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【読書感想文】園芸二重スパイとは?『植物哲学 自然と人のよりよい付き合い方』川原伸晃 著

観葉植物を育てている人なら、一度は見かけたことがあるんじゃないでしょうか?
あの、おしゃれな水やりチェッカー、
「SUSTEE(サスティー)」。

その開発者である、折原さんと、著者の川原伸晃さんは、起業当時から親交があり、「SUSTEE」の開発に川原さんも協力されたという。

本書『植物哲学』は、そんな園芸家・川原さんが、人と植物の関係を『SLAM DUNK』や『もののけ姫』、果ては『幽遊白書』から『喧嘩商売』まで例にあげて、わかりやすくお話ししてくれる一冊だ。


『植物哲学』を読んで、私の中に印象深く残った言葉は
「園芸左翼」「園芸右翼」そして「園芸二重スパイ」

はじめて聞く派閥だ 笑


「♪ いけばな生まれガーデニング育ち 植物たちは大体友達」の川原さんは、園芸とは「人にとって都合よく自然を制御する技術」である、と定義している。

そして、「園芸左翼」とは「植物のためなら人が我慢すべき」と考える人々、とする。


川原さんが園芸左翼としてAさんという架空の人物を描写したのがこちら。


Aさんは神奈川県の沿岸部に暮らすヨガインストラクターです。トレードマークの小麦色の肌に、麻製の衣服やアウトドアウェアを愛用しています。

最近買ったお気に入りのアイテムは、マイクロプラスチックファイバーの流出を軽減してくれる洗濯ネットです。

趣味はサーフィンと庭作業です。
海に行くときはもっぱら自転車
(以下略)


まだまだ続きますが、ぜひ本書で。
悪意はないらしいです笑



さらに、「園芸右翼」とは「人が快適なら植物にケアは不要」と考える人々。
その例、Bさんの描写が以下。


Bさんは東京都の都心部在住で大企業に勤める会社員です。
ヨーロッパのラグジュアリーブランドが大好きで、最近気になっているのはお気に入りのブランド同士のダブルネームのバッグです。
趣味はゴルフとドライブです。
愛車のスポーツカーで首都高の風になるとき(中略)
部屋に植物は欲しいけど虫が嫌いなので、観葉植物は水耕栽培で統一しています。
水やりも面倒なので自動灌水装置を完備(以下略)



本当に他意はないようです笑笑


そして、川原さんは、「園芸二重スパイ」でありたいという。


「あなたの立場はどっちなんだ?」という問いこそが罠なのです。そもそもどちらかの立場である必要はありません。極端な自然保護と極端な自然破壊を繫ぎ、二項対立の構造を崩して壁を乗り越える越境者。それが園芸二重スパイです。

『植物哲学』

カッコいい✨

二重スパイとは、単なるどっちつかずのコウモリではない。

両方の立場に膝下までどっぷりと浸かり、それぞれの論理を知ったうえで、その境界を自由に行き来できる人なのである。

中途半端な中立ではなく、両極を知り尽くした者だからこそ務まる役割なのだ。


私は庭仕事で虫刺されを防ぐためにキャンプ用の殺虫剤をまき散らす。

一方、息子は「自分に塗る虫よけも周囲の植物に影響するかもしれない」と考え、使いたがらない。

以前の私は、この違いを単なる価値観の違いだと思っていた。

しかし本書を読んでからは、「園芸左翼」「園芸右翼」という言葉によって、その背景にある植物との向き合い方の違いが見えてきた。


そして、そのどちらかを選ぶことではなく、両者を理解し続けることこそが「園芸二重スパイ」という生き方なのだろう。


また、川原さんは、「園芸家は『自然保護の担い手』というより『自然破壊の担い手』という認識が現実に近い」という。

これは、観葉植物好きの私がいつも息子に言われてきた言葉だった。

私の部屋には国籍も原産地もさまざまな観葉植物が並び、その葉の下で猫さまと眠る時間が何より好きだ。

だが、息子にとって、大きくなるはずの樹木を小さな鉢植えにし、ソロモン諸島とアフリカの植物がお隣同士にならんでいるのは違和感しかないだろう。



この矛盾を甘んじて引き受けることもまた、園芸二重スパイになるためには必要なんだろうなー。

しかし、私はまだ、トワイライトゾーンをフラフラ飛ぶコウモリでしかない。

いつか、本物の「園芸二重スパイ」になるため、日々精進しよう。




人間が見たい自然が「美しい自然」であることが多い

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