ChatGPTで画像合成
今回は、ChatGPTを用いて、構図が異なる人物イラストを構図を揃えて合成した作品の紹介です。
先日、PowerPointで画像合成をしているとお話しました。この方法にはひとつネックがあります。それは、複数の人物の合成は、全身像、上半身イラスト、顔のアップ……などの構図が揃っている人間同士の間でしか出来ないことです。考えてみれば当たり前のことで、PowerPoint自身には画像生成能力がないからです。
しかし、画像生成ができるChatGPTなら、一方は全身画像、他方は顔のアップと構図が異なるイラストを全身画像にそろえて合成することができます。
以下に、その実例を紹介します。
0.元イラスト2点
合成してもらったのは、次の2点です。男性が力なく沈んでいる左のイラストと、女性が複雑な感情のこもった目で何かを見つめている右のイラストです。左は私の手描きを元に、ChatGPTで生成したもの、右はLeonardo.Aiで生成したものです。男性は全身像、女性は顔のアップと、構図が異なっています。

1.構図をそろえて合成
最初に、次のプロンプトを送りました。

このプロンプトに応じて、次のイラストが生成されました。

元イラストでは顔のアップだった女性が、腰から上のイラストに変換されています。
私は「上半身」と指示したのですが、生成されたイラストを見ると、女性を上半身だけにすると、位置関係から男性のポーズを元通りに保てないことがわかります。ChatGPTは、この点を補正してくれたのです。
ただ、画面全体が一様に暗くてアクセントが足りない気がします。
2.窓から差し込む外光を追加
室内に光を加えてくれるように、プロンプトで指示しました。

このイラストが生成されました。

なかなか良い感じになったと思います。冬の午後の弱い外光が加わったことで室内に陰影ができ、それが男女の心の揺れを映しているように感じられるからです。
3.女性の服装の色を修正
外光を取り入れて画面にアクセントをつけたのに、男女とも地味で暗めの服を着ているため、単調な感じが残っています。
女性の服装の色合いを変えることにして、次のプロンプトを送りました。

この画像を生成してくれました。

【生成画像③】
私はもっと鮮やかなバーガンディを期待していたのですが、このイラストのバーガンディは控えめで、暗めの赤紫と形容したほうが良さそうな色合いです。
ただ、全体の色調が暗いなかでここだけ鮮やかになると浮いてしまいそうな気もしてきました。ここは、生成された色をそのまま使うことにしました。
ところで、ここまでのイラストでは、ドアノブの位置と、女性のドアノブの握り方が不自然です。
4.ドアノブ位置を修正
まずドアノブの位置を変えてもらうために、次のプロンプトを送りました。


女性の側にドアノブがなくなって、女性がドアを押している描写になってしまいましたが、これは、私には許容範囲です。
それよりも、女性の頬がかぶれたように赤いのが気になってきました。この「赤み」は、元イラストで頬のソバカスの周りが「赤み」を帯びていたのを反映しているのだと思います。
5.女性の頬の「赤み」を除去
頬の赤みを除去するよう指示しました。


「赤み」が取れてスッキリしました。
すると、女性がドアノブに手をかけるのでなくドアを押しているのが、また気になってきました。せっかくだから、ここも理想に近い形にしたくなってきたのです。
6.女性の手の修正を指示
女性の手はドアノブにかけるよう、指示しました。


おやおや、【生成画像3】の手に戻ってしまいました。ChatGPTでは、時々、こういう「後戻り」がわりと頻繁に起こるような気がします。
過去にこういう場面で細部の修正にこだわって泥沼にはまったことがあるので、どこまでこだわるか、悩ましいところです。
一方、今回の生成では、私が気づいていなかった別のところで改善がありました。
それは、女性のまなざしです。
7.思いがけない拾い物=まなざしの違い
生成画像⑤の女性と生成画像⑥の女性とでは、まなざしがどのように違うか?
まず、生成画像⑤から見ていきます。

この女性のまなざしには、「別れる」という強い決意が現れています。その決意の奥に「正義は私の側にある」という強い信念のようなものを秘めたまなざしだと思います。

一方、生成画像⑥の女性のまなざしには、「別れる」ことに対するためらいが現れています。「私にも非があったのではないか?」と迷っているまなざしだと思います。
私がこの場面に相応しいと思うのは、「信念」よりも「迷い」なので、【生成画像6】を採用することにしました。
思いがけず素晴らしいまなざしを得ることができました。
つまり、キャラクターの感情表現が、期待していた以上に豊かになったのです。
私の場合、こうなってくると、女性の手とドアノブを自然な形にすることの重要度はぐっと下がって、妥協の対象になります。幸い、【生成画像⑥】では男性が画面上でやや高い位置に置かれているので、PCで画像をトリミングして手を消すことにしました。
8.出来上がり
女性の右手のあたりをトリミングして仕上げたのが、次のイラストです。

ガランとした殺風景な部屋と弱々しい外光があいまって、男女それぞれの割り切れない思いを強調している感じがして、とても気に入りました。
9.おわりに
初めにChatGPTに画像の合成を頼んだとき、ここまでやってくれるとは思っていませんでした。元イラストの構図は全く違っていたし、雰囲気もかなり異なるものだったからです。
ところが、ふたを開けてみると、
(1)全体の雰囲気を男性イラスト寄りで統一し、
(2)男性と女性をそれぞれ適切な位置に置き、
(3)女性に適切な表情とポーズを与えて、
ドラマ性の強いイラストに仕上げてくれました。
ChatGPT自身が自らの強みとして認めている「“文脈の統合力”が現れた画像合成」だと思います。
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ChatGPTの性能について、もうひとつ気づいたことがあります。
上記の参照記事の中で、ChatGPTは、Leonardo.Aiに比べると自分自身にはイメージの飛躍が少ないという意味のことを言っています。
しかし、ChatGPTにも、ユーザーの視界を拡げてくれるだけの偶発性があることが今回の共創を通して見えてきました。
【生成画像⑤】の女性の「信念のまなざし」と【生成画像⑥】の女性の「迷いのまなざし」という2つの方向性にChatGPTの偶発性が現れていたと思います。
ChatGPTでこういう画像合成ができることを今まで知らなかったのは、実に「灯台下暗し」でした。
これからは、ChatGPTを用いた画像合成を増やしていこうと思っています。
最後に、出来上がりイラストを再掲します。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
