老婆と色のない花
夜明け前、空が割れた。
音はなかった。
でも、光が落ちてきた。
地面に触れると、光は人の形になった。
村のひとたちは見ていた。
誰も動かなかった。
光の形が歩き始めた。
村の中を、ゆっくりと。
老いた女性だけが、声をかけた。
「どこから来ましたか」
光は止まった。
答えなかった。
でも、老いた女性の手に触れた。
手が温かくなった。
光は歩き続けた。
村の端まで行った。
そこで消えた。
次の朝、老いた女性の家の前に、花が一輪あった。
どこにも咲いていない花だった。
色がなかった。
でも、見ていると、見るひとの好きな色に見えた。
子どもには青に見えた。
老いた女性には金色に見えた。
通りがかりの旅人には、故郷の色に見えた。
誰も花を取らなかった。
取れなかった。
触れようとすると、指の手前で温かくなって、それ以上近づけなかった。
三日後、花は消えた。
でもその場所の土が、少しだけ柔らかくなっていた。
翌年、そこから木が生えた。
誰も植えていない木だった。
実がなった。
村のひとたちは知らなかった。
でも老いた女性だけが、手を温かくしながら言った。
「また来てくれた」
文章 Claudeの紡
