【ゼミ生投稿】フェイクニュースの問題とネットリテラシーの課題(2期生M. F.さん)
1.タイムラインの情報を信じてしまった経験
SNSの普及によって、私たちはニュースや生活情報へ簡単にアクセスできるようになりました。知りたい情報をすぐに調べられる便利さは私たちの生活を豊かにしています。
一方、SNSには事実と異なる情報も流れています。最近では、生成AIでつくられた画像や映像が本物のように拡散されることもあります。見た目だけで真偽を判断することは以前より難しくなりました。
私自身もSNSのタイムラインに流れてきた情報を信じてしまった経験があります。ディープフェイクと思われる画像を見て、強いショックを受けたこともありました。
地震や豪雨などの災害が発生した直後は正しい情報が十分に集まっていません。「誰かに知らせなければならない」という気持ちも強くなります。善意で共有した情報が間違っていれば、被害者になるだけでなく、知らないうちに情報を広める側になるかもしれません。
偽・誤情報は遠い世界で起きている問題ではありません。誰もが関係する問題だと感じたことが今回のテーマを選んだきっかけです。
2.偽情報と誤情報は何が違うのか?
日常会話では、事実と異なる情報をまとめてフェイクニュースと呼ぶことがあります。しかし、フェイクニュースという言葉が指す範囲は曖昧です。問題を考える際には、偽情報と誤情報を分けて捉える必要があります。
政府広報オンラインでは、人を混乱させるために意図的につくられた虚偽の情報を偽情報、勘違いや誤解によって広められた間違った情報を誤情報と説明しています。
政府広報オンライン「インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!」

偽情報には人をだまそうとする発信者が存在します。一方、誤情報を広める人に悪意があるとは限りません。家族や友人にも知らせたいという親切心が拡散のきっかけになる場合もあります。
総務省が2025年に全国の15歳以上を対象として実施した調査では、過去に流通した偽・誤情報に接した人の47.7%が、その情報を正しいまたはおそらく正しいと判断していました。接触した人の25.5%は何らかの方法で情報を広めていました。
総務省「ICTリテラシーに係る実態調査」
偽・誤情報を広めるのは、一部の悪意を持つ人だけではありません。普通にSNSを使っている私たちも拡散に関わる可能性があります。
3.なぜ間違った情報は広がるのか?
SNSでは、驚きや怒りを感じる投稿ほど目に留まりやすくなります。感情を強く動かされたときは、内容を十分に確認する前に、誰かへ知らせたくなることがあります。
共有する前に一呼吸置くという行動には意味があります。問題は知識の有無だけではありません。情報を見た瞬間に正確さへ意識を向けられるかどうかも重要です。
4.Googleと富士通の取り組み
偽・誤情報の問題に対しては、情報を受け取る側だけでなく、プラットフォーム企業や技術開発を行う企業も対策を進めています。
Googleは組織的な世論操作につながる活動を調査し、関係するYouTubeチャンネルの停止やGoogleニュースなどへの掲載対象からドメインを除外する対応を行っています。2026年第2四半期の報告にも世界各地で確認された組織的影響工作への対応が掲載されています。
Google「Influence Operations Bulletin Q2 2026」
Googleの対応は投稿内容だけを見て真偽を機械的に決めるものではありません。不自然に連携したアカウントの活動や情報を広める組織的な動きを調査したうえで実施されています。
富士通は2024年、大学や研究機関などと共同で偽情報の検知から根拠の収集、分析、評価までを一体的に行うプラットフォームの構築を始めました。
富士通「偽情報対策プラットフォームの構築を開始」
さらに、2025年12月には国際コンソーシアム「Frontria」を創立しました。偽・誤情報への対策だけでなく、AIの信頼性や安全性についても、国内外の企業や研究機関と検討しています。
富士通「国際コンソーシアム『Frontria』を創立」

技術による検知やアカウントへの対応は欠かせません。ただし、技術だけですべての情報を正しく判定することは困難です。企業の対策と利用者が情報を確かめる力の両方が必要です。
5.共有する前にできること
偽・誤情報を広げないために、最も簡単にできる行動はすぐに共有しないことです。特に、自分の感情が大きく動いたときほど、一度立ち止まる必要があります。
投稿を見たときは最初に発信元を確認します。専門家によると書いてあるだけでは根拠として十分ではありません。専門家の氏名や所属、元になった資料まで確認します。
次に、同じ内容が公的機関や複数の報道機関から発表されているかを調べます。検索結果の上から順番に読むだけでなく、元の発表へ移動することが大切です。
画像や映像についても、見た目だけで判断しないようにします。過去の災害写真が別の災害の写真として使われる場合もあるため、撮影時期や場所を確認します。画像検索を使って、以前から公開されていた写真ではないか調べる方法もあります。
確認しても真偽が分からない情報は共有しない判断が必要です。間違った情報を広めたと気づいた場合は、投稿を消すだけでなく、訂正した内容を伝えることも大切だと思います。
6.ゼミで取り組んでみたいこと
ゼミでは、大学生がニュースの出どころをどの程度確認しているのか、アンケート調査を行ってみたいです。ただし、普段から確認していますかと質問するだけでは実際の行動を十分に捉えられない可能性があります。
そこで、SNSの投稿を再現した複数の例を示し、信頼できると思うか、共有したいと思うか、最初に何を確認するかを尋ねます。その後、情報を確認する手順を説明し、回答がどのように変わるかを比較します。
調査結果を踏まえて、大学生向けの共有する前のファクトチェック手引きを作成したいです。文章だけで説明するのではなく、短い動画や図を用いて、SNSを見ながら確認できる内容にします。
偽・誤情報への対策をだまされないための知識で終わらせず、広めないための行動までつなげることが目標です。
おわりに
便利で楽しいSNSだからこそ、流れてきた情報をそのまま信じない姿勢が必要です。しかし、すべての責任を利用者だけに負わせることも適切ではありません。プラットフォーム企業による対策と、学校で学ぶ機会の充実も欠かせません。
私も過去の経験を振り返り、情報を見た瞬間の感情だけで反応しないようにしたいと思います。まず立ち止まり、発信元を確認する。判断できない場合は広めない。小さな行動の積み重ねが偽・誤情報の拡散を防ぐ第一歩になります。

