何度も見た『もののけ姫』をIMAXで。今の自分には、あの「名もなき長」の言葉が痛いほど刺さった。
前に映画『もののけ姫』をIMAXシアターで観てきました。
場所は大阪だったんですが、なんと劇場は満員。
公開から何年も経っている作品なのに、この熱気は本当にすごかったです。
私もこれまでにテレビやDVDで何回も、それこそセリフを覚えるくらい観てきたはずなのに、IMAXの巨大なスクリーンと音響で浴びる『もののけ姫』は、まるで別物でした。
ご存知の方も多いと思いますが、まずは簡単にあらすじを。
舞台は室町時代の日本。
エミシの隠れ里に住む青年・アシタカは、村を襲った「タタリ神」に死の呪いをかけられてしまいます。
呪いを絶つ道を探すため西へ旅立ったアシタカは、鉄を作る村「タタラ場」を率いるエボシ御前と、森を守る山犬に育てられた人間の少女・サン(もののけ姫)の激しい争いに巻き込まれていく……という物語です。
何度も観たこの壮大な物語ですが、今回は自分の「今の状況」のせいで、ある一つのシーンが信じられないくらい深く、グッサリと刺さってしまいました。
世を呪い、人を呪い、それでも生きたい
今回、私が涙目になるほど打ちのめされたのは、タタラ場にいる病者の長(おさ)のセリフです。
アシタカがエボシ御前に刃を向けようとしたとき、包帯に包まれた長が止めに入ってこう言います。
「生きることはまことに苦しく辛い。世を呪い、人を呪い、それでも生きたい。どうか愚かな私に免じて……」
今まで何度も聞いてきたセリフなのに、今回はこれが痛いほど胸に響きました。
というのも、今の自分がまさに「世を呪い、人を呪っている状況」だからです。
うまくいかないことを誰かのせいにしたい気持ちが大きくて、毎日が苦しくて辛い。
そんな泥沼みたいな感情を抱えながら、それでもやっぱり「生きたい」ともがいている。
スクリーンの中のあの長いセリフが、まるで自分の心の代弁のように聞こえてしまって、気づけば泣いていました。
結果なんて関係ない。その瞬間の「正しい」を選ぶ強さ
そんな葛藤を抱える私から見ると、主人公であるアシタカの行動力は本当に眩しいです。
村を守るためにタタリ神を撃ち、川で怪我をしている人を助け、侍に追われている人を助け、サンを助け、侍に攻め込まれたタタラ場を助けに戻り、最後はシシ神に首を返す。
彼はいつだって、その場その場で「自分が正しいと考える行動」を選択しているんですよね。
その行動をした結果、自分がどうなるか、状況がどう転ぶかなんて関係ない。
ただ目の前の真実に対して動く。
今の自分には絶対にできない生き方だからこそ、強烈に惹かれるんだと思います。
タタラ場からサンを抱えて出て行こうとするアシタカを、門番たちが一旦止めつつも、ヒソヒソと「どうかお戻りを」と声をかけるシーン、すごくいいですよね。
彼がたった数日でどれだけ人々に慕われていたかがわかる、大好きな場面です。
謎の儀式と、日常に活きる「モロの教え」
ちょっと視点を変えて、今回改めて「おもろいな」と思ったのが、サンの謎の行動です。
負傷したアシタカをシシ神の森の泉の島に横たわらせた後、サンが彼の頭の上のあたりに「木の枝」をスッと刺して立ち去るシーン。
こういった、現代人にはわからないその一族に伝わる儀式みたいなことを平然とやっているのが面白いです、その行動一つ一つに意味がある。
もし『ゴールデンカムイ』のアシリパさんがいたら、隣で「これはこういう意味があってだな……」ってペラペラ解説してくれるんだろうな、なんて想像してしまいました。
そして、命を奪いもするし、与えもするシシ神の絶対的な存在感。
神々といえば、山犬のモロが最後の力を振り絞るために、あえて休息(睡眠)をとっているシーンもすごく共感しました。
午後からの仕事や作業を頑張るために、昼休みにちょっとお昼寝をしているとき、私はよくあのモロを思い出します。
ムクリと起きてきて「やれやれ」といった感じで動き出すあの空気感。
このシーンを知っているからこそ、「今はモロと同じように休んでるんだ」と自分に言い聞かせて、無理やりにでも休息を取れるようになりました。
もしこのシーンを知らなかったら、休むことへの罪悪感で苦しさしかなかったかもしれません。
ありがとう、モロ。
いやぁ、バカには勝てん
「曇りなき眼で見定め、決める」 アシタカの有名な言葉ですが、本当に『もののけ姫』は人生に与える影響が大きすぎる映画です。
最後のジコ坊の「いやぁ、バカには勝てん」というセリフに、なんだかすべてを包み込まれたような気持ちになりました。
でも、今回IMAXで観て一番心に残ったのは、やっぱり「生きることはまことに苦しく辛い。世を呪い、人を呪い、それでも生きたい」というあの言葉です。
今の自分はまだ世の中を呪っているし、人のせいにしたい気持ちでいっぱいだけれど。
それでも生きたいと願う泥臭さを肯定してくれたような気がして、心が少しだけ軽くなりました。
何度観ても、その時の自分の状況によって全く違う顔を見せてくれる『もののけ姫』。
またIMAXで上映するとなったら、ぜひ劇場に足を運んで、今のあなたに刺さる言葉を見つけてみてください。

