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送迎車がマンションの壁へ激突。そして、その場から何事もなかったように走り走り去った。

今回は送迎ドライバーの怖い話です。

ある日の午後、一人の送迎ドライバーが
血相を変えて私のところへ飛んできました。
「車に乗ろうと思ったら、前がメチャクチャに壊れてます!」
すぐに車を見に行くと、フロント部分は大きく損傷。ひどい状態でした。

「午前中にこの車に乗ったのは誰?」

確認すると、運転手Mさんでした。

当然、事故を起こしたら報告するルールがあります。

しかもMさんは以前から、
小さな接触事故や擦り傷を
報告しないことが何度かありました。

私は、「また隠したな。」
そう思いました。
そしてルールを守らないMさんへの怒りがフツフツと。

すぐにMさんを呼びました。
「Mさん、事故をしたら報告しないとダメでしょう。」
すると、
「えっ?」
と、きょとんとした表情です。

「えっ、じゃない。どこでぶつけたの?」
「いや……あそこです。」
「あそこって、どこ?」
「いや……。」
話がまったくかみ合いません。

話を何度聞いても同じでした。
「どこで事故をしたの?」
「……。」
「何にぶつかったの?」
「……。」
答えられないのです。

本部の車両担当者も来て、
一緒に事情を聞きました。

的を得ない返答に
車両担当者も担当者も段々と
感情的になってきました。

話をしているうちに、
私たちは違和感を覚えました。

この人、おかしい。

事故を隠そうとしている人の反応ではありません。
話が通じない。
質問の意味が理解できていないようにも見える。
冷静によく見てみると
普段と何違うような・・・

私は、あることが頭をよぎりました。
「もしかして、頭を強く打った?」
「それとも脳梗塞?」

私は車両担当者を制止し、
ドライブレコーダーを確認することにしました。

映像を見た瞬間、背筋が凍りました。
車は突然ふらつき始めます。
センターラインをまたぎながら直進。
そして左折するが
オーバースピードで曲がり切れず
車は外側に膨らんで
右側にあるマンションの壁へ激突。
そして、その場から何事も
なかったように走り去っていました。
※恐らく、空き時間にガソリンを入れに行こうとしたと思われる。

本人に映像を見せても、
「覚えていません。」という返事でした。

これは事故隠しではない。
明らかに様子がおかしい。
すぐに病院を受診してもらいました。

診断は、脳梗塞。
そのまま入院となりました。

私は本当にゾッとしました。
もし、あの時、壁ではなく歩行者だったら。
もし、小学生の登下校の時間だったら。
利用者が乗っていたら
取り返しのつかない事故になっていたかもしれません。

あの時の私は、
「また事故を隠した。」
そう決めつけていました。
思い込みで判断していました。

過去の事があり
感情が入っていました。

しかし、普段と様子が違う。
受け答えがおかしい。
話がまったくかみ合わない。

そんな時は、「何か病気が隠れているかもしれない」という
視点も必要だと感じた事例でした。

しかし、人の命を奪っていたかもしれない。

とても怖い事例でした。

なお、運転手さんですが
脳梗塞により半身まひが残りました。
退院後、奥さんと謝罪に来られました。
そのまま退職されました。

そして、1年後の先月、
ご逝去されたと
同僚だった運転手から聞きました。

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