旅で、自分に戻る③ 「早くしなきゃ」に操られない。自分のペースを取り戻すこと
今回の旅で、
何度も顔を出した言葉がある
「早くしなきゃ」
飛行機に間に合わなきゃ。
電車に乗らなきゃ。
バスを逃したらどうしよう。
信号が変わる前に渡らなきゃ。
時間通り進めなきゃ。
旅行中だけではなく、
考えてみれば日常でもよく使っている言葉だったんです。
誰かに言われているわけでもないのに、
自分の中で勝手に鳴り続けている。
そしてその言葉に反応して、
歩く速度が上がる。
呼吸が浅くなる。
身体に力が入る。
頭の中では、
まだ起きてもいないことまで先回りして考える。
私は思っていた以上に、
「早く」という言葉に動かされていたことに気が付いたのです。
急いでいるとき、自分はどこにいるんだろう
もちろん、
本当に急がなければならない時もある。
仕事の時間。
飛行機の搭乗時間。
人との約束。
時間を守ることは大切だと思う。
でも今回気づいたのは、
必要以上に急いでいる時があることだった。
次の電車に乗れなかったら。
バスを一本逃したら。
信号が赤になったら。
その瞬間、「大変」と身体が反応する。
でもよく考えたら、
電車はまた来る。
バスも次がある。
信号だってまた青になる。
それなのに、
まるでこの一回を逃したら
全部が終わるみたいに焦っている。
そんな自分を見て、ふと思った。
私は、何に追われているんだろう。
これでは電車やバス、飛行機に惑わされてるみたいだわと。
「早く」は、いつの間にか癖になる
「早くしなさい」
「急いで」
「間に合わないよ」
子どもの頃から、
私たちはたくさんの「早く」を聞いて育つ。
大人になったら、
今度は自分で自分に言うようになる。
なんなら自分のこどもにも言うようになる。
早く起きなきゃ。
早く準備しなきゃ。
早く仕事を終わらせなきゃ。
早く結果を出さなきゃ。
早く成長しなきゃ。
そして気がつけば、
人生まで急いでしまう。
何歳までにこうなっていたい。
これくらいできなきゃ。
まだここにいる私は遅い。
そんなふうに時間だけでなく、
人生の進み方まで誰かと比べてしまうことがある。
でも、人にはそれぞれペースがある。
咲く時期の違う花のように、
同じ速さで進む必要なんてない。
旅先で「まあ、次でいいか」と思えた
今回の旅では、予定通りにいかないことがたくさんあった。
だからこそ、途中から少しずつ
「まあ、次でいいか」
と思えるようになった。
一本逃してもいい。
少し遅れてもいい。
焦って転んだり、
イライラしたり、
誰かに当たったりするくらいなら、
一度立ち止まった方がいい。
そう思って、呼吸を整える。
「大丈夫」
「これを逃しても、なんとかなる」
「ゆっくり行こう」
そう自分に声をかける。
すると、身体の力が少し抜ける。
周りの景色が見えてくる。
風を感じる。
一緒にいる人の表情も見える。
そして、自分が今ここに戻ってくる。
急ぐことと、焦ることは違う
今回、一つわかったことがある。
急ぐことと、焦ることは同じではない。
急ぐ必要があるなら急げばいい。
でも心まで焦らなくてもいい。
足は速く動かしても、
呼吸は落ち着いていていい。
時間を気にしても、
自分を追い詰めなくていい。
「早くしなきゃ」ではなく、
「今できることを、落ち着いてやろう」
それだけでもずいぶん違う。
焦っている時ほど余計なミスも増える。
忘れ物をする。
道を間違える。
確認を飛ばす。
何より、せっかくの時間を味わえなくなる。
急ぎながらでも、自分のペースは失わなくていい。
自分のペースは、「遅くすること」ではない
自分のペースで生きるというと、
ゆっくりすること。
のんびりすること。
そんなイメージがあるかもしれない。
でも、今回感じたのは少し違った。
自分のペースとは、
速いか遅いかではなく、
自分で選んでいるかどうか。
今日は早く動きたい。
今日はゆっくりしたい。
今は頑張りたい。
今は休みたい。
それを自分で決められているなら、
それが自分のペースなんだと思う。
反対に誰かに合わせて。
周りに遅れないように。
不安に追い立てられて。
「こうしなきゃ」に動かされているなら、
どれだけゆっくり歩いていても、
心は自分のペースではない。
大切なのは、自分で選んでいる感覚。そこなんだと思う。
身体は、焦りを教えてくれる
「早くしなきゃ」に入っている時、
身体は案外わかりやすい。
肩に力が入る。
呼吸が浅い。
歯を食いしばる。
歩く速度が必要以上に速くなる。
心拍が上がる。
視野が狭くなる。
そんな時は、
「あ、今ちょっと焦ってるな」と気づくだけでもいい。
そこで一度息を吐く。
足の裏を感じる。
周りを見る。
そして、
「本当に今、そんなに急がないとダメ?」
と自分に聞いてみる。
必要なら急ぐ。必要じゃないなら少しゆるめる。
それだけで、主導権が自分に戻る。
「早くしなきゃ」から、「私はどうしたい?」へ
焦っている時、主語は自分ではないことが多い。
時間が。
予定が。
周りが。
常識が。
誰かの期待が。
私を動かしている。
でも一度立ち止まって、
「私はどうしたい?」
と聞くと、自分が戻ってくる。
この電車にどうしても乗りたい?
それとも、
一本遅らせても大丈夫?
今日は予定を全部こなしたい?
それとも、
一つ減らしてゆっくりしたい?
今、本当に急ぎたい?
それとも、
ただ焦っているだけ?
正解は、
毎回違っていい。
大事なのは、
自分で選ぶこと。
自分の人生まで、急がなくていい
旅から帰ってきて思う。
私はこれまで、時間だけではなく、
いろんなことを急いできたのかもしれない。
早く答えを出したい。
早く変わりたい。
早く結果が欲しい。
早く次へ行きたい。
もちろん、
前へ進みたい気持ちは大切。
でも、途中を飛ばしてしまったら、
せっかくの景色も、
自分の変化も、
小さな「できた」も、
見えなくなってしまう。
旅だって、
目的地に着くことだけが旅ではない。
途中で何を見て、
何を感じて、
誰と笑って、
何を思ったのか。
そこも全部、旅。
人生も同じなのだと思う。
急がなくても、自分の人生はちゃんと進んでいる
「早くしなきゃ」と思ったら、
少しだけ立ち止まってみる。
深く息を吐いて、
自分に聞いてみる。
「私は今、何をそんなに急いでいるんだろう?」
そして、「これを逃しても、なんとかなる」
と思えるものなら、少し緩めてみる。
周りの速度ではなく、
時計の針でもなく、
不安でもなく、
自分で自分の速度を選ぶ。
今回の旅で私は、
自分のペースとは、
ゆっくり生きることではなく、
自分の人生のハンドルを、自分で握ること
なのかもしれないと思った。
急ぎたい時は、急ぐ。
止まりたい時は、止まる。
寄り道したい時は、寄り道する。
そしてまた、進みたくなったら進む。
人生まで、
ずっと「早くしなきゃ」と追い立てなくていい。
私は、私のペースでちゃんと進んでいる。
そう思えたら、
目の前の景色を、もう少し楽しめるのかもしれませんね。

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