「WILLPOWER 意志力の科学」を読む⑨能力をのばすには、自尊心より自制心
はじめに
子どもでも、大人でも、「自信を持つことが大切だ」と言われる場面は少なくありません。
自尊心を高めれば、人は前向きになり、能力も伸びる。
長らく、そう信じられてきました。
しかし本書は、能力を長期的に伸ばす鍵は、自尊心ではなく、自制心にあるのではないかと解説しています。
1. なぜこのテーマが重要なのか?
自尊心が高いことには、自分を肯定できること、失敗を恐れにくいこと、意欲を過度に失わないことなど、メリットはあります。
しかし問題は、それが必ずしも成果につながらない点です。研究によれば、自尊心が高い子どもほど、成績が下がるケースもあるし、自分はできる、という感覚が、努力や修正を妨げてしまうそうです。
その代償は、しばしば周囲の人が引き受けることになります。
2. 著書の要点をかみ砕く
① 親はあえて自尊心を高めようとしない
本書では、ある種の親が子どもの自尊心を意図的に過度に高めようとしない点に注目します。
自分をどう感じるかではなく、どう行動するかが中で、行動を通じて得られる達成感こそが、結果として健全な自信につながる、という考え方です。
② アジア系の子育てに見る特徴
本書は、アジア系の教育や子育てに注目しています。
幼い頃から、自己コントロール能力を高めることを重視するというように、時間をかけて子どもの行動を観察し、適切な見返りや声かけを行う。
結果として、努力のプロセスを大切にする姿勢が育ちやすくなります。
③ 厳しい罰より、素早い罰
ここで言う「厳しさ」は、感情的な叱責ではありません。
重要なのは、一貫性と説明しています。
遅れて罰するよりも、軽くても素早く反応するほうが、行動と結果の関係を理解しやすくなります。
④ 自制心とは、自分との約束である
自制心は、外から押しつけられるものではありません。
目標を設定し、それに沿って行動することが、自分との約束を守ることが、自制心を育てます。
目標と報酬の仕組みを明確にすることで、行動は安定していきます。
⑤ 子どもは明確なルールを望んでいる
本書が強調するのは、子どもは自由だけでなく、ルールを必要としている
という点です。
何が許され、何が許されないのかという枠組みは、安心感を与え、自己コントロールを学ぶ機会になります。
⑥ 見守る目が、自制心を育てる
監視されることは、必ずしも悪いことではありません。見られているという意識は、行動を整えるきっかけになります。
見張るのではなく、見守るということが、忍耐力や継続力を高めます。
3. その主張をどう受け取ったか?
子育てをテーマとして、子供の自己コントロールをどう伸ばすかという視点で書かれていますが、人間は子供も大人もそんなに変わらないのではないかという視点で読んでいました。
大人でも自尊心はメリットもありますが、どちらかというとデメリットのほうが多いのではないでしょうか。
自分を好きになることと、自分を律することは、別の能力です。
自分が好きな大人はたくさんいるし、大人になれば自分が好きでなければ、色々乗り越えるのも大変だと思います。
一方で、成果という観点で見た場合、うまく自己コントロールしてく必要があると読み解きました。
「意志力」というより「大人力」なのかもしれません。
4. 次回予告
次回は、
ダイエットせずに目標を成功させる
を扱います。
意志力を消耗させる典型例として、
なぜダイエットは失敗しやすいのか。
5. このnoteについて
この連載は、
ロイ・バウマイスター/ジョン・ティアニー著
『WILLPOWER 意志力の科学』を読み解きながら、
能力や成果を精神論ではなく自制心と設計の問題として捉える
試みです。
筆者自身の経験も交えながら、現代の働き方や自己管理にどう応用できるかを整理しています。
※本記事は、著作権法第32条(引用・批評目的の正当な利用)に基づいて作成しており、著作権者および出版社の権利を侵害する意図はありません。
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