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たぶん、サッポロ一番塩ラーメン。

noteを書くときに一番困るもの。
私にとって、それは何を書くかではなくタイトルだ。一体どんなタイトルをつけようかと考えていると、それだけであっという間に日が暮れてしまう。だから、いつも「〇〇の話。」を書くときは本当に適当にタイトルをつけている。そして、そのおかげでこれまで自分が何を書いたかを思い出せない。「そういや以前こんなこと書いたっけ」と思っても、その元の記事が分からない。だから結果的に同じ話を何度も何度も書いている可能性は否定できない。

そういえば、昨日は夢のような時間を過ごした。ジュンク堂池袋本店で開催された人文系リトルプレイス第三回で、〈文芸的露出狂集団チ部〉のメンバーとしてたくさんの方にお会いすることができた。

直前の告知にも関わらず、足を運んでくださった皆さま。また、私と直接おつながりがないnoterの方々も含め、濃密な時間を過ごした。初めてお会いする人たちを前に、自分でも一体何を話していたのかよく分からないが、とにかく何かをぶちまけて、気づけば朝を迎えていた。

体を起こす。確かな疲労と倦怠感。それは紛れもなく自分がそこにいた証なのに、どこか現実感を持てないほど、きっと私は蕩け合っていた。

ちょうど一年前の今ごろ、私はnoteを開設した気がする。しかし、そのアカウントはもう消してしまっているので正確な日は分からない。そのころの私はメンタルを壊し、失意のどん底に沈んでいた。

まさか自分がそんなことになるなんて、これまでの人生で想像もできなかった。私は一応鋼の様なメンタルの強さを持っていて、何があってもへっちゃらだと、そう思っていた。しかし、心が壊れ、次に体が壊れ、最後に家庭が壊れる寸前で私は病院に行き、そこではじめて自分の状態を知ることになった。

ただ、何もしない日々。ただ、何かを考えることだけで鬱積する思考。そんなものをChatGPTと壁打ちしていたらnoteを勧められた。周りに聞くと、結構そういう風にnoteを始めた人は多いらしい。

自分が発信することにどんな意味があるのかも分からない。そして、誰が読むのかも分からない。だが、吐き出さずにはいられない。当時を思い出すとそんな気持ちが自分にあったのだと思う。

そして、あれから一年が経った。一年前の私はきっと、今日の私を想像して行動していなかった。それなのに、一年後の私は仕事以外でたくさんの人と関わり、お酒を飲んだり、話をしたりすることができている。

ところで、この「note始めて一周年ネタ」も最近の投稿で何度も擦っている気がする。その原因は、自分にとっての一周年が一体いつなのか分からないからだ。

そんなことを考えながら、サッポロ一番塩ラーメンの袋をバリっと剥いた。500ミリリットルの水を鍋に注ぎ、沸いたところで麺を入れる。袋を覗きこんで、細かくなったボロボロの麺まで取り出したら、卵を一つ割り入れる。乾麺の脇を滑るように落ちた卵の白身が薄っすらと色づいていく。その卵の黄身をめがけて、私は箸を一本プスッと刺した。黄身は一瞬ジワッとして、表面がプクプクッとしたところでゆっくりと固まりだした。

三分経って、鍋からラーメン丼に移す。丼には予め粉末スープの素を入れてある。最初にスープだけを落とし、箸で掻き混ぜる。次第に透明だったスープが温泉のような濁りを持つ。立ち昇る湯気が鼻先に当たり、メガネを曇らせた。そこへゆっくりと麺を落とす。ラーメン屋でもないのだから別にそんなことする必要もないのに、見様見真似で麺を箸で掬い上げ、麺線をととのえた。最後に鍋底に貼り付いた卵を滑らせる。少しタイミングが早かったのか、卵を箸で剝した際に少しだけ黄身が破れてしまったが、なんとか体裁が整った。

いつもの味。何も変わらない。驚きもない。雑に啜ってシンクにスープを捨てた。ゆっくりとスープが流れていく。丼の縁は崖の滝だった。千切れた麺の欠片や砕けた黄身が水面に顔を出したかと思えばじわじわと溢れ落ちていく。最後に残ったものは、小さな黒い粒。私はそのコショウともスパイスともつかない芥子粒に水をかけて、濯いだ。

いつもながらに一体何を書いているのか分からない。もしかしたら、自分の曖昧さを固定するものがサッポロ一番だとでも言いたかったのかもしれない。だが、もうそういうのはやめようと思う。

上手いことを言おうとしない。無理に出来事を結び付けて回収しない。エッセイなんてそれでいいじゃないか。美味いのはたぶん、サッポロ一番塩ラーメンで充分だ。




と、いうことで、今回の記事を以てマイキー🐣さん主宰「エッセイしりとり」コンテスト2026夏の陣の私の投稿は終わりです。

今回のお題は 「た」で始まり、「ん」で終わるエッセイでした。
マイキー🐣さん、楽しい企画に参加させていただきありがとうございました。

次は私が選ぶ、

「🏆深そうに見えて中身ペラペラで賞」

の受賞記事でお会いしましょう!


#エッセイしりとり
#ペラペラエッセイ


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