ありがとう、ベイマックス
先日、7歳の息子とふたりでディズニーランドに行って来た。この夏のディズニーランドでは、「トイ・ストーリー5」のコスチュームのウッディ、ジェシーとグリーティングができるイベントが開催されており、公開翌日に映画を観た我々は、ポンチョ姿のウッディに会えるのを楽しみにしていた。
開園と同時に、まずはグリーティングに参加するための整理券が配られるウエスタンランドのペコスビル・カフェを目指す。「ペコスビル・カフェを目指す」とキリッとした顔で書いたが、ペコスビル・カフェも、なんならウエスタンランドにも行ったことはなかった(地図の左側は怖い乗り物ばっかだと思っているから)。立ち止まってディズニーリゾート公式アプリと睨めっこをし、ようやく場所を見つけ出した私は、子に呼びかけた。
「よし、こっちだ!」
そして、知らん道を意気揚々と歩き始めた瞬間、縁石で足を挫いた。なんだろう、全然立てない。
待てども待てども私が立ち上がらないことが怖くなったのか、子はおもむろにリュックから蒸しパンを取り出して一口かじった。高速バスの中で、朝ごはんとして渡したのに「おいしくない」と小さな歯形ひとつ付けて残した蒸しパンを。私の脳裏には、なまはげに脅されて「いい子にしますから、母の足を治してください」と懇願する子の姿が浮かんだ。予想外の事態に陥ったとき、人はいい子になろうとする。雑なトリビアを思いついた私の前で、子は再び蒸しパンを仕舞った。なまはげとの取引をもってしても、好き嫌いは克服できなかったらしい。
これ以上、子に心配はかけられないので、目の先にあるベンチへと移動することにした。立ち上がってみると、ペコスビル・カフェまで歩くのはやっぱり難しそうだった。なんとかベンチに移動したものの、あとは一歩も動けない。それまで近くで様子を見てくれていたキャストさんが来て、車椅子や救護室の提案をしてくれた。私は歩けるようになる希望を捨て切れず「ここで様子を見てみます」と言い、キャストさんがくれた氷で患部を冷やした(ありがとうございます)。
そうこうするうち「30分後に、ベイマックスのミッション・クールダウンが通ります。こちらは非常に濡れるエリアとなっております」というアナウンスが始まった。パレードの案内を見ると「ゲストの“エナジーレベル”が著しく低下しているエリアを検知するとフロートが停止し、水が放たれます」とある。
かくして、軽快な音楽とともに水を撒き散らすベイマックスは現れた。私の真ん前に差し掛かったところでアラート音が鳴り響き、「ケアが必要なエリアを感知しました」といってフロートは停止した。確かに、このエリアで最もエナジーレベルが低下している中年がここにいる。
フロートの筒から水が放たれ、想像以上の量が降ってきた。夏、始まったな…って感じがした。さっきまで隣にちょこんと座っていた子が、びしょ濡れになってケラケラと笑っている。それを見て胸がいっぱいになった。「私は!ハピネスを感じているぞ!ベイマックス!!!!!」と青空に向かって叫びたくなった。エナジーレベルは最高潮だ。動ける!行こう!となった我々は、パレードを追いかけて何度も何度も水を浴びた。

帰宅後にレントゲンを撮ったら、骨、折れてました。
