。
② 数値は、現実を逃がさない
本書で強調されるのは、活動を数値で確認することの効果です。
たとえば、一日の仕事時間のうち、どれだけが本当に集中できているか。
実際には、その三分の一ほどを誘惑的な情報をちらりと見ることに
費やしている人も少なくありません。
数字は、言い訳の余地を残しません。
③ 見られていると、人は変わる
興味深い実験として、鏡が見える被験者のほうが、自制心が働きやすく、
攻撃的になりにくいという結果が紹介されます。
自分がどう振る舞っているかを意識できる状態に置かれると、
人は行動を調整する。
数値による記録も、これと同じ効果を持ちます。
④ 記録は、分かち合うことで力を持つ
さらに本書は、記録を一人で抱え込まず、友人や仲間と分かち合うことを勧めます。
他人と比べることで、普通以上の利益が得られる場合がある。
また、情報を公開することに抵抗があるなら、監視という作業を外部に委ねるという方法もあります。
これは、自分をさらすためではなく、意志力の負担を減らす工夫です。

3. その主張をどう受け取ったか?
この章を読んで印象に残ったのは、
意志力を鍛える前に、測ることが求められているという点です。
感覚で反省するよりも、数字で確認するほうが、冷静に次の一手を考えられる。
しかしながら、注意が必要なのは冷静に比較するということです。
あくまで安心するためではなく、自分の現在位置を知るということだと読み解きました。
なぜならば、人と比較して、良かった、悪かった、安心したというのは「承認欲求」そのものだからです。
あくまで自分の意志力のコントロールのため、負担を減らすためという目的を見失わず、それ以上でもそれ以下でもない冷静な判断が必要だと思いました。
4. 次回予告
次回は、
意志力はこうして鍛える
を扱います。
ただし、ここで語られるのは根性論ではありません。
消耗を前提にした、現実的な鍛え方が示されます。
5. このnoteについて
この連載は、
ロイ・バウマイスター/ジョン・ティアニー著
『WILLPOWER 意志力の科学』を読み解きながら、意志力を精神論ではなく管理と設計の対象として捉える試みです。
筆者自身の経験も交えながら、現代の働き方や自己管理にどう応用できるかを整理しています。
※本記事は、著作権法第32条(引用・批評目的の正当な利用)に基づいて作成しており、
著作権者および出版社の権利を侵害する意図はありません。
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