【詩のようなもの】 ミラと彗星 《第64回・3つのお題に空想のひらめきを》

私が勤めていた天文台に
一人の少年がふらっと現れました
夜でしたが
紛争が終結して間もなかったので
そういう子はあまり珍しくなかった
少年は彗星を見たいと言いましたが
望遠鏡もダメージを受けて復旧しておらず
肉眼での説明となりました
彼は
あれは彗星?と一つの星を指さした
それは星の海を泳ぐくじら
くじら座にある脈動変光星ミラでした
ミラのような脈動変光星は
膨張する過程で赤色となり
やがて外層を惑星状星雲として吹き飛ばして
白色矮星になっていきます
銀河鉄道の忘れ物のような
彗星の青白い尾
ダストテイルとイオンテイルは
ある程度太陽に近づかないと発生しないため
遠い彗星と惑星状星雲を見分けるのは
十分な知識がなければ難しい作業です
そして少年は
彗星に
行くべき場所と帰る場所はあるの?と私に聞いた
彗星の故郷は
エッジワース・カイパーベルトないしは
オールトの雲ではないかと言われています
惑星までの大きさになりきれなかった
氷微惑星たちが
太陽系の外側を取り巻く一帯
ここで眠っていた天体が
他の星の引力などで軌道を変え
太陽のほうへと引き寄せられる
故郷から太陽へ
太陽から故郷へ
数百年という周期で巡る彗星もあれば
遥かに長い年月をかけて巡る彗星もある
そう聞くと少年は
ほっとしたようでいて少し寂しそうな表情を
浮かべていました
私はもう引退しましたが
彼は元気ですよ
彗星を追いかける少年は
私の後を継いで
今も星を
探し続けています
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題:
銀河鉄道の忘れ物
彗星を追いかける少年
星の海を泳ぐくじら
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