丸まった靴下にも怒らない良妻な私
Twitterなどで、裏返ったままの、もしくは丸まったままの靴下をそのまま洗濯機に入れてしまう夫のがさつさに苛立っている奥様方のツイートを見るたび思っていた。
私はそんなことで怒ったりなどしない。
ああ、私はなんておおらかな妻なのだろう、と。
実際、私は夫の靴下がどんな状態で洗濯機に入っていようと、
なんとも思ったことはなかった。
干すときに広げればいいだけ、畳むときに裏返せばいいだけ。
ああ、それだけのことで世の奥様たちは怒ってしまうのね。
私のようなおおらかな妻を持って、私の夫は幸せ者ね。うふふ。などと本気で思っていたのだが、ある日気付いた。
違う。
私がおおらかだからではない。
私自身が丸まったままの靴下を洗濯機に入れてるからや。
自分がやってるから、夫にやられても別に気になってなかっただけや。
おおらかなのではない。
がさつなのだ。
思えば、私のがさつさは時として夫をドン引きさせることさえある。
あるとき、ホールのピザを買ってきたのだが、
二人しかいない我が家では一度で食べきれず、
ひとまず箱から出して、ラップをかけて、冷蔵庫に入れておこうということになった。
私は平たい大きめなお皿を出し、そこに八つ切りにされたピザを一枚乗せた。
我が家で最大のお皿を用意したが、その日買ってきたピザはコストコのバカでかサイズのものだったので、八つ切りのピザ一枚でそのお皿をほとんど占拠してしまう。
しかし私はそんなことはお構いなしで、先ほど乗せた一切れのピザの上に、次の一切れを重ねて乗せた。
そんなふうに、4~5枚のピザを一枚の皿にどかどかと乗せていると、
夫が眉を顰めて私の行動を見ていることに気が付いた。
ドン引きされていた。
私としては、これ以上大きな皿はないのだし、ピザの一切れもでかいのだし、それにどうせ食べたら同じだし、
なにも気にせずどかどか積み重ねていたのだが、夫からしたらありえない行動だったらしい。
多分彼なら、いくつかの皿に分けたりだとか、一切れずつラップでくるんだりなどしたのだろう。
翌日、夫は私が積み重ねたピザを一枚ずつ別の皿に移し、温めたものを私の朝食として与えてくれた。
また別のある日。
長期の旅行に行くために、私たちはパッキングをしていた。
私たちは夫婦ともに毎日飲んでいるお薬があるので、
必要な分だけシートから切り離し、それらをまとめてチャック付きの袋に入れて持っていくことにした。
お薬とは別に、毎日飲んでいるビタミン剤もある。
瓶にがさがさっと入った、よくあるタイプのものだ。
瓶ごと持っていくのは少々邪魔くさい。
小分けにするにも泊数分×1日2錠×2人分と思うと、なかなかの錠数になる。
数えて小分けするのがめんどうだった私は、すでに数種類の薬が入ったチャック袋に、瓶から直接がさがさがさっとビタミン剤を数十錠移しいれたのだが、
またしても夫は怪訝そうな顔で私を見ていた。
またしても、ドン引きしている。
まず、シート状に梱包されている薬と、包装なしのビタミン剤を一緒に入れるというのがありえないらしい。
私にはピンとこない。
なんせ、瓶から何十錠もの薬を数えもせずがさがさ入れるという行動ががさつすぎて衝撃的だったそうだ。
靴下の件も、冒頭では黙っていたのだが、実は私のがさつさは丸めたままの靴下を洗濯機に入れるだけでは済まない。
私はよく、裾にきゅっとゴムが入ったズボンを履いており、なおかつ、脱ぐときにはズボンを脱ぐと同時に靴下も脱ぐ。
すると、ズボンの裾の内側に、丸まった靴下が入ったままの状態になる。
そして、それをそのまま洗濯機に入れている。
干すときにズボンをぱんぱんと延ばすように振ると、裾から丸まった靴下がぽーんと飛び出てくることもあるし、
乾いたズボンを畳もうとすると、裾から湿ったままの丸まり靴下が出てくることもある。
夫はそんな私の丸まり靴下を、(少々の文句は言いつつも)広げてもう一度洗濯機に入れてくれる。
このような度重なる私のがさつな行動に、夫は驚きはするものの、怒られたことはほとんどない(ズボンから靴下が出てくるとさすがに少し怒られる)。
穏やかでおおらかな妻に感謝せよ、とは、
なんというおこがましいことを思っていたのだろう。
感謝すべきは私の方だった。
夫よ、私のがさつさを許してくれて、ありがとう。
