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歯も磨かず、顔も洗わず、ショパンとフォーレ

今朝、弾いた。

ショパン 第20番 嬰ハ短調(遺作)

有名な独奏曲。映画『戦場のピアニスト』の冒頭、ドイツ軍の砲撃を受けるポーランド国営ラジオ局で、主人公シュピルマン(実在の人物)が演奏していた曲である。

映画の中で、とりわけ心に残る場面がある。

廃墟となったワルシャワで、シュピルマンがドイツ国防軍の将校ヴィルム・ホーゼンフェルト(実在の人物)の前でピアノを弾く場面だ。そこで実際に演奏されるのは、ショパンのバラード第1番である。

戦後、シュピルマンはポーランド国営放送の首席ピアニストとなった。

一方、ホーゼンフェルトはドイツ国防軍の将校でありながら、ナチスによる残虐行為を目の当たりにし、強い拒絶感を抱くようになった人物だった。シュピルマンのほかにも、複数のポーランド人やユダヤ人を救ったとされている。

戦後、シュピルマンはホーゼンフェルトの消息を知り、その釈放を求めて懸命に働きかけた。しかし、その願いは聞き入れられず、ホーゼンフェルトはソ連の収容所で生涯を終えた。

フォーレ「夢のあとに」(Après un rêve)

この曲を初めて知ったのは、1995年放送のドラマ『北の国から’95秘密』だった。

不倫が発覚し、すべてを失って傷ついた螢を、純が車で新得駅まで送ってゆく場面。純は何も言わず、ただ車を走らせる。

そのカーステレオから流れていたのが、この曲だった。

「夢の中で愛しい人と美しい幻影を見ていたが、目覚めるとそれは消え去り、冷酷な現実だけが残されて、夜を呪う」

――Après un rêveは、そんな内容の歌曲である。

今朝、ふと思い出したように、この曲を弾いてみた。

やはり、この曲はチェロで聴くのが一番美しい。



祖国を追われた者の慟哭、失われた夢への哀惜――形は違えど、喪失という一点で、二つの曲は静かに響き合う。

熊本の地震、そして千葉周辺の洪水。

この夏、繰り返される災禍のニュースを目にするたび、あの東日本大震災のことを思い出す。

自然の脅威には、人はどうしても勝てない。

今朝もここは、朝からどんよりとした重い空気に包まれている。

ショパンとフォーレが百年以上前に音にした喪失の感覚は、今なお色褪せることなく、こうした現実と静かに重なり合う。

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