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【ショートショート】腰の話の“腰”を折らないで(631文字)

俺は、人間の体の部位である「腰」。
体の“要”と書いて「腰」。
君の体の後ろ側、背骨の下から骨盤の辺りにある、あの「腰」さ。

「体の要なんだ」って、子どもの頃はちょっと誇らしかったんだ。
だけど大人になるにつれて気づいたんだよ。「腰」の字がつく言葉には、どうにもカッコ悪いのが多いって。

「及び腰」「逃げ腰」「弱腰」…どれもこれも臆病なイメージ。
腰が引けて「へっぴり腰」になるのも、がっかりされること請け合いだ。

ビジネスの世界を見てもそう。「腰掛けの仕事」とか、上司に媚びる「腰巾着こしぎんちゃく」なんかは印象最悪。腰が重けりゃ“やる気が無い”って言われるし、軽けりゃ“軽率だ”なんてバカにされる。一体どうすりゃいいのって話さ。

そんなある日、唯一カッコいいと思っていた「本腰」って言葉にも、「それまでは本気じゃなかった」って微妙なニュアンスが含まれていることに気づいてしまったんだ。これが決定打。もう俺は腰砕けさ。

その日以降、俺はグレて、腰履きジーンズにケンカ腰の態度。腰抜けの大人たちに対して、若さゆえの丸腰で反抗するようになったのさ。
みんな、ぎっくりしただろうね。
それからというもの…

え? 今の物腰の柔らかい俺からは想像できない? 
いきなり話の腰を折らないでくれよ。まぁ、いいけどさ。

俺自身も大人になって、「粘り腰」や「腰を据える」のもカッコいいと思えるようになったのさ。昔はダサいと思っていたけど。

で、この話のオチは何なのかって?

まかせてくれよ。
“オチつける”のは得意なんだ…腰だけにね。

(了)


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